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私の研究の意義は、後継者が自分の意思で人生を切り開ける環境づくり

こんにちは!ベンチャー型事業承継のゴードンです。
日々研究と向き合う中で、卒業という手段が目的化し、本来の意義を見失いかけていました。そこで改めて考えたのが、「自分の研究は何を解決するのか?」という問いです。

色々考えたのですが、──「後継者が自分の意思で人生を切り開く」ということです。

正しく情報に触れた上で「継ぎたくない」と思うなら、それも一つの選択肢。でも「自分はこれがやりたい」と心から思えるなら、誰に何を言われようとも家業を継いでほしい。私は、そうした後継者の自律性を後押しするために研究をしています。


心理的オーナーシップが後継者を育てる

世の中は、後継者の心理的な側面にまだ十分向き合えていません。家業を継ぐためには、法的なオーナーシップ(株や財産の継承)だけでなく、「自分の意思で継ぐ」という心理的なオーナーシップが必要です。それは、自分の人生に対するオーナーシップでもあります。

親から「継げ」と強制されるだけの承継では、本当の意味での事業承継とは言えません。これまでの事業承継対策やスキームは、金銭的な部分に焦点が置かれ、後継者の心理的な側面を無視してきたのです(一部の長寿企業は取り入れているかもしれませんが)。


家業を「自分ごと」にするために

後継者が家業と真剣に向き合うには、子供の頃から家業に触れることや、家族と一緒に仕事を感じること、家族が築いてきた歴史を知ることなどが大切です。

こうした経験を通じて、家業が「自分の人生の一部」だと自然に認識するのです。これは決して洗脳ではありません。起業家が自分の原体験からビジネスのアイデアを得たり、サラリーマンが自分の経験をもとに転職先を選んだりするのと同じことです。

大切なのは、たくさんの経験の中から、自分に最も合った選択肢を見つけること。必ずしも家業を継ぐ必要はありませんが、どこかのタイミングで家業と向き合う機会は訪れるでしょう。


承継か、M&Aか──その前に考えたいこと

M&Aで家業を売却するのも、戦略としては素晴らしい選択です。しかし、それは「後継者不在問題」の根本解決ではありません

問題の本質は、後継者が家業について考え、選び取るための経験や対話が不足していることです。「子供の可能性を広げたい」と家業の話を避けることが、逆に子供の選択肢を狭め、動機づけの機会を奪っていないでしょうか?結果、「うちの子供は興味がない」と決めつけ、後継者不在を招いてしまうのです。


ファミリービジネスの強みを活かす

ファミリービジネスを親族が継ぐ強みは、科学的にも証明されています。後継者に心理的な所有感と内発的な動機付けがあれば、イノベーションが生まれ、事業承継がうまくいく確率が高まります。

家業に正しく向き合い、心からオーナーシップを感じて事業に取り組むことは、後継者自身の人生を豊かにし、日本社会を支える力にもなります。ただし、向き合い方を誤れば、逆にイノベーションを阻害する可能性もあります。

私が取り組んでいるのは、後継者に家業をどう伝えるべきか、その心理的メカニズムを考え、提案することです。例として子供時代のことを書きましたが、これは入社後も同じです。もう家業に入社したから一安心、ではなく、事業承継をするその日まで、後継者の心理を考え続ける必要があります。


後継者が自分の意思で選択するために

最終的に、家業を継がない選択も自由です。重要なのは、後継者が「自分の意思」で承継を選べる環境を整えること。これこそが、後継者マインドの真の育成です。

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