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今年もやってきた、3月11日。

ちょうど一年前、10年という節目に私はこのnoteを通じて一被災者として震災・原発事故に対する思いについて書きました。

1年後の、今。

先月20歳の誕生日を迎え、小学生だった私も遂に成人を迎えました。震災から10年の振り返りは、以前お話したので、今回はこの1年について振り返ろうと思います。

相変わらずサッカー部のマネージャーとして部活動に没頭する日々を送る傍ら、zoomを通じて福島県主催のふくしまナラティブ・スコラへゲストとしての参加や、高校1年生の時の担任である鈴木先生からのお声がけで探究の時間に講演させていただいたり、先日もNPOカタリバが主催するマイプロジェクトにて関西・九州など様々な地域で活動する高校生へ応援サポーターとして対話しながらプロジェクトを深めたりなど、有難いことに関西に来ても尚、依頼してくださる方々のおかげで、私自身も考えを止めず、自分ごととして今日も震災や福島に向き合えているのだと思います。

その度に高校生からパワーももらいつつ、自分は2年も福島をフィールドに活動していないのにも関わらず、発言する権利があるのだろうか、一体このままでいいのだろうか、という不安や焦りにも駆られました。

けれど、震災と自分は何年経っても、どうしても切り離せないものではあるし、忘れてはならないと強く思います。勿論、震災を忘れた日などありません。

ですが先日、母校の後輩達が「自分たちは被災者ではあるけれど、当時幼稚園児であり、正直語れるほどの記憶がない。」と教えてくれました。

私の一個下の世代、つまり震災当時小学2年生だった代が“震災を伝えられる最後の世代”と言われたように、今の高校生は自分達の原体験から震災を語る事が難しい状況にあります。
これは、いずれ起こりうる新たな風化の課題として懸念していたことですが、それをいざ本人達の口から言われた時、わかっていた事とはいえ言葉に詰まってしまいました。

ごめんねとも、仕方ないとも言えず、ただただこの事実にどう向き合うことが正解なのか、わからなかったからです。

私は当時の記憶が昨日のことのように鮮明に思い出せるので、自分の原体験から紐付いてこれまでを振り返ることができますが、年齢差は3つしか変わらないはずなのに同じ一被災者として、同じ若者として震災経験を共に語ろう、と求める事には限界があると感じています。

それでも彼女達は前向きに、県外の留学生に対して福島の良さや福島が抱える問題に向き合い、伝えようとしてくれており、福島を心の底から好きだという思いが画面越しでも伝わりました。

その事を聞けてとても嬉しかったですし、それは私が高校時代、多くの地域住民に影響を受け、行動し続けることができたように、福島や双葉郡には多くの魅力が詰まっており、きっと彼女達も地域の魅力に惹かれ、復興に当事者として歩みを止めず向き合い続けることができているのだと思います。

本日、母校で行われた追悼式にzoomで参加していただきました。校長先生が仰っていた、「過去を考えるという事は、未来の指針をつくる事。」この言葉は、震災を考えることだけでなく、様々なことにも言えると思います。

追悼式では2年間担任であった和義先生の講話があり、高校時代は知らなかった先生の震災当時のお話を聞きました。

最後の、「あなたの1番大切なものは何ですか?」という先生の問い。当時からこれまで、家族と仕事どちらも大切なものへの決断を突然迫られた時、計り知れないほどの葛藤があったのではないかと思います。それでも、明るく生徒たちと向き合う和義先生に私はとても頭が下がる思いが込み上げてきました。卒業式の時、先生が4組の皆に言った「幸せになれ。」この言葉の意味を、当時はそのまま受け取り、深く考えていませんでした。しかし、卒業してからの今、改めて今日の背景を知ったうえで考えるとまたあの時とは違った意味合いに感じました。そして背景を知ることの大切さを改めて実感し、貴重な機会となりました。

最後に。
2011年3月11日は、一生忘れてはならない日であることには変わりません。
正直、未だ福島出身を名乗ると生きづらさを感じることもあります。
福島にいれば、周りが福島にルーツを持つ人達ばかりだからこそ安心して福島を好きだといえますが、関西に来てから、出身地を聞かれ、「福島」だと答えると、人それぞれではありますが、中には心ない発言を突きつけてくる方もおられます。けれど、なぜか言い返す事ができない自分にもどかしさを感じますし、その度に地元を誇りたくても誇れない自分にも悲しくなります。

けれど、発信は止めません。一被災者として、一当事者としていつか、覚悟がなくてもありのままで福島出身と誇れる自分になりたいです。
その為に、この言葉を最後に残そうと思います。

私は福島が大好きです。

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