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『「仮面浪人説話集」(生方聖己とされる)』 第19章



⚫ 犯罪者予備軍

センター試験が終わり、自分たちの教室の出る番が回ってきて、とりあえず前の人についていった。そして、出口について皆それぞれに散らばっていった。
自分も最寄り駅に行きたかったのだが、携帯の充電は勿論切れっぱなしだったので、道がわからず、とりあえず最寄り駅に向かってそうな集団について行くことにした。

みな最寄りの玉川学園前駅に向かっているのかと思ったのだが、会話を聞いているとどうやら違う駅に向かっているらしかった。
まあ神奈川なので歩いていける距離にあるのだろうと思いながら、センターの出来が良かったため、特に焦ることもなくついて行った。

にしてもあの時は久しぶりに普通に歩けていた気がする。いつもはもっと重かった。久しぶりに継続した幸福感を味わっていた。自己採点 が楽しみで仕方がなかった。シンプルに実は間違っていたらどうしよう、とか、マークミスをして全部ずれていたらどうしよう、とか考えもしたが、よく考えずともあれだけ自信をもって回答したし、時間も全部余って、英語も国語も2周ずつマーク確認したので、その不安は一歩踏み出すたびに薄れていき、次第に幸福に変わっていった。
自分は歩くのがあまり好き なほうではないのだが(移動時間が嫌い)、あの日は楽しかった。

結局、最初いた50人くらいの集団は5人くらいになっており、気づけば40分くらい歩いていて、やっと駅に着いた。駅の名前はちょっと覚えていないのだが。
そしてそこからまた何十分かかけて青葉台に 戻り、バスに乗り、バス停から家までアルクアラウンドをかけて、といきたいところであったが携帯の充電がないので我慢した。
荷物を軽くするために、青葉台の家にセンター関係の本はすべて放り投げ、またバス停に戻り、青葉台駅に向かい、渋谷駅に行き、湘南新宿ライ ンで高崎に向かった。
確か渋谷をでたのは夜の10時半を回っていた。





第20章へと続く…

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