忘れられない写真から、私がプロフィール写真を撮る意味を考えてみた
写真を撮り続けてもう10年以上。撮影した枚数は軽く1万枚を超えている。
今より技術はないし、今ほど機材も良くない。何年も前の写真なのに、好きだと思える忘れられない写真というのはあるものだ。
撮ったときの相手への尊敬の気持ちがよみがえる写真が好き
もう6年も前の写真。
栄養士を目指す彼女のご自宅にお邪魔して、パンケーキをつくっているところを撮影させてもらったもの。
団地の狭い2Kの部屋で、外には洗濯物が干されていて、雑誌の世界のように整頓されているわけでも、色味が統一されているわけでもない。
生活感があるこの部屋に入ったとき、彼女が育ってきた環境や普段の生活がよくわかった。
彼女のとても可愛らしい見た目とは裏腹に、栄養士を目指して料理の勉強をしている健気さに、心を奪われてファンになってしまった。
そんな彼女が甘い匂いをさせながらパンケーキをつくる様子は、まるで映画の世界のようで、キッチンではなく「台所」と呼びたいこの空間を、外から入ってくる光が美しく照らしていた。
ただの台所。
それなのに、この狭い空間に彼女がいて、一生懸命にココナッツオイルのビンの蓋を開けて、いつも餃子や生姜焼きを作っていそうなフライパンで不揃いのりんごを焼く姿が、どうにも美しくてたまらなかった。
何故だかそんな気持ちで撮った写真は、
撮ったときの感情が昨日のことのようによみがえる。
彼女をひとりの人間として、リスペクトして魅力を感じて撮っていたことをハッキリと記憶している。
だから、わたしはこの写真が今でも好きなのだ。
写真というより、この時撮影した経験が好きだったのかもしれない。
プロフィール写真でも同じように相手を知りファンになりたい
だから、お客さまのプロフィール写真を撮るとき、その方の生きてきた環境、どんな経験から、どんな思いを持っていて、どんな生き方や働き方をしていきたいのかということを、やっぱりじっくりと聞きたい。
プロフィール写真を撮影する以上、それは商用で、キレイに写っていたらそれでいいのかもしれない。イメージ通りに撮れていたらそれでいいのかもしれない。
でも、その人それぞれの人生のストーリーがあって、自分のこれからのために写真を撮るという決断に至ったのなら、それをちゃんと知って応援したいと思う。
そこに、私がプロフィール写真を撮る意味があると思っている。
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