スぺイサイド⇒アイラ島⇒キャンベルタウン⇒アラン島へ その⑤
旅の3日目、アイラ島の2日目は、アイラ島の南岸にある蒸留所(ポートエレン、ラガブーリン(ツアー)、ラフロイグ、アードベック)を午前中に巡り、午後はブルックラディ蒸留所のツアーに参加し、その後はフィンラガン湖の湖畔にある城跡を訪れました。今回その⑤ではポートエレン蒸留所、ラガブーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所について紹介します。
宿泊していた場所(Tigh na Crois)からアイラ島南岸までは、ボウモアの街を経由して車で30分~40分程度です。アイラ島は一時間程度のドライブで大体の場所に行ける広さです。
アイラ島南岸には、アードベック、ラフロイグ、ラガブーリンの「キルダルトン3兄弟」の蒸留所が有名ですが、2024年3月にはポートエレン蒸留所が生産を再開しましたので、今後は「4兄弟」になるのでしょうか。
アイラ島を訪れた当時は2023年8月でしたのでポートエレン蒸留所の写真は工事中の様子です。
先日(つい先週末)、スペイサイドのクライゲラヒーにあるハイランダーインを訪れた際、バーで隣にいたディアジオ勤務の方から、ポートエレン蒸留所の立ち上げから帰ってきたところで、最初の樽詰めが終わったばかりだと聞きました。
ハイランダーインのバーはウィスキー好きには訪れる価値のある場所で、素晴らしいホスピタリティとリーズナブルな価格で美味しいウィスキーを楽しめます。
話がそれましたが、ポートエレン蒸留所の側には、ディアジオが所有するモルティング設備もあります。どの程度の蒸留所がここでモルティングされたモルトを使用しているのでしょうか。
ポートエレン蒸留所を後にし、ラガブーリンの蒸留所ツアーまで時間があったのでまずはラフロイグの蒸留所へ。
ラフロイグは、スコッチの中でも特にスモーキーなウィスキーの代表格です。蒸留所は白く塗られた外壁と黒い屋根で統一されており、非常に美しいです。
ビジターセンター内に歴史の展示もあり、ツアーが無くてもラフロイグの歴史を知ることが出来ます。
ラフロイグ蒸留所は、スコッチの中でも特にスモーキーなウィスキーで知られており、そのピーティーな風味が好き嫌いがはっきりと分かれる点で有名です。
スコットランド人との会話の中で、「二日酔いの時にどうする?」と聞いたところ、「ラフロイグを飲め!」と言われる程ピート感が強い事をスコットランド人も認識しているのでしょうか(若しくは迎え酒の一種?)
私はピーティーウィスキーがそれ程得意でないですが、ウィリアムソン(ラフロイグを使用したボトラーズリリースの際に使われる名前で、その由来はベッシー・ウィリアムソンから)のボトルは比較的マイルドでくせがそこまで強くないピーティーで飲みやすいと感じました。
ラフロイグ蒸留所では、蒸留所名が入ったグラスを購入し、その後ラガブーリン蒸留所へと向かいました。
ラフロイグ蒸留所からラガブーリン蒸留所までは車で5分程度です。この頃には天気も晴れ間を見せ始めました。
ラガブーリン蒸留所では、ツアーのチェックイン後、待合室でツアー開始を待ちます。この日は初めて子供の参加者がいました。これまでは大人ばかりでしたので、新鮮な感じがしました。
蒸留所のコンセプトなのか、ショップも待合室までの廊下も雰囲気が昔の学校の校舎の様でした。
アイラ島の川の色はその色が自然に茶色をしています。ピート層で水が含まれるミネラルと反応し、ろ過される過程でナチュラルカラーが茶色になるための様です。スコットランドの他の地域でも同様に茶色の水が見られることがありますが、それはピート層が広範囲に存在し、その特性が水の色に影響を与えているからかもしれません。
観光地だからか、各国言語での説明があり、日本語も。ミリングでは、大麦麦芽(モルト)を粉砕し、ハスク、グリッツ、フラワーを混ぜたものを「グリスト」といい、マッシュタンに入れます。ハスク:グリッツ:フラワー=20:70:10で、ハスクが少ないと水が流れて十分に糖が抽出されず、多いと詰まる(マッシュタンのそこはメッシュになっていて麦汁がろ過される仕組み)、フラワーが多いとドロドロになってメッシュが詰まるそうです。
マッシュタンでは、グリストとお湯を混ぜて麦汁(ウォート)を作ります。ラガブーリンではお湯を4回加え(大体の蒸留所は3回)、温度は50度から始めて最後には90度近くまで上げます。
ウォッシュバックに麦汁(マッシュタンからウォッシュバックに移す際に温度をコンデンサーを通過させて20度弱まで下げる(イーストが滅菌されるので))と酵母(イースト)を入れ発酵(ファーメンテーション)を行う。発酵時間、酵母の種類でもろみ(ウォッシュ)を作る。発酵の過程でイーストが糖を分解しアルコールと二酸化炭素が生成される。ウォッシュのアルコール度数は8度~9度程度で、味は甘くない乳酸飲料のような感じ。
発酵時間が長ければ長いほど、よりトロピカルフルーツのような味わいになるそうです。ラガブーリンでは発酵時間は約54時間です。
出来上がったウォッシュをポットスチルに入れて蒸留する。スコットランドのモルトウィスキー蒸留所は2回蒸留が多いが3回蒸留の蒸留所もある。最初の蒸留器をウォッシュスチル、2回目の蒸留器をスピリットスチルという。
ラガブーリンのポットスチルはずんぐりむっくりな形が特徴(個人的にはお菓子のアポロの形に見える)。ネックが短いのでリッチな味わいが取れるそう。
ニューメイクとして取り出されるのはハートの部分(蒸留の最初をヘッド、途中をハート、最後をテールという)で、蒸留所によって時間や度数が決められています。
ニューメイクをオーク樽に詰め、3年と1日を経過するとスコッチウィスキーとして名乗ることができます。熟成倉庫では樽出し原酒を楽しむツアーもありました。
熟成倉庫を見学した後はテイスティング(私は匂いを嗅ぐだけですが)でした。
左から8年、ディスティラーエディション、14年フェスエディション2023。
味わいは8年はオレンジの様なフルーティさ、ディスティラーエディションは甘い(ハチミツ、ベリー?)、フェスエディションはバニラ、アーモンド、ココナッツ感。フェスエディションはアメリカンオーク(バーボン)熟成をブランデー樽でフィニッシュとの事。
ラガブーリンは16年がスタンダードボトルと思っていましたが、現在は12年、8年もラインナップに入っている様ですので、リリースを早めたい意図なのでしょうかね。
個人的には16年はピートウィスキーの中でも複雑で旨味が強く感じられて好きです。8年だとちょっと若いかな(スパイシーさもあるかなと)という印象です。美味しい事には変わりないですが。笑
お昼をアードベックで食べて午後にブルックラディ蒸留所のツアー、フィンラガン湖の訪問はその⑥で記載したいと思います。
翌日のアイラ3日目では残りの蒸留所(キルホーマン(ツアー)、カリラ(ツアー)、アードナホー、ブナハーブン)を巡り、キンタイア半島のキャンベルタウンを訪れましたのでそちらその⑥の後で記載していきたいと思います。