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CEATEC 2024参加レポート 学生ボランティアとして出展側参加してきました!

2024年10月15〜18日に幕張メッセで開催されたCEATEC 2024に参加しました!


展示会 初出展側参加(学生ボランティア)

私が参加したのは17日の1日だけでしたが,午前中は普段お世話になっている大澤先生の研究室の共同研究先であるartience株式会社の出展を学生ボランティアとしてお手伝いしました.

学生ボランティアのプレートの画像
学生ボランティアのプレート

artienceと大澤研究室はHAI(Human-Agent Interaction)の社会実装を目指し,”AIエージェントとともに過ごす未来”コンセプトに関しての共同研究を行っています.共同研究の内容に関しては後述します.

ブース内の共同研究紹介の画像 「共同研究が目指すAIエージェントが居る未来」 artience × OSAWA lab. artienceのミッション「感性に響く価値を創りだし、心豊かな未来に挑む」artienceは、「art」と「science」を融合した言葉です。scienceの最先端にあるAIとartの本質にある人が融合し合う世界の実現のため、日本大学部理学部の大澤研究室と共同研究をスタートしました。人だけでも、AIだけでもできないことを協力して実現するHAI(ヒューマン・エージェント・インタラクション)を社会実装することで新たな価値を創出し、”心を想定される”AIエージェントとともにすごす未来を具現化する取り組みを進めています。 日本大学文理学部大澤研究室のミッション「ともにドラえもんをつくる」誰しもがドラえもんと認めたくなるような、皆に愛されるドラえもんを、たくさんの人との協力によってつくります。
そして「ともにドラえもんをつくる」というビジョンにより、たくさんの人を幸せにします。当然、完成したドラえもんは人を幸せにしますが、
ドラえもんをつくる過程も関わった仲間たちを辛せにします。 人とAI・ロボットのいい関係を追求するHAI(ヒューマン・エージェント・インタラクション)「ともにドラえもんをつくる」ために大澤研究室が力を入れている研究分野がHAI(ヒューマン・エージェント・インタラクション)です。HAIとは、人とAI(人工知能)がお互いに協力し合うことで、科学・技術と人のより良い関係を生み出します。これまでのアプローチでは、「人だけで解決」人に頼ることで、技術的な問題は解決できますが、必ずしも協力が得られるとは限りません。「AIだけで解決」AIの技術だけで解決しようとすると、高度な技術が必要となり、開発が難しくなることがあります。
HAIでは、人とAIを一体のシステムとして捉え、それぞれの長所を活かしながら、協力して問題を解決します。 「トモニゴー™ ~AIエージェントとからくりチャレンジ~」 今回はHAIの考え方をベースにし、人とエージェントで協力してからくりをクリアしながら、ボールをゴールまで運ぶゲームにチャレンジしてもらいます。人とエージェントで、ともにGO! artience × 大澤研究室「心をつなげるHAIの社会実装」artienceと大澤研究室の共同研究ではこのHAIを社会で生きるすべての人を取り残すしことなく、一人ひとりに適したAIエージェントとして社会実装するべく究を進めていきます。
ブース内の共同研究紹介

今回のCEATECではそんなちょっと先の未来を体験できる,HAI体験型コンテンツ「トモニゴー™ ~AIエージェントとからくりチャレンジ~」を出展しました.本出展は,AIエージェントと共生する未来を具現化し,体感していただく取り組みです.展示内容の詳細は後述します.

私は当日,集客係としてサポートさせていただきました.「未来のAIを体験してみませんかー??」と言いながら名刺サイズのカードを配る役です.大澤研究室の公式𝕏の以下の投稿の2枚目の画像右下に,エプロンをつけて集客している私が写っています♪

学生ボランティアの役割分担を割り振ったのは,共同研究に従事している大澤研究室の先輩でした.私を集客係に選んだ理由は,コミュニケーション能力が高く,物怖じせず話しかけに行くことができ,無視されても耐えられるだけのメンタルの強さがあるから,だそうです.普段からお世話になっている先輩にそのように評価されることは嬉しいですね!が,はじめはかなりしんどかったです…….朝はまだまだ来場者数も少なく,めちゃくちゃ暇でした.しかも,声をかけた大抵の人が無視をするか「大丈夫です」と言うので(私も参加側だと実際そうしています)メンタルは削れていくし,ずっと立っているしで,開始数十分で早くもやる気が無くなりそうでした.しかし,来場者が増えてくると足を止めてくださる方も増えてきたので,すかさずカードを渡し,「よかったら体験されて行きませんか?」と声を掛けました.「どのような展示ですか?」と尋ねられた際には,軽く共同研究の紹介をし,展示のコンセプトや意図,体験していただく内容をお話ししました.私の話を聞いて,おもしろそうと列に並んでくれる方もいれば,もっと詳しい話を聞きたいと言ってくれる方もいました.ボランティアの時間が終わった後には,大澤先生と役割分担を割り振った先輩から,「素晴らしかった.渡邊くんには適任だったね」と褒めてもらえました!

さて,今回の展示のターゲットは女子高生・女子大生だと大澤先生は言っていました(これ言っても大丈夫なやつですよね?).HAIを社会実装するためには,まずより多くの人に興味・関心を持ってもらい,親しんでもらう必要があります.そこで,「流行の原点は若年層の女性から生まれる」との見解から彼女らをターゲットにしたそうです.そのため,展示会では見慣れないほのぼのとしたデザインのブースとなっていました.さらには,展示に惹かれた若者たちが体験するために列に並び,若者たちで賑わっているブースを見たビジネスパーソンたちが関心を寄せてくる,という流れを生み出すことのできる計画でした.さて,いざ当日になってみると,計画通り,いえ,想像以上にとても良い流れが生まれたのでした.複数の高校が校外学習としてCEATECに参加しており,当日は大勢の学生が体験しに来てくれました!!私が参加した日は特に大人気だったようで,その日は体験の列が途切れることが一度もなかったのです!!

多くの学生で賑わうブースの画像
多くの学生で賑わうブース

実際,私の元にも「大盛況ですね」「賑わいを見て興味を持ちました」と話してくれる方々もいました.中には研究内容や社会実装に関心を持ってくれくる方もいて,そのような方々を大澤研究室のメンバーやartienceの社員の方々に繋ぐこともできました.

多くの人に研究を紹介することで,研究テーマについて深く理解することもでき,説明する能力も高まりました.また,様々な人と意見を交わすことで,視野を広げることができ,とてもワクワクできました!

artience × 大澤研究室 共同研究テーマについて

※私は本研究の関係者ではなく,あくまでサポートボランティアのため,大澤先生や研究に携わっている先輩方から教わったこと,各公式サイトから学んだことをもとに記述します.

HAI(Human-Agent Interaction)とは

文字通り,「人間」とAIなどの「エージェント」との「相互作用」を対象とした研究領域です.問題解決におけるこれまでのアプローチでは,人だけで解決する方法とAIだけで解決する方法が取られてきました.人に頼ることにより,技術的な問題を解決することができますが,必ずしも協力が得られるとは限りません.さらに,昨今話題の生成AIが浸透してきてからは,問題をAIに投げて解決するようになりました.しかしながら,現在のAIだけではまだまだ難解な問題を解決することが不可能です.また,AIだけで解決しようとすると,高度な技術が必要となり,開発が難しくなることがあります.そこでHAIでは,エージェントに問題解決を助けてもらっている我々人間が,エージェントができない部分を手助けすることによって,それぞれの長所を活かしながら,協力して問題を解決します.

ポイントは,人間とエージェントが互いに寄り添いあうことです!

artienceのミッション

「感性に響く価値を創りだし、心豊かな未来を実現する」
artienceは,「art」と「science」を融合した言葉です.人々が心豊かに暮らすことのできる社会の実現を目指し,新たな価値の創造に挑み続けます.

大澤研究室のミッション

「ともにドラえもんをつくる」
誰しもがドラえもんと認めたくなるような,皆に愛されるドラえもんを,たくさんの人との協力によってつくります.

artience × 大澤研究室のミッション

「心をつなげるHAIの社会実装」
人だけでも,AIだけでもできないことを協力して実現するHAIを,一人ひとりに適したAIエージェントとして社会実装することで新たな価値を創出し,AIと人が共存できる社会をつくりだします.

HAI体験型コンテンツ「トモニゴー」

今回の展示では,”AIエージェントとともにすごす未来”が体感できるHAI体験型コンテンツを出展しました.エージェントがディスプレイや装置に憑依し,エージェントと協力してボールをゴールまで運んでもらいました.

artience株式会社展示ブースの画像
artience株式会社展示ブース

コンテンツ紹介

ブースは壁で仕切られた3つのスペースに分かれています.はじめのスペースでは,共にミッションをクリアするパーソナルエージェントとの出会いがあり,オリジナルの名前をつけられます.

次のスペースでは,エージェントとの仲を深めます.エージェントにお願いすると,ロボット掃除機やドライヤーに憑依して動かしてくれます.エージェントがドライヤーに憑依しているときに限り,ドライヤーを撫でながらエージェントを応援すると風力が強くなります.また,自分がつけた名前で呼んだり,ハイタッチすることにより,エージェントとの絆が強くなります.

一緒に協力してくれるAIエージェントの画像
画像出典:artience."一緒に協力してくれるAIエージェント."CEATEC 2024でHuman-Agent Interaction体験コンテンツ「トモニゴー」を出展.https://www.artiencegroup.com/ja/news/2024/24091901.html

最後のスペースでは,実際にボールを運ぶミッションに挑戦してもらいます.このコースは,人間だけの力でもエージェントだけの力でもクリアすることができません.エージェントにもできることとできないことがあるので,互いに協力し合うことが必要なのです.

コース解説

さて,少しコースの解説をしましょう.上の画像を拡大しただけのため,画質が荒いのは,まぁ,大目に見てください.

まずはじめ,スタート位置からボールがだんだんと転がり落ちてきます.すると,ロボット掃除機の前に落ちるので,ここでエージェントに掃除機に憑依してもらい,ボールを前へ進めてもらいます.

スタートからロボット掃除機までのコースの画像
スタート〜ロボット掃除機

ロボット掃除機が先へ進むと,くまのぬいぐるみによって行手を阻まれます.エージェントはこのぬいぐるみをどかすことができないため,人がどかしてあげる必要があります.

障害物のくまのぬいぐるみの画像
障害物のくまのぬいぐるみ

まずは,右下から左上へと斜めに伸びているパイプです.ここでは,ドライヤーと空気入れを利用してボールを上へ運びます.エージェントにドライヤーに憑依してもらうことでボールが登って行きますが,それだけでは最後まで登り切ることができなくなっています.そこで,ドライヤーを撫でてエージェントを応援してあげるか,空気入れを使用して手伝ってあげましょう!ちなみに,全力で空気入れをプシュプシュすることで,エージェントの力を借りずに一人で登り切らせることもできます.

次のカーブしているパイプでは,人間が矢印の方向に取手を引っ張ってボールを弾き飛ばします.

上りパイプの画像
パイプ登り

まずボールに段差を登らせるために,装置を足で踏み空気を送ります.ここでもエージェントは物理的に干渉できないため,人間の力で行います.

最後に時計です.ねじ巻きがあるので回してみましょう.回してみると気づくのですが,めちゃくちゃ大変です.そこでエージェントにお願いしてみましょう.なんとエージェントは時計の針も回してくれるんですね.これに気づかずに,最後まで回し切っている体験者もかなりいました.

上り段差から時計までの画像
段差登り〜時計

時計から転がってきたボールが最後のディスプレイ横の穴に入ると,ディスプレイ上のエージェントが受け取って,ガシャポンのカプセルを下の引き出しから出してくれます.

ゴールのディスプレイの画像
ゴール

エージェントとのコミュニケーション解説

さて,ここまで詳細にコースを見てきました.エージェントが時計のねじ巻きを動かせることに気づかなかった体験者が多かったと書きましたが,実はエージェントができることとできないことにはヒントが与えられていました.それはエージェントとしっかりとコミュニケーションを取ることでわかります.ちなみに,この節での解説は研究関係者から説明を受けたわけではなく,ボランティアをしながら観察した上で気づいたことです.

下のように,エージェントには様々な表情があります.エージェントが手伝うことのできる箇所では,力こぶを作るようなポーズをします.自然言語は発しませんが,まるで「頑張るぞ」と言っているかのようです.一方,エージェントが手伝うことのできない箇所では,ポンポンを持って応援してくれます.ですが体験の様子を見ていても,ディスプレイ上のエージェントを注視し,コミュニケーションを図ろうとする体験者はなかなかいなかったです.大澤研究室ではどのようにしたらエージェントやロボットに心を感じられるか,といった内容の研究も行われていますが,どうやら出会ったばかりの自然言語を話さないエージェントと心を通わせることはまだまだ難しいようです.

一緒に協力してくれるAIエージェントの画像
画像出典:artience."一緒に協力してくれるAIエージェント."CEATEC 2024でHuman-Agent Interaction体験コンテンツ「トモニゴー」を出展.https://www.artiencegroup.com/ja/news/2024/24091901.html

ちなみに,もっとわかりやすいヒントもあります.よく見ると,エージェントが憑依することのできる家電にはカラフルなしま模様のテープが貼ってあります.

カラフルなしま模様のテープが貼ってあるブース内の家電の画像
カラフルなしま模様のテープが貼ってあるブース内の家電

ブース巡り

せっかく幕張まで来たので,午後は他の企業のブースを見て回ることにしました.ここでは,特に興味深かった4つのブースをご紹介したいと思います.

SHARP

「AI-Powered Innovation」をテーマに,「Better QOL」,「Sustainability」,「Carbon Neutrality」の3つのゾーンを展開していました.中でも Better QOL ゾーンの AI Partner【参考出展】が興味深かったです.テレビに表示したAIアバターとの自然な会話を通じて,おすすめの動画を一緒に観たり,買い物をしたりする新しいライフスタイルを提案していました.

AI Partnerのポスター画像
AI Partner
テレビに映るAI Patnerの画像
AI Partner

これだけでは,ただテレビにアバターが写っているだけな上,画面が小さくなってしまっています.しかしながら,さすが大手の電気機器メーカーですね.パーソナルエージェントとも言えるAIアバターをテレビに組み込むことに成功しています.ここにHAIの考え方を加えれば,多岐に渡る自社製品にパーソナルエージェントを憑依可能にすることで,一気にHAIの家電実装が可能になります.


Gatebox × シャープ

調べていて興味深い記事があったので共有します.

シャープの「エッジAI」とGateboxのキャラクタ召喚装置「Gatebox」が連携することで,AIパートナーがシャープ家電を制御できるようになっているらしいです.アニメやVTuberなどのサブカルチャが人気な日本において,キャラクタ召喚装置はかなり魅力的なものだと思います.さらには,そこに召喚されたパーソナルAIが家電を動かしてくれると言います.これはまさにHAIの社会実装された理想像ではないでしょうか?


ユカイ工学

大澤研究室所属の普段からお世話になっている先輩「触」ハカセこと土橋さんが,ユカイ工学さんのプロダクト甘噛みハムハムの広報大使に就任していたこともあり,彼からよくユカイ工学さんの話を聞いていました.

今回はブースにて, BOCCO emo の体験をさせていただきました.BOOCO emo は置物型のファミリーロボットで機械語を話し,人が意図を汲み取ることでコミュニケーションをとることができるみたいです.また,例えば室内温度が高くなったときに教えてくれる機能などがついているそうです.ここで私は「エアコンをつけるとこまではしてくれないのですか?」と聞いてみました.あえてそのようなことはしないように設計しているそうです.というのも,BOCCO emo は人に行動することを促す目的もあるのだと言います.そういう意味で,温かみのある親しみやすい見た目であったり,機械語を話したりするんだなと感じました.とてもHAI的ですね!

VibraSence

石川工業高等専門学校の学生からなるチームで,起業家甲子園での受賞を経て今度起業するそうです.VR空間でのライブは迫力に欠けるということで,現実世界で感じることのできる音や会場の振動を再現し,VRをよりリアルなものへと近づけていました.具体的には,胸部と足の2箇所に振動デバイス(Vibrasymphony)を装着し,それを音に応じて適切な振動を作成し振動させることによって実現させています.

Vibrasymphonyのポスター
Vibrasymphony

Diver-x

時間がなくて詳しくお話を聞くことはできなかったのですが,グローブ型デバイス「ContactGlove2」を展示していました.Apple Vision Proではハンドトラッキング機能が搭載されていますが,他のデバイスでは大抵コントローラを使用して操作します.ですがContactGlove2があれば,より細かな手の動きを反映させることが可能で,さらにはコントローラを握る煩わしさがなくなります.グラス型デバイスなどと併用できれば,ウェアラブルデバイスのさらなる進歩へとつながるのではないでしょうか?


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