好きを語るということ
「恥の多い生涯を送って来ました。」
誰もが知っている有名な小説の書き出しで、文章を始めたら駄文になるのが分かる。
ただ自分という人間の自尊心の低さと今回このnoteを書き始めたきっかけにこれ以上の相応しい書き出しは無いと感じる。
はじめまして。
どうも、たかひろと言います。
そこらへんを生きている男性同性愛者です。
「はじめまして」と書いているがこのnoteは元々とある理由で自分の知り合いやSNSのフォロワー向けに書き始めている。
自分は男性同性愛者として生きていき、友達が欲しいきっかけで所謂ゲイバーに飲みに出始め、ゲイ向けのSNSアカウントをここ1年と半年前に作った。
おかげさまで最近は交友も増え友人にも恵まれている。夢のようだ。
ネチネチとインターネット越しに画面の向こう側から、ゲイが楽しそうに生きているところを見るだけで、自らは自室に籠りカタカタPCを叩くだけの生活を送っていた身からすると今の生活の変化は目まぐるしく、とても楽しい。
ゲイバーというお酒の場から交流を始めたきっかけからか、そういった最近できた自分の知り合いからは、自分はお酒を常に飲んでいると思われる印象が強い。
実のところいうとお酒は好きという程ではなかったりする。
日本酒は好きだ。美味しい日本酒を考えるだけで胸の奥底から血が沸騰するような興奮を感じる。日本人に生まれてきてよかったと思う瞬間である。
でもお酒自体というよりも、みんなが普段の日常のしがらみから抜けて楽しく自由にはしゃいでいる「お酒の場の雰囲気」が好きだ。
そして更にいうと、例えお酒が飲めなくても、同じように酒の場の雰囲気が好きでお酒の席に座ろうとして一緒に空間を作ろうとしてくれるのが嬉しいので飲める飲めないは重視しない。
そんな風に思っている自分だからか週末夜な夜な飲みに出る。
こういった自分が好きなものを語るきっかけがあまりない。最近は努力をしSNSで語るようにはしている。というよりかなり意識して自分の好きを発言しようとはしている。ただそもそも口頭だと話そうとはしない。
というのも、自分は自分語りがとことん苦手だ。
自分のことになると歯切れが悪くなる。自分の好きを言語化するのが苦手、というのもあるが、好きなものを喋ろうとすると何かが喉につっかえて遮る。理由は分かっている。
それは自分の未熟さ故に、自分が一番好きなものを捨てた経験があるからだ。
自分はアメリカの美大に進学していた。
自分は好きなものがあって、それに関する夢を持っていて、その夢が自分の人生の全てだと思っていた。
自分は絵を描くのが昔から好きで、得意というほどではないが、その夢への道を志すために絵というのが手段となった為、絵を生業とする道を進むことにした。
実のところ日本の一般的な大学、それも進んでいたらまず食いっぱぐれないような大学も受かっていた。
ただ当時は自分の人生の原動力の全てが自分の夢へのことだったので振り向きもできず進んでいった。
ただ結局自分はその道を進むために実力が足りなかった。
学内では絵の方は評価してもらえてた。教授にも目をかけてもらえていたし絵の成績自体はよかった。ただ他の部分で足りないものが多く、自分が進みたい道に進めないことが判ってしまった。
自分の人生の全てだと思っていた夢を捨てざるを得なくなった。
判ってしまった瞬間、体調を崩した。
外から出れなくなった。
絵が描けなくなった。
描こうとする度に動悸が止まらなくなり汗が噴き出すようになった。
何度も描こうとしても胸の動悸が自分を責め立てる。
筆を持つ手が震えて辛い。
手に持っていた色々な物を折らざるを得なかった。
自分は周りに迷惑をかけて、好き勝手に自分で選んだ道を進んだ結果、得たものは何もなく、挙句の果てに心因的な理由で自分が小さいころから好きだったものも捨てることになった。
あのとき自分が大人しく日本の大学に進んでいたらもう少し未来が明るかったかもしれない。親に迷惑をかけず心配させずに周りにも自分の人生を自慢できる存在になっていたかもしれない。好きなもの考えるたびに不安で辛くならなくて済んだかもしれない。自分のことを語ろうとするたびに自分の人生が恥ずべきものという暗い考えが自分を責めなかったかもしれない。
「やるよりやらなかった後悔」とよくいわれるけど、やった後悔で取返しがつかないものも世の中にはある。
自分は未だに自分の夢の墓場を直視できないでいる。
自分の友人の中でもこの話をちゃんと最後まで話した人は1人もいないと思う。
断片的に話したことはあるが、今も書いてて腹痛と汗が自分を責める。
ただ人とコミュニケーションを図り、自分のことを好きになってもらう上でどこかで自分を語らないといけない。
何故なら自分の「好き」は自分という人間を形成する根幹だから。
自分の好きなことを語りたい。知ってもらいたい。自分が仲良くなりたいと思う相手から人として興味を持ってもらいたい。ただ口頭で話すのは今の自分でも難しい。だから半年程前から自分語りをする場所としてnoteを始めてみようと考えていた。
ここが自分という人間に興味を持ってもらえるきっかけとなる場所となれたら嬉しい。
はい、というわけで非常に暗い話でした。
いきなり語りだしたかと思ったらこんな暗い話しやがってという感じだし、「え?なにこいつ怖……。」と冷めた目で見られながらブラウザバックのボタンが押されてしまってそうだけど、
自分の好きなものを語りたい!でも無理!なんかうまく喋れない!じゃあどうしよう!書くか!というだけの話です。
あと自分は考え事をしてたら数時間経ってしまうとかざらな変なやつなので、思考の整理を兼ねて日々の日記や雑感、臭い内容の読書・映画感想文、あと適当にオタク語りができればいいと思っています。というよりオタク語りができないのが悩みの一つだったのでそれができたらなぁと。
あと真っ当に立派な人生ではなく恥の多い人生を送ってきましたが、自分の人生は人とはかなり違う部分が多いと思うので、思い出話を文字に起こしたいとも考えています。自分の人格形成の骨格となった出来事をポツポツと、気が向いたときにでも。
最後に言及されてしまいそうなことに対し、一言。
好きですよ?
1杯目のビールもおいしいですよね。