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心の奥、鍵がかかった暗い部屋の中

幼少期を…思い出す

私の反抗期は幼稚園の頃だった

いまでも親に言われる
本当に手がつけられないほど大変だったと

幼稚園に行きたくなかった


家の柱に泣きながらしがみついて、それを無理やり引きはがされ幼稚園に連れていかれる

いまでも鮮明に覚えている

どうして、あんなに泣いてたんだろう…

もともと、自分から声をかけたりして仲良くなるタイプではなかった。仲のいいグループができていると、そこに自分が入ったら空気が変わっちゃうんじゃないかって。嫌がられてしまうんじゃないかって

あまり…自分の心を開かなかった
人が…怖かったのかな…
いや…


廊下から、外で楽しくボール遊びをしているみんなをひとりで見つめている私は…なにを思っていたんだろう…


本当は…みんなと遊びたいんだよね…

でも…仲良く遊んでいるお友達を見れば見るほど…怖くなって…なにも言わずに隅に隠れた

ぼくは、「ひとりでもだいじょうぶ」

家なら、安心できる…
ありのままの自分が守られるような感覚

だから…家から出たくなかった…

毎朝泣いて、親に理由を聞かれても答えられない。それを言うのも怖かったから

泣くことしかできなかった

居間のテーブルを蹴って、母にぶつけてた
壁とテーブルの間に、座っている母を挟むようにして、何度も蹴り続けた

子供のグズグズと同じ

苦しむ母の顔はいまでもずっと覚えている

誰も自分のことをわかってくれないと
そのイライラを発散するかのように

父も兄弟も「やめろっ」と声をかけるが
母だけは
「いいから、大丈夫」と
蹴り続ける私の気持ちを受け止めているかのように

そのあと、父に掴まれて外に出されるのであった

心の中では、
悪いことをしている
ほんとは自分が悪い
ほんとはそうわかっていた…
わかっていたけど…蹴る足を止めることができなかった…どうしていいのかわからなかった

外は夜、雪が静かに降っている

家出する勇気もない…
大声で泣く勇気もない…
外に出されたその場に座ってただ小さくなるだけ

どれくらいの時間が過ぎたかわからないが
しばらくすると、母さんが迎えにくる

「もう入りなさい」
圧力をまったく感じない、優しい声に包まれた私は
なにも言えずに抱き抱えられ家の中に入る



小学生になる

幼稚園と小学校が隣同士だから、ほとんど人は変わらなかった

表面上では喋ったりするけど、休み時間になったらひとりになっていた

孤独は続き、机にひとり絵を描いて時間を潰す

でもだんだんと、ひとりでいることが恥ずかしくなってくる…あいつはなんでひとりなんだって

周りの人の目が気になっていた

男子のグループ
休み時間の時に、いつも校庭でサッカーをする

ある日、その男子のグループの中でも声をかけやすそうな人にボソッと

「おれも混ざっていいかな…」

おもいきって声をかけた

「あっ…うん…」
「ねぇねぇ水くんもサッカーやるってぇ〜」

ほんとは…
もうその時のみんなの表情でわかっていた…

でも空気が悪くなるのが怖くて…流れるようにサッカーに混ざった

私は運動が得意ではなかった
それもあってか…ボールが回ってこない…
ボールを持ってもすぐとられるし、パスと言っても回ってこない
得意じゃないからとキーパーをやれば…
残るのは遠くから楽しそうにしているみんなを眺める…あの光景だった

一緒に遊んでいると言うよりかは…
みんなについていってる…
相手にされてないと、わかっているのに

わたしは…必死だったんだ…

休み時間が終わり、教室に戻るまでの帰り道
みんなについていって
「おれはみんなと一緒にサッカーをやって遊んでいたんだ」って装っていた


誰に?
周りのみんなに…
あいつはひとりじゃないんだなって…思われるように…


でも本当は違う、自分にだったんだよね

その後もしばらく、そのグループに混ざって
一生懸命に自分を着飾って、気取って

ほんとは気づいているのに…
自分のことをごまかしていた…

でもそれも長くは続かなくて…

疲れてしまった

ある日、
いつものように校庭でサッカーをしている時

プツンとなにかが切れたように
必死に追いかけていた足が…止まった…

そのまま誰にも告げず
楽しそうにサッカーをするみんなを背に
ゆっくりと教室へひとりで戻った

「めんどくさ」

でもこれはたぶん…
悲しさをまぎらすための感情
冷めたフリをしてただけ
本当は心では泣いていたんだよね

先に教室に戻ってきている私を見ても、サッカーから戻ってきたみんなはとくに気づかぬふり

でもその方が気持ち的には助かっていたんだ…

そこから声をかけてくれた女子と中性的な男子のグループに混ざって遊ぶようになる

女子と遊んでいる私を横目に見てくる男子たち
「あいつ女子と遊んでるよ」
笑いながら冷やかされる

でも気にならなかった

いや、気にしていた
目が合わなくても感じていた
いや、目を合わせるのが怖かったんだ

(どうせもう一緒に遊ぶこともないんだから)

必死に自分に言い聞かせる毎日が続いてたんだ


勉強は嫌いだった
なんでやらなきゃいけないのかわからなかった


宿題をやらなかったことも多かった
やりたくなかった
先生にはいつも
「やったけど家に忘れました」
バレバレの言い訳をいつもしていた

家ではノートを開くけど、鉛筆がぜんぜん進まなかったし、眠くもなってくる

その姿を父に見つかり
それを理由にまた外に出された

これは3回くらい続いた

けどその度に、母が優しく抱きかかえ家に入れてくれた




幼少期…7歳の先もかな…
小学生の記憶はこんな感じ…




私は、自分の意思を隠して生きている

たぶん、ずっと、いまも

私は、媚びを売っていると思われることが多い

どうして?

正直な…言葉で言うなら…

私は…




「人に嫌われたくない」




仕事で昇進したいためでもなく

誰よりも得をしたいわけでもなく

特別好かれたいわけでもない


私は…人に嫌われたくないんだ…

そんなの誰でもそうじゃない?って思うけど

嫌われることが…ものすごく…怖い…

だから…遊びに誘うなんてしたことがない…
断られるのが…怖いから…

遊ぶのは誘われた時だけ

だから私は…
私と関わる人には、少しでも気持ちよく、快くいてほしい

そのためには
自分の意思を隠して生きるしかなかった

相手の意思に合わせて…
その人が喜ぶことを、望んでいることを

ひとりひとりの顔色を伺っては
この人はこう…あの人はこう思ってる…感じてる…つらそう…じゃあ喜んでもらうには…この人が楽になるにはどうしたらいいか…私にはなにができるかって…

そう思って、ずっと生きてきた

その人が喜んでくれる
それが私の生きがいだと

そう思っている

そう思っているけど、もっと心の奥

根源にあるのは「嫌われたくない」という思い
嫌われてしまうんじゃないかという怯え

これが、正直なところ
でも、そう思っちゃダメって
ずっと隠してごまかしてきたところ


小学校、中学校、高校
たくさんの人と楽しく遊んだ記憶もあるんだ

だけど
地元にいるのに連絡を取る人はひとりもいない

そりゃそうなんだ

自分の心を開かないんだから
でもそれができずに、ここまできてしまった

だから本音を言おうとすると声が震えてしまうんだ
涙目になってしまうんだ

なんでこんなに嫌われることが怖いんだろう…

きっかけは…この記憶なのかな…


ずっと心の奥の扉に鍵をかけて閉じ込めていた

幼少期のわたし

鍵を開けるにも…すごくつらかった

扉をかけると、そこには小さく座り込んでいるあの頃の私

暗闇の中、泣いているわけでもなく、うつむいて
小さな声でずっと

「ぼくはひとりでもだいじょうぶ」

なんて声をかけたらいいんだろうか…

自分なのにね………わからない…


でも、扉と鍵はもういらないから



急に明るいと、眩しいもんね

ここからでいいから、君に見せたい景色がある

一緒に見て行こう


いまはただ、隣に座って

抱きしめるにはまだ少し…時間がかかるかな

でももう、ひとりじゃないから

ゆっくりでいい

薄明かりの中、手を繋いで

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