見出し画像

【MLMの世界】#5 崇拝?

”メグミ先輩とは本当の友達な気がする…”

彼女からの様々な誘いが多くなるにつれ
そんな錯覚を覚えるほどになっていた
だって紹介されるサービス等はクオリティ高いし
適正価格よりも安いし
終われば少し談笑して帰るんだけ

最初怪しんでいたマンションの一室も
新しくできたイケてる仲間との交流の場として
馴染みのある素晴らしい場所になっていく

“素敵なコミュニティの仲間入りできた♪”
そんな風にすら思い始めていた

そんな中、いよいよメグミ先輩の退職日がきた
最後の夕礼で彼女が挨拶し感謝を述べると
取り巻きだった人々は涙を浮かべ
それ以外の人々も彼女の退職を惜しんでいた

それを横目に私は謎の優越感を抱いていた

”別に退職後も彼女とは切れないしな…( ̄ー ̄)”
誰もが憧れる存在であるメグミ先輩が
私とは特別な関係であることが誇らしい

彼女は高いコミュニケーション能力を駆使して
大人数内での存在価値を演出することに長けていたしその努力もしていた

人からどう思われているか
どう魅せれば良く思われるか
そういう観察眼はずば抜けていたように思う

「もうすぐ終わるからちょっと待ってて
最後一緒に帰ろうよ」

彼女の希望で会社の送別会がなかった為
最終日に色んな人に囲まれて惜しまれて
なかなか帰れなかった彼女からそう言われ
余計に鼻が高くなってしまう

本来全く違うタイプの私への
接し方や距離の取り方は見事で
いつの間にか私は彼女を信頼していた

彼女のファッション、メイク、アクセサリー
それらにも興味を持ちアドバイスを求めたり
何かあれば真っ先に相談する

当時レス問題により
夫婦としても出産にしても
見通しが立たずに迷走していた時期

「これからの人生で何を成し得たいのか
結構方向性を見失ってます…
メグミ先輩みたいに副業を成功させて
生き甲斐みたいなものを見つけたい
メグミ先輩みたいになりたいです!」

2人だけの送別会で
そんなことを伝えてしまうほど
私は彼女を軽く崇拝し始めていた

いいなと思ったら応援しよう!