遅すぎるM-1グランプリ2024感想

 M-1終わりました!年も明けました!間違いなく新M-1(2015年以降)の中では一番面白かった大会だと思います!2008年のM-1が、当時8歳でしたけどNONSTYLEとナイツでめちゃくちゃ笑った記憶があって、そのNONSTYLEの石田と、ナイツの塙と、更には準優勝したオードリーの若林が審査員を務めるということで、やはり2008年のM-1って凄かったんだと思います。

 審査員のことは後々書くとして、歴代1,2を争うぐらい素晴らしい大会となった今年のM-1を振り返りましょう!


①令和ロマン
 阿部一二三が令和ロマンを引いた瞬間のどよめきがエグかったですね。昨年トップバッターからの優勝を果たした令和ロマンが再び1番手というまさに劇的な展開でした。ネタも名字と学校という誰でも分かる題材を持ってきて、くるまが知性を感じる持論を披露しながら、「和田」とか「プリントが余る」とかあるあるを差し込んでいく圧巻のしゃべくり漫才。昨年と仕掛け方は一緒だけれど、もっと面白い漫才を持ってくる強さ、一瞬で場を掌握するくるまの圧力が凄まじい。トップバッターは不利だと言われますが、トップバッターだったからこそ生み出すことができた熱狂だったと思います。点数はあくまでトップバッターだからそんなに高くつけなかった人と、でも令和ロマンなんだから高くつけていいでしょって人に分かれましたが、私は少なくとも95点はつけたいかな。


②ヤーレンズ
 そして2番手が昨年準優勝のヤーレンズですよ!これまた凄い展開!おにぎり屋さんのネタでしたけど、ヤーレンズはだいたい「〇〇屋さん」というフォーマットが決まってて、昨年も決勝出てるので手の内を知られちゃってる感じがしますよね。それで、令和ロマンと比べてしまうと進化してないのかな、と。点数も伸びなかったですね、こんなにも及ばないかと思ってしまいました。個人的には出井がおにぎりを持ったままネタが終わって終わって、司会の横に来てからしまってたのがとても面白かったです。


③真空ジェシカ
 3番手が真空ジェシカ!阿部一二三持ちすぎてるでしょ!商店街ロケのネタ、私はこれが一番面白かったと思います。「NHKを観る!」「憲法撤廃」「じゃんけんを難しく」といった偏った政党ポスターの大喜利が全て面白く、ガクの都知事選のツッコミで大爆発してたのが凄かったです。他にも薬指だけ立てるとか、個人経営のチェーン(鎖)店、「TVer?TVer?」、武田鉄矢の逆「武田よく寝た」など全部のボケがパンチ強くてめちゃくちゃ笑いました。


④マユリカ
 4組目は敗者復活のマユリカ。敗者復活といっても昨年4位だから本当に出順が凄いんですよ!阪本の「大急ぎで負けに来たんですか?」「優しい人に会いたい」という平場で放たれた強いワードを、もっとネタに落とし込めることができたら優勝目指せるのではないかと、ナイツ塙がYouTubeで言ってましたが、私もそう思います。


⑤ダイタク
 5組目はラストイヤーで最初で最後のM-1決勝となったダイタク。ダイタクは昨年の敗者復活で父親のボウリング大会の成績が凄いというネタをやりましたけど、何年か前も全く同じネタを敗者復活でやってて良い印象がなかったんですよね。双子のコンビだと私はDr.ハインリッヒが好きで、双子なのに双子なのを一切押し出さず独自の世界観を描く漫才の方が凄いと思ってました。でも、双子を全面に押し出した漫才で15年続けることの凄さと難しさが分かりました。ヒーローインタビューの中で繰り出される「スマホの顔認証突破」「免許更新」というシチュエーションやコメントの一つひとつの大喜利全てハマってて面白かったですが、今回の10組の中ではインパクトが弱かったように思います。そして、今のダイタクの状況を知ってる中、改めて見直すと笑えないです。


⑥ジョックロック
 ジョックロックは関西の漫才師では今年一番評判高かったと思います。結成2年目なのに福本ユウショウのあのツッコミの仕方は勿論のこと、長髪ヒゲメガネ&リーゼントに真っ黒スーツというスタイルをバチバチに作り上げて仕上げたことが凄い!ゆうじろーは今大会では最年少(1998年生まれ)で一番後輩なので愛嬌が凄くありましたね。2人とも一気に心掴まれるキャラクターで、また決勝に帰ってきてほしいと思いました。


⑦バッテリィズ
 7組目はジョックロックと同じく大阪を拠点に活動しているバッテリィズ。偉人の名言をテーマにした漫才でしたけど、凄かった!最近は大学お笑い出身勢の台頭もあって、知性を知性で返して知性で受け取らなきゃいけない漫才が多い(令和ロマンもそうですし、ラランドとか、最たる例はナユタかな)ですけど、知性をアホで受け取る漫才は最近全然なくて、どっちがボケなのか分からなくなるのが新鮮でした。エース絶対売れますね!今回、ジャンプの掲載順なんじゃないかと思うくらいに令和ロマン→ヤーレンズ→真空ジェシカという面白い並びでしたけど、ジャンプでまたワクワクする作品が始まったぞと、どんどんページを捲りたくなるようなネタでした。エースって名前だけど、もうほぼルフィ。本人もONE PIECE好きらしいし。私は昨年の敗者復活でバッテリィズ見ましたけど、初見の人にとってはミルクボーイ級の衝撃みたいで、エースが彗星の如く現れたアホみたいになってましたね。


⑧ママタルト
 まーごめ。「デカすぎるにも程がある」というキャッチコピーとせり上がりの時に上がれ!上がれ!って必死に捲くっている2人の姿が面白かったです。「エアコンのフィルター」の例えと檜原の声のデカさにめちゃくちゃ笑ったんですけど、その後からは檜原がかかってしまってる(個人的にはぼる塾が初めてTHE Wの決勝に出た時の田辺さんを彷彿とさせる)のと、大鶴肥満が「動けるデブ」であることに頼り切りだなってのが気になって、会場も明らかにハマってないのも分かって、今回はダメかもと思いました。檜原は時折マニアックな例えを誰でも知っているかのように差し込んだ、長文のツッコミをしますが、それが檜原の面白さなんです。テレビはもっと檜原の面白さに気づいてください!大喜利もめちゃくちゃ強いですから!


⑨エバース
 私はエバースを今年の優勝予想にしていました。「流石に末締めだろ」が今大会の瞬間最大風速だったと思います。「縦に飲食店が並ぶショッピングモール」「女町田」等どんどん笑いを作り出していましたが、惜しくも4位となりました。これで最終決戦行けないのか。因みに平均94点以上でファーストステージ敗退となるのは史上初らしいです。どれだけ今年レベル高いんだよ。4位のエバースも5位のヤーレンズも例年なら最終決戦どころか優勝できるほどのネタだったように思います。私は来年の優勝予想もエバースにします。


⑩トム・ブラウン
 ラストは6年ぶりの決勝となったトム・ブラウン。唯一、平成のM-1の決勝を知っているコンビです。なんだあのネタは。布川が撃ち抜かれてルンバに乗りながら、みちおは踊っているという画がずっと頭から離れません。マヂカルラブリーが優勝してから、舞台を縦横無尽に駆け回る漫才が増えたように感じますが、トム・ブラウンはそれでもどんなに型が崩れたように見えても、サンパチのそばでやってるんですよね。評価は大吉と塙が95点をつけたのに対し、石田が88点、柴田が今大会最低となる87点をつけ、真っ二つに割れました。本来は賞レース向きじゃないネタをM-1決勝の場で爆発されられる、トム・ブラウンこそが真の漫才師なのかもしれません。そうじゃないかもしれません。因みに立川志らくは100点って言ってました。


 最終決戦はバッテリィズ、令和ロマン、真空ジェシカとなりました。


①真空ジェシカ
 長渕剛のライブの隣で行われているアンジェラ・アキのライブで、ピアノがどんどんデカくなってしまうというネタ。礼をしてから歌い始めピアノを弾くアンジェラ・アキに対し、「イントロは誰が弾いているのか」というツッコミでめちゃくちゃ笑いました。2本目にこんなに狂気的なネタを持って来るのが真空ジェシカですね。


②令和ロマン
 1本目のしゃべくり漫才とは打って変わって、ケムリがタイムスリップする壮大なコント漫才。「固き者」「石僧」「熊猿」へと変貌していくも、あくまでもケムリのままのケムリと、「茶々丸」「知ったか」「2.5次元」と様々な役を演じ分けるくるまの対比が凄まじく、熊猿ケムリと2.5次元の戦いのシーンで大爆発を起こしました。


③バッテリィズ
 1本目は偉人の名言でしたが、2本目は世界遺産をテーマにした漫才。タージ・マハルとピラミッドも大仙古墳も全部墓という墓の畳み掛けでしたが、墓だけだとインパクトに欠けましたかね。それでもバイきんぐは検索ちゃんで墓だけでめちゃくちゃ強いコントをやってたので凄いですね。


 今回は絶対に2択だった昨年とは違い、本当に誰が優勝するか分からない最終決戦となりました。結果は真空ジェシカが1票、バッテリィズが3票、令和ロマンが5票を獲得し、見事令和ロマンが史上初の連覇を果たしました。それも2年連続トップバッターからの優勝。凄すぎる。


 さて、ネタの感想は書き終わったので、審査員の方に触れていきたいと思います。

 
 松本人志が今テレビにいないので、審査員が非常に注目されましたが、松本がいないところを埋めるのではなく、大幅に刷新されました。松本だけでなく、山田邦子とサンドウィッチマンの富澤が降り、オードリー若林、かまいたち山内、NONSTYLE石田、アンタッチャブル柴田、笑い飯哲夫が新たに就任し、人数も7人から9人となりました。また、審査員にいわゆる大物がおらず、中堅芸人ばかりなのは2015年以来9年ぶりとなり、若林、山内、柴田は初のM-1審査員を務めました。
 異例の編成となりましたが、これからは異例じゃなくなっていくんだと思います。KOCはシソンヌじろうにしただけで、準備が整っていないのに対し、M-1グランプリは松本がいなくてもいいように、準備を万全に整えました。今年のKOCに、IPPONグランプリに、ガキ使の浜田雅功新音楽プロジェクトに、水ダウの電気イスゲームに名探偵津田に30-1グランプリにエンジンコータローゆきおとこギブ↑大久保のユニットコントに、もし松本人志がいたのなら、どんなコメントをしたのだろうか、と気になってしまいますが、M-1では抜群のネタの面白さと審査員の的確な採点とコメントで松本人志がいないことを一切気にさせませんでした。でも、やっぱりバカリズムにはチェアマンではなく回答者でいてほしいし、すべらない話もできてないし、水ダウでもまた「定食屋のテレビの位置」級のコメントをしてほしいし、松本人志がいた方が良いに決まってる。M-1決勝の後、ちょうど松本の最初の記事が出て1年くらい経った頃に松本へのインタビュー記事が公開されました。
 松本は春にダウンタウンチャンネルを立ち上げてそこで浜田と一緒に笑いを作っていきたいと言っていました。あの文春の記事が、全て事実ではないにしろ、世の中は混乱したのだから、そのことについてはしっかりと公の場で謝罪すべきです。しかし、一切自分に反論する者がいない、絶対的な安全圏で、謝罪を「被害者の方へはそういう思いをさせたなら申し訳ないと思っている」程度に済ませ、今後の展望を語っている松本の人間性の底が知れ、流石に擁護することが出来なくなってきたと感じました。ジャンポケの斉藤が契約解除、ランジャタイの伊藤がまだ復帰できていない現状や、松本とフジテレビで番組をやっていた中居正広も騒動を起こし、更には引退し、フジ全体が苦境に立たされているのも鑑みると、地上波復帰もうは難しいかもしれません。

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