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made with youth :とりまコーヒー「街をつなぐ、フリーコーヒー」
🤝 made with youthとは?
ユース世代(10代〜20代)のための、まちを育む学びと実践の場「watage youth studio」では、ユースの自主プロジェクトを実践する機会として会場の提供や企画協力を行なっています。随時持ち込み企画も募集しています。
✏️ 小泉有加(執筆)
2001年生まれ。明治大学理工学部建築学科を卒業後、NPO法人CHArに勤務。学部時代は箱根、東松山、日本橋などで建物のリノベーションを通じたまちづくり活動に携わる。2023年夏にwatageユーススタジオに参加したことをきっかけに、フリーコーヒープロジェクト「とりまコーヒー」をwatageで開始。watage youth studio 1期生。
とりまコーヒーとは
とりまコーヒーとは、2週間に1回の頻度で行われるコーヒーブレイクを「ともに」つくる実験です。コーヒーを作るプロセスを1人で完結するのではなく、コーヒー豆のブレンドから開催場所の設えを、参加者とともに試行錯誤し作り上げていきます。とりまコーヒーを通じて、watageをみんなのリビングのような場所へと育むことを目指します。
私たちが目指す「みんなのリビング」とは、参加者や主催者などの垣根を越え、自分の場所のように感じながら共に学び、過ごせる空間です。最終的には、みんなでコーヒーを一緒に淹れ始める風景が広がればという想いのもと活動をしています。
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はじまり
とりまコーヒーは大学のキャンパス内で始まりました。コロナ禍で始まった大学生活の中、他学科の人と交流してみたいという思いがきっかけ。始めてみると、大学内にあるたくさんの緑に囲まれた豊かな空間が上手に利用されていないことに気が付きました。「誰も使っていない公共空間をみんなが自分の場所だと思えるためにはどんなツールがあり、どんな空間になればよいのか」コーヒーを配るプロセスを更新していくことで、明らかにしようと研究していました。
メンバー
私たちは明治大学建築学科の連研OBOGとwatageユーススタジオの参加メンバーで構成されています。建築やまちづくり、エスノグラフィー、哲学、コミュニティデザインといった幅広い分野に関心を持つメンバーが集まり、「とりまコーヒー」について日々議論を重ねています。
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とりまコーヒーから生まれる変化
進学先がバラバラだった研究室メンバーが再結集し、「とりまコーヒー」を今年の11月から学内以外の場所で始めることになりました。きっかけは、筆者が、今年の夏watageのユーススタジオへ参加したことです。この場所の想いと地域の可能性を感じ、watageを活用して活動を再開することになりました。
2024年10月にスタートし、隔週で約半年間活動をこれから継続させていきます。現在、開催数回目ですが、わたしたち、とりまコーヒーの開催地であるwatageにも小さな変化が生まれています。
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〈わたしたちの変化〉
「とりまコーヒーの意義」を捉え直す
以前までは、学校のうまく活用されていない空間の利活用として「とりまコーヒー」を定義していました。そして、学内から飛び出してとりまコーヒーを開催してみると、さまざまな人と「ともに」場を作り上げることのできるコンテンツとして捉え直すようになりました。数分間のコーヒーブレイクですが 、さまざまな人との関わり合いの中から毎回設えが変わり、場がセッティングされています。
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〈とりまコーヒーの変化〉
神田珈琲園の店主さんとの関わり
コーヒーを淹れる合間や準備の過程から、様々な関わり合いが生まれることを改めて実感しました。例えば、神田の老舗珈琲店の方と一緒に「とりまブレンド」を試行錯誤したり、学内を飛び越え地域の方々と「ともに」つくるプロセスが生まれました。
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ともにつくる仕掛け
現在は、来てくださる方々と「ともにつくる仕掛け」を意識して毎回設えやコンテンツを試行錯誤しています。一方で、「ともに」つくることを意識し過ぎてしまうとかえって寄り付きづらい場になることも発見もありました。
例えば最近作り始めたランチマップでは、来てくださる方々に「神田のおすすめランチスポット」をお聞きし、マップ化して展示していますが、アンケート調査を全面に押しすぎてしまうと、来てくださる方々が話しづらくなってしまうことに気がつきます。
このような気づきから、今後も場の設えやコンテンツづくりの試行錯誤を重ね、より多くの人々と共に「ともに作り上げる」体験を共有していきたいと考えています。
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watage(場)の変化
①空間の使われ方
2週間に1回、大きなピクチャーウィンドウがコーヒーショップのような構えに変化し、小さな溜まり場が生まれました。その効果は、watageの内部空間にも波及し、みんなで円卓を囲むような光景が広がり始めました。
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②神田で働いている方々との接点
小さな活動ではありますが、毎回十数名の方々にお立ち寄りいただいています。コーヒーを淹れる数分の会話から、おすすめのランチスポットや、他の地域のまちづくり活動をご紹介いただいたり、ご近所の八百屋さんからみかんをお裾分けしていただきました。神田で働く方々や飲食店の方々と関わる機会が増え、神田の雰囲気を肌で感じるようになりました。
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今後に向けて
10月から再スタートしたとりまコーヒーは、watageのほか川崎や他拠点でも活動を広げています。数分間のコーヒーブレイクを「ともに」つくる実験を通じて、さまざまな場所に「みんなのリビング」を育むことができたらと思います。2月以降も隔週水曜日にwatageにて開催しますので、ぜひお立ち寄りください。