サブスクリプション・サービスの未来
最近のAppストアでアプリを漁っていて気付いたことがある。
サブスクへの誘導、多すぎなんだよ!
せっかくダウンロードしても、「無料版はここまでです、後はサブスクで!」なんて言われたりする。
こんなしょうもないアプリに毎月払ってられるか!
というわけで、サブスクが流行っているのは分かるんだが、少し流行りすぎというか、やりすぎな感じがしている。サブスクで使っているのはアマゾンプライム会員くらいだが、ほかに有能なサブスクがあまり見当たらないのでどうにもこうにもならない。
今回はサブスクというシステムについて考えてみたい。
サブスクを一番最初にやり始めたのは誰かは知らないが、少なくとも記憶の中で一番鮮明に残っているのはニコニコ動画だろう。月500円で快適に動画が見れる、というサービスだった。
しかし、ニコニコのサブスクでニコニコできるのは、実はニコニコ運営のドワンゴだけだった。
そもそも、課金によって快適になる、という発想がYouTubeの発展によって完全に時代遅れになった。YouTubeは視聴自体は無料で可能である。低画質だとかそんなケチなことは一切言わない。しかしニコニコの無料版は画質も酷く、またサーバーが弱いのかそもそもつながりにくかったりする。無料で遊べないため、なかなか有料にしようというモチベーションが湧いてこない。さらに動画投稿するにはプレミアム会員必須かなんか、そんな条件を付けていた。
他人が創作して投稿した作品で金を稼いでおいて、投稿者には「金を払え、そしたらお前らの映像、配信してやるよ」という具合なので、配信者もYouTubeへと流れた。
さらにドワンゴ自体が何を考えているのか、収益をニコニコ超会議なるイベントにつぎ込むというアホみたいなことをしていた。本来なら普段からニコニコを利用している利用者(これは視聴者も投稿者も含む)に利益を還元し、さらにサービスを高めていくことに使うべきだった。こういう明後日の方向性に努力したため、ニコニコの有料会員数の減少に歯止めが利かなくなってしまった。
今ではニコニコ動画は、完全に泥船で、あとはいつ沈むか、というのを待つだけとなっている。きっとメンタリストDaigoは最後まで抜けねえんだろうけど。
コメント付き動画配信事業をサブスクでやる、という時代の最先端を切り開いたにも関わらず、先行者利益をドブに捨てて完全に時代に追い抜かされてしまった、そんな悲しいニコニコ動画の歴史は、涙なしに見れるし早く倒産して、どうぞ。
こういうコンテンツ配信型サブスクで一番気になるのは、利益の配分ではないだろうか。以下にノートの記事を引用する。
https://note.mu/strkrt/n/n1c5c71b69270
要約すると、「作者の取り分、少なすぎひん?」という状態である。これは音楽配信だからすべてに丸々当てはまるわけではないだろうが、大体コンテンツ配信型サブスクなら似たようなもんだと思う。
つまり、サブスクサービスだけだと、制作者や制作現場が疲弊してしまう、ということだ。
サブスクでのコンテンツ配信の弱点を視聴者の側から見てみると、コンテンツの配信が停止されたり、期間限定配信になったりすることがままある。それは上記のような収益性が低いことから来るのだろう。PSnowが最近値下げしたと同時に、コンテンツを増やしているが、期間限定配信というパターンが多い。とてもではないが、最近の開発費のかかる大作ゲームをサブスクで投げ売り、というのは難しい。
結局は、買い切りで開発費を回収したタイトルをサブスクで配信、という程度しかできない。それでもこの収益では、普通に値下げして買い切りで売った方がはるかに利益がでるのではないだろうか。上記の引用した記事でも書かれていた通り、「膨大なコンテンツ資産があること」が前提だろう。そういう意味では任天堂あたりが過去の作品を全部サブスクで配信、とかやればいいのでは、という気もしてくる。
では、サブスクで成功した例、というのは何だろうか。
とりあえずアマゾンプライムだろう。これは筆者も利用している。配送料無料、あとは各種サービスで書籍、音楽、映画が見放題、という大盤振る舞い。脱税もどきの節税をしているアマゾンであるが、どこぞの潰れかけの動画配信サイトと違ってちゃんと利用者に利益を還元しようとしている点では、よほどまともな思考回路をしているし、そういうサービスが成功するのも当然だろう。
もう一つがアドビのクリエイティブ・クラウドである。
アドビといえばフォトショ、であり、フォトショと言えば「クソ高い」である。昔に買おうと思ったこともあったが、さすがに10万円以上する価格に手が出なかった。つーかPCより高いってどういうこと……
ここのソフトは他にもイラスト、デザイン、映像系が各種取り揃えられており、クリエイティブ業界内ではほぼ標準ソフトとしての地位を確立している。点ではなく、面で攻めている。
そんなアドビの次なる手がクリエイティブ・クラウドだった。これは上記のような様々なソフトが月5~6千円で全て使い放題になるという、ある意味でクリエイターにとっては夢のようなシステムである。クラウドにデータを保管することもできるため、データの共有なども簡単にできる。また、常に最新のバージョンにアップデートされるなど、メリットが多い。珍しくアドビにしてはよく考えていると思わざるを得ない。
このアドビの成功は、今まで培ってきたソフト資産を惜しげもなく解放したことと、それまでのほぼ独占的な地位にあるだろう。また、クリエイティブ業界というある意味で狭い業界で独占的地歩を築き上げたのも大きかった。
こうして独占的地位と相まって、「アドビ税」ともいえるシステムが出来上がっている。最近ではアドビの牙城を崩すべく、様々な会社がアドビの代替アプリを投入してきている。しかし、ちょっとやそっとじゃここまで独占的な地位は揺るがないと思われる。サブスクで囲い込んで、思考停止させているのも見事だ。また、サブスクで問題となる利益配分も、自社のサービスなので全部自社で取るだけなので、収益的にも優秀と言える。一番成功しているのはある意味でアドビのサブスクではないだろうか。
さて、一通り見てきたが、サブスクはこれ一本ではできないやり方だな、という感じである。買い切りなどとセットでやるのが、ほとんどの場合効果的だろう。アドビのような例外はあれど、アドビは業界内で独占的地位を築いているという圧倒的優位がある。
こういった中で、アップルのアプリたちはサブスクで生き残っていけるのだろうか。
まあ、多分ほとんどは淘汰されるんだろうね。
そうやってサブスクというビジネスモデルも洗練されていくだろう。あのアプリストアのサブスク具合は半端じゃなかった。グーグルプレイのアプリが広告まみれなのと同じくらいの酷い症状を示している。
こうしたクソが淘汰されるのか、されないのか、そこまでは分からないが、あまり流行してるからといって安易にサブスクにするのは今後控えてもらいたいものだ。
本当に辟易したよ……
ちなみに、ちゃんとしたアプリなら買い切りで買ってるよ。数百円~千円くらいのアプリならみんなも買うようにして欲しいもんだ。