切除不能進行再発非小細胞肺がんに対するNivo+Ipi療法 (CheckMate-227)
N Engl J Med 2019; 381:2020-2031
2022 ASCOで上記論文の5年データが発表され、PD-L1 statusに関係なくNivo+Ipiの有効性が示された様子。結果は速報でしか確認していないが、この機会にもう一度本論文をおさらいする目的で読んだ。
本試験は2000人以上のドライバー遺伝子変異陰性NSCLC患者の一次治療において、Nivo+Ipi療法がchemoを上回るかどうかを検証するための試験。
Part 1aでは PD-L1 TPS ≧ 1%に対し
① Nivo+Ipi, ② Nivo alone, ③ chemoの3群比較を行う。
Part 1bではPD-L1 TPS<1%に対し
① Nivo+Ipi, ② Nivo+chemo, ③ chemoの3群比較を行う。
primary endpointはPart 1aにおける①>③のOS優越性検証となっている。
全体の年齢中央値は64歳, 75歳以上は約10%。約3割が扁平上皮がんで、
Part 1aでは約半数がPD-L1 ≧50%。never smokerが約13%, TMB high (≧10mut/Mb)が約40%強。脳転移例が約10%。結果のまとめが以下。
Nivo, Ipi各々の投与回数中央値は9回と3回。
後治療移行割合はNivo+Ipiで43.6%, Chemo群で55.8%。ICIが最も効かなそうなPD-L1<1%かつTMB-Lowの集団にもOSでNivo+Ipiが上回っていた。
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以上簡単にまとめた。一次治療でICI併用が使えるようになってcytotoxicが使いづらい患者さんにも選択肢が増えたことは喜ばしいことだが、臨床では各々のICI併用レジメンをどう使い分ければいいのだろうか。個人的に本試験では、サブグループ解析での非喫煙者の効果の弱さ (HR 1.23)が気になった。
他のICI試験の結果を見直してみると、Pembroについては
CheckMate-024 (PD-L1≧50%に対するPembro単剤)で、Never smorkerはHR 0.9で、それ以外はHR 0.6前後。
CheckMate-042 (PD-L1≧1%に対するPembro単剤)のsubgroupは、論文が手元になくチェックできなかった。
CheckMate-189 (PD-L1不問, Non-squamous, Pembro+chemo)ではNever smorkerにもHR 0.43と良好な結果を示している。
CheckMate-402 (PD-L1≧1%, Squamous, Pembro+chemo)では90%以上がsmokerのためsubgroupは示されていない。
Atezolizumabについては、
IMpower-110 (高PD-L1, Atezo単剤)ではnever(全体の1割)のHR 1.83。
IMpower-130 (PD-L1不問, Non-Squamous, Atezo+chemo)では、smoker HR 0.81に対し、Never(全体の1割)はHR 0.55。
IMpower-150 (PD-L1不問, Non-Squamous, Atezo+chemo+Bev)ではsmoker HR 0.58に対し、NeverはHR 0.8。
こうみると、ICIのみの治療では非喫煙者に効果が弱いことが分かる。(PembroはPD-L1≧50%に絞った結果なのでかろうじてHR点推定値がfavorable寄りになっているが) 非喫煙者はTumor Neo-antigenが少ないためICIが効きにくい集団ということなのだろう。
このような集団がICI vs chemoの臨床試験で最初にKaplan-Meierが落ちる集団で、その部分をrescueするのがICI+chemo療法ということだが、Nivo+Ipi+chemo併用のCheckMate-9LA試験はどうかというと、非喫煙者はHR 1.08)となっており、他のICI+chemo試験の成績と比べると良くない。恐らくAEによって効果が打ち消されてしまっている可能性がある。
そう考えてみると、肺がん1st lineの基本はPD-(L)1抗体+chemoで十分かと思う。Nivo+Ipiはchemoが入りづらそうな患者でかつ、Forrest plotからは非喫煙者と肝転移例を除いた対象という適応が使い分けとなるのかもしれない。
※後日追記
上記のように書いたが5y-OSのデータを見る限り、Ipi+Nivoはかなり良い。そうなるとやはりPD-L1陰性あるいは弱陽性にはIpi+Nivoを基本として、初期PDを防ぐために、いける患者さんは9LAレジメンという選択肢になっていくのかもしれない。
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