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何故金利は長期が先に動くのか?
期間が違えば金利も違う。この認識は金利が動く順序を考えるうえで、とても大事なことだ。
1つのケーススタディで期間と金利の関係を考えてみる。1年定期の利率が3%だとする。そして1年後には1年定期の利率が5%に上がると皆が信じていたとする。この時、2年定期の利率は何%であればいいだろうか?
前提条件としていったん1年定期に預けてそれを引き出し、それを再び1年定期に預けた場合と最初から2年定期に預けても、2年後にはどちらも同じであるべきだ。
~Case Study~
2年定期の利率はいくら?(当初の元本を1とする。)
ケース1: 1年定期の利率が4%だとする。1年後に満期を迎え、6%の1年預金に預けるとする。
1年後→ 1×(1+4÷100)=1.04
2年後→1.04×(1+6÷100)=1.10464
ケース2: 〇%の2年預金に預けるとする。
2年後→1×(2〇÷100)=1.10464 〇=5.232% (つまり2年定期の利率は5.232%)
では1年定期の利率は3%で、翌年も利率が変わっていないと予想されている時はどうなるのか?
ケース3: 1年定期の利率が3%だとする。1年後に満期を迎え、3%の1年預金に預けるとする。
1年後→ 1×(1+3÷100)=1.03
2年後→1.03×(1+3÷100)=1.0609
ケース4: 〇%の2年預金に預けるとする。
2年後→1×(2〇÷100)=1.0609 〇=3.045% (つまり2年定期の利率は3.045%)
上記の計算で何が分かったかというと、1年預金と2年預金の金利の違いは、これから1年後の1年定期利率の予想の違いによって変わっていく。世間が金利が上がると予想している時には、2年定期の方が1年定期の利率より高くなる。反対にケース3・4のように、これから金利は上がらないと考えられている時には、1年と2年の金利差はほとんどない。
このような考え方を期待利子率説(Expectations Theory of Interest Rates) と呼ぶ。現時点で短期金利は動かなくとも、予想が変わると長期の金利が変わるという説である。
今回参考にした文献はこちら↓
なぜ日本の金利は常に米国より低いのか~131のステップで 誰でもできる金利予想の教科書 | 角川 総一 |本 | 通販 | Amazon