見出し画像

雪は窮屈。本当は引きこもりたいけど、あの日の自分を満たしてあげたいから私は雪でも外に出る。

昨日から私が住む関東にも雪が降り、あたり一面真っ白になった。この辺も2.3cmほどの積雪があったが、東京で1cm以上の積雪が観測されたのは実に2年ぶりらしい。

雪の生活に慣れていない関東の人々は、この雪をどう感じているのだろうか。

SNSでは、「雪が嬉しくて積もる雪で家族みんなで雪だるまを作った」なんていうのを目にしたのだが…。

私はというと、雪には一瞬たりとも触れたいとは思わない。

東北出身の私だが、雪が大の苦手だ。
私の生まれ故郷は東北の日本海側、豪雪地帯。
毎年冬には3mくらいはザラに雪が積もる。

さらに私が生まれ育った地域は、県内でも特別豪雪地帯と呼ばれ、雪が住民の生活に著しい支障を生じる地域に指定されている。

雪に関連するすべてのものに私の細胞は反応して、たちまちどんよりとした、いや〜な感覚になる。

子どもの頃に感じた、自分の力ではどうにもならない不自由さを思い出すからだ。

子どもの頃の私にとって、冬は…雪は…辛くてしょうがなかった。

「どこにも行けない。」

私の母は、車の免許を持っていなかった。
父は単身赴任をしていて週末しか家に帰ってこなかったから、我が家には車という移動手段がなかった。

都会に住む人々にとってはピンとこないと思うが、田舎生活で車がないのは本気で死活問題。
ほとんどのお家は、大人の人数=車の所有数で、特別な理由がない限り大人はまず運転する。

6,000人に満たない人口のこの村には、娯楽がない。コンビニも病院もスーパーさえもない。この村だけでは、何も完結しないのだ。

親の行動範囲がそのまんま私の行動範囲になるので、子どもだった私にはなす術がなくて落胆した。

そして、この村には排他的でちょっと変わったモノを受け付けない独特の空気があった。
(これは田舎あるあるなのかも)

香水を付けたり、制服のスカートを短くしたら色気づいたと噂されるような

病気か何かで足を引きずって歩く奥様を陰で嘲笑うような

子連れ再婚でやって来た人に後ろ指刺すような

面と向かっては出さないが、腹の内では他を寄せ付けない、そんな雰囲気が。

私は小さな頃からこの雰囲気がちっとも肌に合わなかった。

私の住む世界は狭すぎて、とてつもなく窮屈だった。

ただでさえ窮屈な思いだったのに、
それにプラスして雪なんて降ってしまったら、どこにも逃げ場がないほど身も心も閉ざされてしまうのだ。



雪は窮屈。

今でも私は「一生雪のないところに住みたい」が口癖だ。
夫の転勤で、幸いにも今は南関東に住んでるので、雪が滅多に降らないというだけで私のQOLは上がる。

雪が降ったら、特別用事がない限りお家に引きこもるのが一般的だろう。

雪になんて触れたくないから私もできればそうしたい。

でも、私は雪の日こそ外に出る。

ママ友達が今日はお家でゆっくりするわと言っている最中、私は完全防備で隣駅の支援センターまで娘を連れて行ってきた。

雪の中でも自分の力でこんなに自由に動けるんだと

誰にも何にも縛られることなくもう私は自由なんだと

私の中の全細胞に言いきかせるように。
子どもの頃の自分を満たしてあげれるように。

私の目からは、今日の娘はいつも以上に楽しそうに見えた。



いいなと思ったら応援しよう!