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【劇作家だからこそ生み出せた第4視点の実写化作品--映画評『何者』】(2016年11月19日)
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タイトル: #何者
監督: #三浦大輔
脚本: #三浦大輔
原作: #朝井リョウ
ジャンル: #サスペンス
製作年: #2016年
製作国: #日本
続編予定: #完結
上映時間: #97分
出演: #佐藤健
#菅田将暉
#有村架純
#二階堂ふみ
#岡田将生
#山田孝之
評価:★★★★☆
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【あらすじ】
就職活動の情報交換のために一部屋に集まった5人の22歳。内定だけが肯定とされる就活を通して自身が「何者」なのか、それぞれが思いや疑問をツイートに抱かせて就活に立ち向かっていた。だが、それは表の顔。内定が決まらない中、お互いの就活へのスタンスや取り組み方の違いに嫌悪感を抱き、やがて人間関係にも歪みが生じ始める。そして「内定者」が現れたとき、見えてきたのは自身すら知らない裏の顔だった……。
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【感想的な雑文】
本作は一部屋に偶然集まった5人の大学生の『Twitter』を通して見た就活にまつわる精神密室劇だが、ただ単に「今時の就活生たちの一部始終を描きました」では終われない人間の弱さ・怖さ・醜さがそこにはあった。
自分が仲間と居る時に書くツイートを演劇の観客として見たとき、何を思うか。原作が世に発表されたとき、一部ネットでは「就活生を殺す小説」と呼ばれていた。それほど読者を世界に引き込ませるのだから、直木賞を受賞するのも納得できる。
一見刹那的題材に見せといて、21世紀前半の社会体制を普遍的に描いているので、自分たちが50年前の映画を観たり、100年前の小説を読むように、きっと50年後も100年後も見られるでしょう。
そして劇作家でもある三浦大輔監督の畳み掛ける後半の演出がニクいほど素晴らしい。演劇に挫折した主人公と無意識に比較してしまうのも計画なのか。
あと映画の結末は原作と少し違っている。でも、それは上映97分以内に無理やり収めたとかでなく意図的に。97分以降も彼らは生きていると知らせる為に。
ずいぶんと長くなったが……この作品は小説的にも映画的にも傑作であると普遍的に証明された、と自分の中で思っている。
これから就活を迎える就活生には大変キツい内容かもしれないが、端の見えない社会の大きい流れに乗っていく・乗らされていく彼らの姿をTwitterのように観客から見てみるのも“アリ”だと思う。
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【本日の参考文献】
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【あとがき】
--と、ここまでが当時映画館で観た感想で、あれから就活はともかくSNSの形は大幅に変わり、今や『LINE』『Instagram』が若者の(ヒエラルキーも含めた)コミュニケーション・ツールとなってます。就活を控える現在の大学生(二十歳前後)が観たら、終始『Twitter』しか出てこない環境にどういう感想を抱くのでしょうか。
「本作は2012年時点の就活スタイルを描いている」と細やかな時代背景を汲み取る読解力があるか別に問われそうです。
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