「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ全鑑賞して こんな傑作だったの!?
以前からタイトルだけは耳にしてはいたんですが
邦画で”女の子と銃”という組み合わせだけで、もう持て余し感というか
そんなのが面白く描ける土壌がないでしょ。と舐めた態度だったんですが
まぁ年末年始に流し見ぐらいはしておくか~
といざ見てみると…
気づいたら映画3作、ドラマ12話、ドラマCD、特番、インタビューなどなどを貪り食うベイビーわるきゅーれジャンキーとなり果てていました。
そこへ至る4つの要素を取り上げていきます。
1.百合的ホモソーシャルイチャイチャ
まぁ何より先に まひろとちさとが可愛い!
実写オリジナル映画ながら、そもそもが漫画アニメ的な切り口
これがとても大きい部分なんじゃないでしょうか。
百合モノ的な狙いは間違いなくあって、でもあざとさまでは行かない線引きで、あくまで親友ぐらいの距離感…
(ドラマの最後ではご褒美的に告白と将来の誓いなどあるのも嬉しい)
温度感がめちゃくちゃオタク向けだし、オタクが作ってんなぁ。というのがビシビシ伝わってきて、まんまと釣られました。
ドラマ11話でのちさとの涙から仲直りと生きる意味はぼろっぼろ泣くほど、2人に感情移入というか幸せに暮らしてて欲しい…と切望するほど入り込んでいました。
(日本の実写作品で泣いたのは「龍馬伝」の武市半平太の切腹前の妻との会話シーンぶりで、自分でも驚きました。)
2.ギャグシーンと日常あるあるネタ
「ベイビーわるきゅーれ」で一番驚いたのは
邦画なのにギャグが滑ってないし寒くない!!!!!
個人的な問題…ではないとは思うんですが、邦画のギャグシーンの寒さが本当に苦手で
例えば「○○○○~」「…え?……」的な引き笑いシーン
直近だと「さかなのこ」の中盤のヤンキーたちのパートとか、頭痛し始めるくらい嫌いなんですが
クスっとなる笑いが散りばめられていたり、日常あるあるネタの角度と精度が「天体戦士サンレッド」的なリアル感で
マイナー誌に掲載されてる温度感抜群ギャグ漫画のクオリティやテンポに、思わず原作ありなのかと検索したほどでした。
3.サブカルネタのセンス
上記のギャグやあるあるネタと被ってない?と思われそうですが違うんです!
劇中でも触れられていた「花束みたいな恋をした」における
”リアルな”サブカルネタ(ミイラ展、押井守、ブレワイ)などの
サブカルを狙うためだけの選出というか、登場人物と紐づいてない消費してるだけな使い方も本当に苦手で
対して「ベイビーわるきゅーれ」のサブカルネタでとにかく唸ったのは
3作目に登場する前田敦子演じる
性格のキツイ上司がそうなるに至った経緯と
エンディングの打ち上げでウザがらみする際の
「DGSのドリアン回」のリアルさ
これには思わず膝を打ちました。あまりにもリアルすぎるというか
数多ある20~30代オタク女子ネタの中から「DGS」を
それもドリアン回(ハマーン回や牛久ではなく)を選んでくるこのセンスは間違いなくホンモノです保証します。
(もちろん監督だけのセンスではなく、周辺調査からでもあるのでしょうが)
何が言いたいかというと、出てくるキャラクターがちゃんとバックボーンに紐づいていてストーリーだけでは出てこない実在感をしっかりと意識しているのが、うわべでサブカルネタを扱ってるわけではないのがよくわかるわけです!
4.アクションと死生のスイッチ
アクション面も”段取り段取り”な組み立てだと冷めてしまう厄介な性格なんですが、全作通じてほぼほぼ感じることなく純粋に楽しめました。
もちろん「ジョン・ウィック」フォロワーとしての位置取りには違いないですが、低予算&邦画ということを踏まえなくとも引けを取らない魅せ方と配分でとにかくバランスがいい!!
それに加えて、しっかりと”必殺技”も用意されていながら2作目、3作目ではそれぞれ「そう来るか!!!」と飽きさせない手練手管があるし
1vs複数の「いや片方と取っ組み合ってるから隙だらけじゃん」を極力なくそうとしているのも凄くよく伝わってきましたし
すぐとどめを刺せる状況。だけどさっき見逃したから、こっちも見逃す。という理由付けをこっちで出来るようにもなっていたり
気遣いが細やか!!!
そして日常と仕事の切り替えのさっぱりさと、まったく引きずらないし
シームレスな切り替わりが、あくまで彼女たちの当然であって
それをギャップギャグにもしていない
ドラマの最終盤になって、ようやく仕事の意義や殺しに対する葛藤に触れて
12週分の長さに見合った成長と変化を見せるのは
1作目~2作目までだと定形感あってもっとダラダラ日常見たい。と思いますが、3作もやってドラマでたっぷり見せてようやく成長。というのもちょうど良いタイミングで感慨ひとしおでした。
と挙げた個人的刺さった部分4つでしたが、それぞれのバランスがとにかく上手い!
これにつきます。
どれかが過剰だったり、間延びしてないというのは奇跡的だと思います。
しいて言うなら、ドラマ版前半がちょっと何したかったか良くわからなかったのと
本田博太郎が大好きなので、実は未だ凄い殺し屋で死んでませんでした~とか期待してたんですけど、本当にただの老害なだけで終わったのは頂けませんでした…
犯人なのか 犯人じゃないのか 犯人に見えて犯人じゃないのか
ただ後半のついに登場の粛清さん柄本時生さんの好きにならざるを得ないキャラと演技や
2ベイビーでの兄弟を陥れた元凶だったり
(後付けでも十分すぎるほどの効果と涙が….)
ドラマ後半がシリーズ通して一番好きでした!
OPのアニメイラストも本当に好き!
最終回の最後をショートケーキで〆るのも
一つの大きな成長としての区切りがついたようで、そこでまた涙したりと
自分の中でここまで大事にしたくなる作品だとは思わず早く続編が見たいです!!
が坂本監督の前作とかまだ見てないので、そこ見て楽しみに待ってます!
超オススメです!