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|娘|

三十九歳で産んだ娘は、まぎれもなく世の中で断トツに愛おしい存在となった。仕事人間だった私は、ほとんどの仕事を手放し、一緒に居れるだけ居る生活を選択した。

仕事仕事の毎日から全てが変わった。
時間の経ち方、人との関わり方、体の疲れ、心の余裕のなさ。
あの頃の写真を見ると、「愛おしい」という感情に浸りつつも、きゅーっと孤独感に締め付けられる。

娘も息子も10歳を超え、ずいぶんと自分の時間をとれるようになってきた。とてもとても大変な日々だったけれど、贅沢な時間が流れていたなと、今では懐かしく思う。

街で大変そうなお母さんを見かけると、つい声をかけたくなる。

「大丈夫ですよ。私もそうでしたから。」って。

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