感情はナマモノ
「感情はナマモノだからね」
中学校の担任がよく言っていた。
中学を卒業して10年以上が経過した今の自分でも、感情の取り扱いは難しい。制御が難しいようにも思えるが、その実、制御が効きすぎているように思える。
素直に感情を表に出すのはすごく難しい。
ナマモノ、になぞらえて例えるなら、感情をそのまま出すということはあまりなくて、相手に不快感を与えないように、と自分の気持ちを加工する。この加工の工程を挟むことが感情の制御といえるだろうが、加工している間に鮮度は落ち、ときにはいちばん大切だった部分の加工に失敗したりうっかり廃棄したりして、かえって相手に伝わらないこともある。伝えたいことが多すぎるために加工が間に合わなくて提供できないこともある。
僕は時々自分の感情が嫌になる。喜びも悲しみも怒りも恨みも愛もなにもかも。
誰かに向いているはずの感情も、元をたどれば自己満足、自己中心的、独善的。そう思えて仕方がない。
どんな風に繕っても、自分は自分のことしか考えられない人間だと思い知らされる日がある。
そういう感情だけは鮮度が落ちなくて、いつまでもいつまでも心に残り続ける。一番奥底の感情は誰にも提供できない。
このどうしようもないナマモノをどう処理していけばいいのか、その答えが見つかる日は来るのだろうか。
みなさんは自分の感情とどう付き合っていますか。