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HARICOGRAPHY_2022 AUTUMN Flyer
七月某日、東京の北千住で絵馬制作を八代続ける「吉田絵馬屋」を訪れました。学業成就などの願掛けをして神社などに奉納する絵馬を描くお店で、お稲荷や牛や鶏などのシンプルで洒落た絵馬を多く見せて頂き、貴重なお話も伺えました。工房内は筆や絵皿が無駄なく整頓され、見本の絵馬が飾られている様子など、膨大に積み重ねられた時間を物語るような神聖で美しい場所でした。そこで目に入ったのが「際物問屋」と彫られた板でした。キワモノドンヤ?と思いあとで調べてみると、「際物」とは"正月の羽子板や節句人形など、ある季節のまぎわにだけ売れるもの"とあります。現在ではそれが転じて"一時的な流行を題材にした商品などの安直で出来の悪いもの"、という皮肉めいた言葉となったようです。
民藝運動を興した柳宗悦はかつて「下手物(げてもの)」と呼ばれる、安くて粗雑な生活雑器などに美的価値を見出したと言われています。実用性に満ちた生活の中の美(下手物)がある一方、暦に則した民間信仰や風習といった儀礼性に満ちた領域には「際物」というものの美があるのではないかと、吉田絵馬屋の工房に飾られた絵馬を思い返すたびに感じます。さて年末に向けて際物が活躍する季節となりますが、私も際物作りを極めていきたいと思います。
HARICOGRAPHY 渡部剛(2022年9月 日毎に大きくなる栗のイガが澄んだ青空に突き刺さる西荻窪にて)
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