2024イーグルス打線の振り返り

巷では扇情的な記事やコメントで溢れていますけれど、まったりと振り返りたいと思います。
まずは今年の貯金推移について。

交流戦までは投手がなかなか思ったように試合を作ることができず、交流戦で一気に盛り返し、三山ぶん揉みあったのち、最後は力尽きて急降下…という流れでした。やはりホームゲームが貯金源となれなかったのが痛い。それらについては、前回までの記事で集計したとおりです。

そもそも今年のイーグルスは、選手年俸が高まったところへコロナ禍が押し寄せ、P/LとB/Sが悪化して緊縮シフトの経営再建に向かう状況にありました。
さらには諸国の紛争と気候変動によるインフレ風と、それらへのリアクションとしての米国利上げの影響によるドル高円安もありました。よって新たな外国人選手の補強と伴うリスクには手を伸ばし難く、少しでもコストを削減するため支配下枠にも空きが出たのだと推測されます。ファンは不満に思うかもしれませんが、経営上は妥当な判断といえます。
そして、そのための内部昇格による今江監督の誕生でもあったはずです。

……という前段を置いたところで、今年のチーム打撃成績を振り返ってみましょう。今年の打線スタメンを集計してみたところ以下でした。

1番小郷と3番辰己は全試合の7割ほどを占めますが、以外は対戦投手や選手のバイオリズムにより流動的でした。50%を超えたのは、前出の二人に加え2番村林、4番浅村。島内が調子を上げられぬまま抹消、以降は大地が献身的にどこでもやってきた様が伺えます。そこへ中島、佳明、裕季也、安田が合流し、そのまま一軍に留まる結果を出してくれました。

打線の成績について、まずは出塁率、長打率、OPSから。

黄色のHチームの5番におかしい人がいますね。
Lの7番も気になるところではありますけれど、よそはさておき、イーグルスは他チームとくらべ4~6番が弱かったものの、下位から上位にかけて優位にあったことが伺えます。外国人野手を補強しなかったがゆえに若い選手へ出場機会がまわった一方、表裏としてマイナスがここに表れています。

次に打率です。

3番辰己の頑張りが表れています。全体的に他チームと遜色ない水準ではありますが、4~5番が埋没ぎみに。

本塁打です。

チーム本塁打数が順位と同じく降順となっており、3~6番のホームラン数に大きな違いが表れています。

打点です。

こちらも上位チームとくらべ3~5番が弱い。辰己は3番として最多安打という素晴らしい成績を残しましたが、上位チームとくらべた3番としては+10本塁打が欲しいところです。

四死球と三振です。

浅村さんはリーグ2位、おごちゃんは同リーグ3位。
浅村さんが勝負を避けられているのはいつものことながら、すっかりおごちゃんも要注意人物になりました。

しかしながら、おごちゃん、辰己、浅村さんは三振でリーグワースト5入り。このチャレンジの中からホームランが出ていれば……というところでしょうか。
次は仙台の地元紙で「慎重さが裏目」に出た一要因と評された犠打についてです。企犠打数、犠打数、犠打率を追ってみましょう。

企犠打の昨年からの変動は、H:126→123、F:98→127、M:133→115、E:151→139、Bs:100→111、L:112→120となっています。
イーグルスは外国人野手が2人いないことに加え、クリーンアップが不調なぶん企犠打が増えたのでしょう。しかしながら、地元紙が言うほどではなかったのかなと。むしろ昨年のほうが異常に多いです。

特に増えたのがFで、84→115へ。というのも犠打率が良化しました。
実はそれを上回る良化を見せたのがイーグルスです。

犠打率の昨年からの変動は、H:84.92→85.37%、F:85.71→90.55%、M:87.22→80.89%、E:82.78→90.65%、Bs:83→82.88%、L:80.36→88.33%でした。
イーグルスは補強しなかった打線をやりくりして企犠打が増え、かつ上手くなっているので、結果として犠打数が他チームよりも多くなったのでしょう。飛ばないと噂されたボールの影響もあったのかも知れません。

もはや今江監督は退任されましたのでそれについて語っても仕方ありませんが、地元紙によれば某選手と某コーチが犠打策を揶揄したそうですが、そんな認識の人がいるとしたら来シーズンが危ぶまれます。野手は昨年の反省からバントを相当練習したはずなので、おそらく野手ではないと思われますが誰なんでしょう。

切り換えて犠飛、盗塁です。

犠飛数はリーグ1位です。これを喜ぶべきか、もう一歩と思うかはシチュエーション別に集計してみないとわかりませんが、浅村さんはリーグ犠飛1位でした。

代走を送らずともチームとして走れるというのは大きな強味ですね。四死球数とも連動していると推測されます。

最後に併殺と失策です。

併殺がリーグでもっとも少ないのは、犠打や盗塁等でランナーが進めているからかと思われます。あとはポイントゲッターの三振の多さとも表裏です。
ともあれ、少ないに越したことはありません。

失策数はHに次いでリーグ2位。立派なものです。

さてこうして眺めてみると、来年に向けて以下がポイントとなりそうです。

  • 外国人野手を獲得補強するのかしないのか。特に3番や5番に置けるホームランを期待できるタイプ。ただし、そのぶん外国人野手とポジションが重なる若い選手は出場機会を失う。補強しなければ、誰かの大開眼でもないかぎりほとんど今年のまま。

  • ホームナイトゲームにおける打線の不振について改善ができるかどうか。もしも照明設備が原因である場合、対応内容によっては新たな設備投資コストが発生する。なお一般的に照明の耐用年数は10~15年となっており、会計上の償却もあるので別メーカーへの交換や大変更は、取り付けてしまった今となっては契約に特約でもない限り到底不可能。

  • 今江監督を解任したことにより、ホームライト層への印象がまた悪化した。せっかく集客回復を進めて来たのに押し下げ圧力となり、ビジネスサイクルの正常化がふたたび遠のく懸念がある。

以上です。

それにしても、イーグルスは一体いつまでメビウスの輪のなかをグルグルしているのでしょうね。


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