フィリピンの政治対立とその理由
フィリピンの政治は主に二つの家族によってなされている。マルコスの子孫(かなりどうでもいいが、彼ら家族が基盤とする街は私が滞在している場所からそう遠くなく、ルソン島の北部の町なのだが、正直謎に包まれていて、マルコス一家がそこに住んでいるということ以外何も知らない)であるマルコス一家と、ドゥテルテ一家(フィリピン最南端くらいの街が基盤である)。
現職の大統領はマルコスjrで、一つ前の大統領であるドゥテルテに比べて穏健な運営で知られている。副大統領にはロドリゴ・ドゥテルテの娘であるサラ・ドゥテルテが在職中で、彼女は父親とは異なり、どちらかというと穏健派なのだが、ともかく、ネポティズムを感じ取れるような人選である(選挙で選ばれた上、支持率もまあまあ高かったので、ネポティズムかといわれると難しいが)。
2022年にUNITEAMという、この二つの一族の間に連合関係が結ばれ、とりあえず在任期間中は協力していくことになったのだが、この連合は上手くいくはずも無かった。今年の1月に突然ドゥテルテ(父)が、マルコスjrはコカイン中毒だと罵るような演説を行い、大衆の間に確執を深刻化させると、サラ(マルコス娘)は教育大臣を辞任することで副大統領の地位を辞めることは無かったものの、大統領に対する不満のリストをラジオで放送し、初代マルコスの墓を暴いて海に投げ捨てたいと発言するし、更には、もし、私が殺されたなら、マルコスjrとその妻、あと下院議長を殺して頂戴と発言した件で議員に召集されるなど現在一族の対立は深まっている。
現在主に三つの点でこういった対立が起こっていると思われる。
1つ目は、改憲である。マルコスjrは公共事業や教育、広告分野で外国人参入の制限の緩和を改憲によって達成しようとしている。
2つ目に、中国に対するアプローチの違いである。マルコスjrは米軍基地を設置し米軍のフィリピンへのアクセスをより簡単にすることで南シナ海の領土問題をより有利に運ぼうとしている。
3つ目に、私的な問題で、ロドリゴ・ドゥテルテは麻薬撲滅運動をした際に、かなり残虐に行ったために国際刑事裁判所の調査を受けていることや、サラ(マルコス娘)は教育大臣として多額の賄賂を運用しており、それをマルコスの従妹である下院議長に叱責されたことなどの私的な問題がドゥテルテ一族のマルコス家族への不満を引き起こしていると考えられる。かなり、幼稚な話に思えるが。