【脱・ロック宣言】
「アイツの拳を 噛み締めて倒れた
右目のアザは 情熱の勲章…」
私の十八番、ユージ・オダの、かの代表曲
「OVER THE TROUBLE」の歌い出しである。
いつもノリノリハイテンションで
歌い始めるこの曲なんだけど、
その歌詞を見事に、バッサリ!
とあるお方が、一刀両断したのだった。
「この歌、ただの呪いじゃん!
だって、出てくるワードがめっちゃしんどいよ!
拳
噛みしめて
倒れた
アザは勲章
おどかされ
ののしられ
死んでも離すな
今が最悪
世界中が敵
逃げる
エンスト
マシンガン
蹴破り
奪い取った車
高い崖から転げ落ちた
メチャクチャ
ボロボロ
背中をハチの巣にされる
最初から最後までほぼネガティブワード!
これで奮起しろって無理あるよー!
改めて聞いて、土の時代らしい歌だなーって」
こう指摘したのは、友人であり、算命学鑑定士の
山岸恭子その人である(通称・シショー)。
衝撃だった。
そんなこと全然意識したことなかったどころか
むしろ私の中では「トラブルを乗り越えるぜ」という
「スーパーポジティブな歌」という
位置付けだったからだ。
無論、男なら一度は
「アイツの拳を噛み締めて倒れたい」と思いながら
42年間生きてきた、そんな気すらする。
シショー曰く、
「これが引き寄せの法則ってことだよ!
拳噛み締めて倒れたいんでしょ!?
だからトラブルんだって一!」
「え、でもさシショー、
拳噛み締めて倒れたら、オイシイやん…?」
「どーこーがー!!!痛いだけじゃん!
いいかい?
戦争は、勝った方が結局は何も得るものがなく、
負けた方が全てを失うんだよ。
円覚寺の和尚が言うてた。
もし、身内が拳噛みして倒れたら、
とても心配で心の平和が乱れるし、
看病する手間が増えてめんどうくさい!
周りに迷惑ですっ!目を覚ませー!」
「……ハッ!」
この日を境に、彼女の呼び名が
「シショー」から「オショー」に
変わったとか、変わらなかったとか。
オショーの言葉で、私はずっと見えなかった
自分の本音に気付くことができたのだった。
「僕、ほんとは殴られたくなんてないよ…!
右目にアザなんて付けなくないよ…!!」
そして、オショーはこの「土の時代の代表曲」に対し
軽やかに、アンサーソングを返してくれた。
『私は最強』
さあ 怖くはない
不安はない
私の夢はみんなの願い
歌唄えば ココロ晴れる
大丈夫よ 私は最強……
「こ、これが、風の時代ってやつか……!
風の時代ってやつなのか……!!!」
……と、オショーが
これからの時代を生き抜くための
大切な心構えを説いてくれたのは、
実はもう1年も前の話になる。
今回、1年越しにこの話を振り返って
更に気付いたことがあったので
少し文章にしたためることにした。
私が青春を捧げたロック、特にブルースという
ジャンルの音楽たちが
反逆的で、自虐的で、自己肯定感が低く、
時に暴力的で、退廃的で、破滅的であるということ。
それらの音楽が
「社会に認められない」
「世の中、思い通りにならない」
といった怒りをパワーに変えて
聴くものを共感させ、奮起させ、
救ってきたことは間違いない。
そんなロックを好んで、刷り込んできたこと。
そして、その価値観はアップデートされないまま
現在に至っている、ということ。
特に私は、音楽性より
「ロックである」という姿勢・スタンスに
とても憧れが強かったな。
(今でも「ザ・ブルーハーツ」は特別な存在だったりする)
だが2024年、時代は完全に変わったと認めざるを得ない。
GEZANは「リンダリンダはもう聴こえない」と唄った。
岡崎体育が沁みる。
「おっさん おっさん 僕はもうおっさんになった
だからこそ更新 更新 素敵に歳をとりたい
おっさん おっさん 明日はもっとおっさん
今を未来を学べる人になりたい」
そう、この時代の転換期に
過去のこだわりを捨て、
新しい価値観に順応すること。
これって大袈裟に言えば、
生死を分けることにも近い、
そんな風にも思えるのよねー。
ということで私、染み付いたものを
徐々に落としていきます。
脱・ロック宣言なのです。
(森高千里風に右手を挙げるよ✋)