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AI外観検査の品質について


はじめに

皆さんはAIで外観検査を行う際に、品質についてどう考えているでしょうか。

「今まで人がやっていたことをAIがちゃんとできるか不安で、品質が落ちるのではないかと心配だ。」
「人が検査を行うとミスやばらつきが大きいので、AIの方が品質が向上するはずだ。」
など様々な意見があると思います。

もしかしたら、数年後はAIでの検査が標準になっていて、人が検査を行っていると品質が不安視されるような時代になるかもしれません。

しかし、品質とは一体なんなんでしょうか?
まずは、品質とは何なのかを整理していきたいと思います。

品質の定義

品質とは、不良品が市場に出回らないように検査を行い、事故を未然に防ぎ、お客様の信頼を守ることで保証されます。

そのため、良品と不良品をしっかり定義し、不良品を検出できるような検査を行う必要があります。

では、品質にとって人やルールベース、AIなど、誰が検査したが重要なのでしょうか。

人が目視で検査した場合は、優秀な人が検査した場合でもそうでない人が検査した場合でも、等しく市場に流通してしまいます。それはAIでも同じことで、たまたま優秀なAIが出来て上手くいくこと、たまたま上手くいかないAIが出来てしまうことだってあると思います。

AIの作成をとある会社に任せたとして、その会社が不祥事でも起こせば、巻き添えを食ってブランドイメージが下がってしまいます。

ではどうすれば品質を守れるでしょうか。
それは誰が検査したかではなく、どんな検査をしたかを示すことです。

製品の開発プロセスで発生しうる欠陥や製品として守らなければならない基準があると思います。
それらを人であれ、AIであれ、どういった工程を経て検査OKとしているかが重要になります。

今までは人が目視で検査していたため、検査基準が曖昧であったり、
良品、あるいは欠陥部分のみAIに覚えさせて検出しているケースもあると思います。
これらは検査した人やAIの能力に完全に依存してしまい、なぜOKと言えるのか説明が難しいです。
特にAIはブラックボックスと言われていて、何故上手くいったかを説明するのが非常に大変です。

そのため、人、AIいずれにしても検査の工程は明確にすべきです。

基板検査の例

基盤に対して表面の時は汚れがあるか確認、裏面はキズがあるか確認する検査があるとします。

表面の汚れ
裏面のキズ

この時、人間が検査する際には以下のステップを行っていると思います。

人間の検査フロー

  1. 基盤を見つける(部分的でなく全体を捉える)

  2. 表か裏か確認
    3a. 表だったら汚れを探す
    3b. 裏だったら傷を探す

このように、どんな検査をしたかを示すことで、より品質を保証しやすくなると思います。
AIも同様のフローで検査することでより説明しやすくなると思います。

品質の安定性

品質を保証するための検査については述べましたが、検査が継続的にしっかり行われないと品質を安定させることはできません。

現場では、タクトタイム内に検査を完了させないといけないことが多いと思います。
その際に、熟練者は大事なところとそうでないところのさじ加減が分かっているので、時間をかけずに検査できますが、新人にはさじ加減が分からないのでタクトタイムに間に合わず検査漏れが生じることもあると思います。

また、人間は疲れや体調の変化で判断が鈍ったりします。

さらに、工場や拠点ごとに検査ロジックが異なったりすると品質もバラバラになってしまいます。
そのため、検査の自動化には以下のようなメリットがあります。

自動化のメリット

  • 品質の安定化

    • 検査員の技量のばらつきをなくす

    • 工場やラインごとに同じ検査を提供

  • コストダウン

    • 人件費削減

    • 工場やラインごとに同じ検査を提供

  • データの蓄積

    • 分析を行うことで生産工程の改善

自動化によるデータの蓄積

メリットにデータの蓄積と書きましたが、検査を自動化することで、画像や検査結果がデータとして残ります。
このデータを持っているだけでも、検査を行った証拠になるのでトレーサビリティの向上などに役立ちます。

ただそれだけではなく、さらに分析を行うことで生産工程の改善が可能になるかもしれません。

例えば、検査結果を分析することで、1日のうち昼に生産した製品のみ欠陥がでやすい、欠陥部位が左側に集中するなどの情報が出てくるかもしれません。
その情報をもとに生産ラインの改善、次に作るラインではそれらを踏まえた設計を行うなどのアプローチを行うことで、不良品の数を減らすことが出来ると思います。

検査をして品質を保証することは必ずやらなければいけません。
しかし、それだけではなく分析を行うことで品質そのものを上げていける可能性があると思っています。
皆さんも是非考えてみてください。

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わた
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