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ヤドカリ ②


高校は結局三年生で中退し、高卒認定試験を受けて地元の公立大学に進学した。

少し自由になった私は宿探しに夢中になった。 

家に居たくなかった私は、男子学生の家で過ごすようになった。LINEの友達リストは宿リストと化した。
寂しさ、悲しさ、承認欲求など全てを埋めようと毎日のように宿を借りた。宿を借りている、その時間だけは焦燥感から解放され安堵した。

しかし宿を借りれば借りるだけ体も心も傷ついていった。当時は生きているようで死んでいた、死んだように生きていた。

なんとか大学を卒業した私は、新しい宿を探そうとマッチングアプリを始めた。そして私はある男性と出逢った。しかしこの出逢いがきっかけで私の人生は大きく変わっていった。


彼とはトントン拍子で付き合うことになり、私は同棲する為に地方都市に引っ越した。それによって、田舎で暮らしていたが為に気付けなかった医療や福祉制度を受けられるようになったのだ。
同棲先の地方都市は医療も福祉も発展していた。そして、彼の知り合いの精神保健福祉士との出逢いもまた私の人生を大きく変えた。

その方に教えてもらい、今まで知らなかった障害年金、障害者手帳、デイケアなどの福祉制度について知ることが出来た。
以前はパニック障害としか診断されておらず、なんとなく処方された薬を服用するだけだった。しかし、新しい病院で鬱、躁鬱、パニック障害だと分かり、私は障害年金を受給できるようになった。
さらにデイケアという居場所もできた。

はっきり言って、私には障害年金も障害者手帳もデイケアも無縁だと思っていた。 
私より大変な人がたくさんいる、甘えていけない、そう思い込んでいた。
しかし、彼も精神保健福祉士の方も病院の先生もデイケアのスタッフの方々もその利用者の方々も、みんな私を快く受け入れてくれた。

こうして私にはたくさんの宿が出来た。



明日で最後です!
すなねこ🐈

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