早稲田大学×中京大学 ~主務対談~
早稲田大学ア式蹴球部と中京大学体育会サッカー部は、11月24日(水)~11月28日(日)の5日間、学生スタッフの交歓インターンを行った。
大学サッカーでは地域差や閉鎖性など、まだまだ課題が多い。また昨今、大学サッカーだけでなく大学スポーツ自体の価値が高まり、存在意義が問われる状況だからこそ、競技だけでなくチームマネジメント(組織運営)に向き合う学生スタッフの成長は不可欠となる。
自組織を超えた広い視点、質の高い課題抽出とそれを実行していく力、そしてバランス感覚を養うために、今回の交歓インターンは実施された。
初の試みとなる今回、ア式蹴球部を訪れたのは、3年生ながら中京大学サッカー部の主務を務める秦野真歩。主務としての強い想いはもちろん、学生スタッフだからこそ見える視点や、この交歓インターンの未来を、同じ学生スタッフ主務として活動するア式蹴球部4年羽田拓矢と語り尽くす。
<交歓インターン5日間のスケジュール>
11/24 東伏見到着⇒TR参加
11/25 TR参加⇒3年学年MTG参加
11/26 早稲田大学早稲田キャンパス視察⇒TR参加⇒3年学年MTG参加
11/27 BチームTRM参加
11/28 第97回早関サッカー定期戦参加
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〇秦野真歩とア式蹴球部
ーーア式に来て最初に感じたことは何でしたか?
秦野:やっぱり練習の仕方ですかね。学生がメニューを決めて、マネージャーがマーカーを置いていくなど練習を学生が作っているところが凄いなと感じました。
羽田:なるほどね。ア式も元々そういうスタイルではなかったんだけど、一昨年ぐらいからマネージャーの数が増えてきたことで、ボール拾いやスクイズ入れだけじゃないことにもっと主体的に関わっていきたいと思ってチャレンジし始めた。
それが今確立してきて、選手たちが何不自由なく、練習がスムーズに進むような環境を、マネージャーや学生コーチが整えられるというのは結構うちの良さだと思うし、社会人コーチがあまりいない分、その力は今凄く貴重だなって思うね。
秦野:そうですね。サッカーの練習というよりも、それを取り巻く環境というか、周りの人の動きが素敵だなと思いました。例えば、今日も主将が最後ボールを片付けているのを見たんですけど、本当に当然のごとくそれをやっている姿に、ア式の4年生の在り方みたいなものを垣間見た気がします。ピッチで戦っている選手達を、それ以外の選手やスタッフが支えることが当たり前に出来る環境は、すごく素敵だなと思いました。
羽田:「サッカー選手である前に人として一番であれ」っていうのは自分たちが凄く大事にしている一番のベースだから、そこを言ってもらえたのは凄く嬉しいね。当然1年生の仕事とか、役割を担う上で、意図を持ってやらないことはあるけど、大前提は主将だろうが主務だろうが関係なく、空いてる人が仕事をすればいいと思うし、そこの主体性や感受性はやっぱり必要だなと思うね。
特に俺らの代は、誰かがカリスマ性があるとか、凄いリーダーシップを持ってるとかでは無いからこそ、そういった部分が割と強い傾向はあるかもしれないな。自分たちが出来ることをとにかくやっていくことで、後輩たちと一緒にやっていければって思いはみんな強いのかも。
秦野:それこそ、ア式に来た初日、自分が3年生であるにも関わらず、多くの4年生が話しかけてくれました。4年生だけでなく、下の学年の人や中京大学をよく知らない人も話しかけてくれて、インカレ前のとても大事な時期に、しっかりと受け入れて、話をしてくれる時間をそれぞれの人たちがとってくれたことに、凄く温かさやありがたみを感じました。
羽田:逆に俺らとしては、真歩が交歓インターン生として来てくれたことはチャンスであり、学ぶ機会であるって思っていたから本当に感謝しているよ。
練習でも、客観的にAチームとBチームの違いや選手たちの良い所を言ってくれて、毎日一緒にいる閉鎖的な環境の中で、早稲田に興味を持ってわざわざ違う地域から来てくれて、新しい視点で意見をくれる真歩の存在は、この時期だからこそ俺らにとっては本当にありがたかった。何か直接サッカーに繋がるものじゃないかもしれないけど、直接関係しないようなことが意外と大切だということを今シーズン戦ってきても感じる。本当にピッチの中と外は必ず繋がっているからこそ、新たな発見を真歩がくれたことにみんな感謝しているよ。
秦野:いやいや、そんなことないです(笑)
羽田:みんな驚いていたしね(笑)
逆に部員のみんなは「なんで来てくれたんだろう」って気にしていた中で、初日から多くのコミュニケーションを取ってくれた。本当に中京大学の主務としての芯の強さは感じて、ぱっとその環境にきて、すぐに馴染めるのは本当に凄いなと外から見ていて素直に思った。
秦野:嬉しいですね(笑)
選手、スタッフみんながお互いへの感謝を伝えられるところが凄く温かくていいなと思いました。それが一方通行じゃなくて、お互いが細かいことに対して言える、気付ける。周りに関心があるけれども、全部が全部踏み込むわけではなく、その人にとってどうしたらいいかを考えているところが、ここの凄く良いところというか温かいなって思うところですね。
羽田:選手達が本当にそういったちょっとしたところの感謝を伝えてくれるのは本当に嬉しいよね。常々、本当にサッカーだけやってればいい組織ではないって話はしていても、実際ピッチに入ってしまえばサッカーに集中してほしいし、それがあるべき姿だと思うけど、そういった中でも、ちょっとした誰かの支えとか、ちょっとした変化とかをちゃんと感じ取れるっていうのは、やっぱりここでそういったものを大事にして生活しているからかなと思う。本当に真歩にそう言ってもらえて俺としても凄く嬉しいし、何かそういった部員たちのことはすごく誇りに思うな。
〇交歓インターンを通して
ーーア式に来る前はどんな気持ちだったんですか?
秦野:めちゃめちゃ怖かったですよ。まず私方向音痴なんで、この東伏見に辿り着けるかも不安でした(笑)
多分、ア式のみんなの中では主務は4年生がやるものっていうのがあるから、3年生が主務をやっていることに驚きがあって、どんな人がきて、何が出来るんだろうっていう驚きとちょっとした凄さみたいな視線を初日は凄く感じました(笑)
羽田:まあそれはあったかもね(笑)
秦野:でも当然ワクワクもあって、外池さん(外池大亮/監督)とはオンラインでは会っていて、ほまれさん(高原歩希/4年マネージャー)とか林さん(林隆生/4年マネージャー)とかも動画やnoteで見ていたので、映像の中の人に会えたのは素直に嬉しかったです。
初日から、ア式では私にも部の活動に対して何ができるのかというところを求めてくれて、そこを突き詰めている環境が私が凄く好きな部分だと感じました。それを感じた瞬間に残りの4日間が怖いものではなく、楽しみというか、どれだけ自分が変われるのかという可能性に変わりましたね。その瞬間は忘れたくない感覚です。
羽田:その転換が出来る人ってなかなかいないと思うし、それは本当に素晴らしいなと思う。自ら学ぶ姿勢とか主体性がなければ、そういう転換って出来ないし、そういう向上心のある人と話せる機会はやっぱり俺らにとっても凄く貴重だったなって本当に思うよね。
羽田:あと、俺が素直に凄いなって思ったのは、俺は同じ決断は出来なかったな。多分自分だったら、正当化じゃないけど、主務だからこそ自分はこのチームにずっといなきゃいけないとか、そういった思考が強くなっちゃうと思ったんだよね。自分が仮に今のこの5日間っていう、チームにとってはとても大切な期間を自分が空けたとしても、何かそれ以上のものを持ち帰ってきてやろうとか、それ以上の学びを得てチームに還元するとか、そういった思考は正直自分は持てていなかったからこそ、真歩の姿を見て本当にそれが素晴らしいなと思ったし、凄く自分にとってはっとさせられたというか、視野を広く持たなきゃいけないなっていうのは強く思ったところではある。
秦野:今は後輩の子と一緒に2人でトップチームを見ていて、帰った時に居場所があるのかとかは凄く考えたし、やっぱり私が1年生で入ってきて3年間いろんな姿を見てきた今年の4年生のことは本当に好きで、4年生といられる時間も少なくなってしまう。そういう思いがあるからこそ、羽田さんが言ったように何かを学んで帰らなきゃいけないし、送り出してもらった以上は、何かを得て持ち帰ることもそうだし、この交歓インターンが今回だけじゃなくて、未来にも繋がるものにしなくてはなと思っていました。関東同士の繋がりは強いと思うんですけど、関東と東海っていうちょっと異色なものだからこそ、この1回目の反響や成果が多少なりでも形に見えなかったら未来はないなと思っていました。
ここに来たからこそ、この環境をもっと下の子達にも見せてあげたいと思いましたし、そのために爪痕をどう残せるのか考えて5日間行動していましたね。外池さんにも初日に言われたんです。「5日間だけど爪痕残して帰ってくださいね」みたいなことを(笑)
羽田:そういう意味で言うと、本当に十分に爪痕は残してくれたし、真歩がいたこの5日間は凄く濃かったなと思う。本当にこの大事な時期に新たなプラスアルファのパワーを逆にこのチームにもたらしてくれたことに、本当に感謝しかないなと思う。うちは慧一(佐藤慧一/2年マネージャー)が中京さんの方に行ってて、彼がどういったことを感じて帰ってきてくれるのか、何を感じたのかも凄く楽しみなんだけど、こういった機会を生み出せたことは本当に良かったなと思う。
これが出来たのも中京さんのコーチの方含めて、そういった方々が話を持ってきてくれたのもそうだし、今回真歩が来てくれるってなったときに、受け入れる体制を作ってくれた後輩マネージャーの子たちもそうだし、部員も含めて全員でそういう環境を作れたことこそが良かったかなと思うから。この経験は今後に繋げていきたいし、是非継続してやっていければって思うよね。
〇早稲田と中京、それぞれの主務とは
ーー主務としての仕事で違うなと感じた部分はありますか?
秦野:多分私がこの1年でやってきた事は、マネジメントではなく、チームとチームの間だったり、大人と選手の間だったり、スタッフとスタッフの間だったり、色々なものを繋ぐことに目を向けすぎたなと思ってます。スタッフの声を拾えるのも一個主務の役割で、私はどちらかというとそういう役割でそれを大事にしたいなと思っていました。
でもこれから先、もっと強いチームを目指していく過程では、チームを支えるだけじゃなく、導けるというか、引っ張る存在にならないといけないなというのは、それこそ本当に羽田さんと話して思いました。支えてるだけでは前に進めないんだなと。
私の話で言うと、2年生の段階で主務という存在の人がいなくなってしまったんですよね。1年生の時はついていくので必死で、業務に追われながら、来年はもう自分が2年目で主務としてトップを見なきゃいけないという焦りと不安の中でとりあえず1年乗り切っただけで、最後振り返った時に、本当に成長したなって思えるものがなかったんですよね。
2年目でいざ主務になっても、マネージャーとしてもまだまだだったので、その年も今度は1シーズン、チームを支えるって事でいっぱいいっぱいになってしまって。
3年目の今年、なんとなく去年よりかは主務っぽくなったけど、じゃあ本当の意味の主務が何かっていうところがわからない状態のままだったので、今回それを見て学んだというか、肌で直接感じられたというのは、私個人としては本当に良かったと思っています。後輩が行くことで未来に繋がるものはあったと思うのですが、コーチが私を行かせてくれたのは、これから先、マネージャーをそういう存在にしていきたいという想いがあるんじゃないかなと感じたと同時に、もう一度今の役職と向き合いたいとも思いました。
ーーそれでいうと、選手ではなく学生スタッフで主務をやっている羽田がいる時に来れて良かったですね。
秦野:はい、それは本当に感じました。選手ではない同じスタッフの羽田さんから仕事の話を聞く中で、本当に毎週毎週ずっとチームのことを考えていて、来週何が必要で何をしなきゃいけなくてということを常に考えることを意識してるって仰っていたのが印象的で。私も今のチームに何が足りないかとか、どういう部分が良くないよなとかは考えるけど、いざそれをどうするかっていう部分は考えられてなかった。どっちかというとそれは大人の領域で、指導者がやるからこそ、そうじゃない運営面だったり、それまでの過程の壁を取り除く方に結構目を向けていたなと思いました。
でも、本当の意味で支えるとか、強くなるというのは違うことなんだろうなということを羽田さんの話を聞いて感じたというか、素直に感動しました。
羽田:恐縮ですね(笑)
自分自身は本当に特にこの1年、主務になってからは、正直自信を失うことの方が多いし、本当に情けなさとか、自分の未熟さ、至らなさを痛感することの方が多くて。ただ、そこで落ち込んでる暇もないというか、自分が落ち込んでいる間にも、仲間はみんな戦ってるし、毎日毎日が過ぎていく。じゃあ今週どうするの、来週どうするの、っていうものが差し迫られていて、そこをマネジメントしていく代表として自分がいる。
そうなったときに本当に自分の弱さを痛感してもなお、でもやっぱりこのチームのために何かしたいって思いは本当に強く持っている。もちろん、言葉的に言うと自分はピッチの中で何かを表現できるわけじゃないから、支える立場ではあるんだけれども、俺もそうだし、もとき(浦田幹/4年トレーナー)とかも含めて、支えるっていう感覚よりかは、共に戦っているって感覚が強い。
支えることってすごく難しいんだけど、ある種、一方向的だなと思うところもある。自分がいいなって思うこと、何かこの人のためにって思うことをやるのが支えることだとは思うけど、それだけではだめだなというのはこのシーズン戦ってきて思った。自分がやるだけじゃなくて、相手がどうなのか、相手にとって本当に何が一番いいのかを考えて、自分も同じ目線で一緒に前に進んでいくことが、自分に求められてることだなと思った。
そういう意味では、選手じゃないからこそ選手の立場に立って考えることって難しかったりするけど、日頃、ピッチの外から見ている選手たちの顔とか表現とかを参考にしながら、こういう方がいいんだろうなっていうのを感じつつ、あとは逆に客観的な視点からどうあるべきだっていうのをマネジメントしていくのは本当に大事だなとは思っている。大きなことはできないけど、とにかくこのチームの目標を達成するためにとか、チームが勝利するために、1%でも本当にその可能性を高めることが出来ればいいなっていう思いでいつも動いてるって思うかな。
秦野:この5日間を過ごして行く中で本当に凄いなと感じる半面、逆に少し悔しいなとも思ったんですよね。当然過ごした1年が全然違うと思うんですけど、なんか1年でこれだけ自分と考えが違うのかって思ったら、3年間で得たものの大きさの違いを素直に悔しいなと思いました。
羽田:あと、俺は負けたくないなっていうのは素直に思っている。
秦野:選手にですか?
羽田:うん。同じ部員としてっていうところが強くて、本当に幸いなことに、俺らの同期は選手だからスタッフだからみたいなところで壁を作ることもしなかったし、スタッフだからといって甘えさせるとかも一切なかったし、本当に同じものを求めてくれた。それが1年からずっとそうだったからこそ、本当に対等な立場として学年の中でも話をしてきた。だからこそ、本当に彼らが毎日必死に歯を食いしばってこのグラウンドで戦っている中で、自分もそれに負けたくないし、ピッチで貢献出来ないんだったら自分はどう貢献するのかっていうことを常々考えている。
もちろん彼らがくれている原動力とか、彼らからもらうパワーって凄いものがあるんだけど、本当にそれを支えるだけじゃないなっていうのは強く思っていて、外池さんにもよく言われるけど、俺も本当に自分が大学サッカーの主人公だと思ってやっているし、どんなに人を支えたいなと思っていても、最後の最後そこが自分のためじゃないと頑張れないなっていうのは思う。他人のためにやることが自分のためになるっていうようなマインドがあるからこそ、どう自分のために繋げていくかは常に考えているし、結局何か人のためだけにやっていっても自分が成長できなかったら、それ以上のパワーを発揮できなくなってしまうからね。
学生スタッフって凄くその辺が難しいなあとは思うんだけど、でも本当に自分も主人公というか、自分のために、自分の成長のためにどうチームに貢献するのかっていうところを考えてほしいなっていうのは、後輩を見てても結構思うところだから。そういった部分は後輩にも伝えていきたいなあと思っている。
〇自分達だからこそ
ーー2人にとってのやりがいは何ですか?
羽田:難しいよね。俺らがやったことって、目に見える結果に出ることが少ないし、自分の中で何かやれたなとかできたなと思って満足するのは違うなって思いも自分の中にあったりするから。素直に「これマジで俺のおかげだ」みたいに思うことってなかなかないし、なんかそう思ってしまったらいけないんだろうなっていう葛藤もあったりするんだよね。
秦野:止まっちゃうというか、その先に行けなくなりそうですよね。
羽田:そうなんだよね。だけどやっぱり、チームが上向いた時とか下向いた時って絶対何かきっかけがあって、少し長い目で見て振り返った時に、何かそのきっかけに自分が関われていることを感じて、自分のやっていたマネジメントって間違ってなかったんじゃないかなとか、チームのためになっていたんじゃないかなっていうのを感じられる瞬間はある。
あとはやっぱり、その言葉が欲しいわけじゃないけど、それでも同期だったり、監督含めてスタッフ、選手達が、そういう自分たちの想いとかを汲み取って、それを感謝として言葉で表現してくるのもそうだし、その思いを背負ってピッチで戦ってくれて、勝利を掴んでくれたりする。本当にそういったものはこの立場だからこそ感じられるやりがいだなっていうのは思うね。
秦野:振り返った時に感じるっていうのは本当にそうで、それこそ今回の交歓インターンで、昨日外池さんともお話しさせて頂いた中で、個人として話す力も聞く力もあると言って頂いたんですけど、それは多分この3年間が生み出してくれたものだし、本当に3年間やってきてよかったなって素直に思いました。普段同じ組織じゃない、違う組織の人にそうやって評価してもらえたっていうのは素直に凄く嬉しかったです。
羽田:素晴らしいよね本当に。
秦野:それも一つ違う環境に飛び込んだからこそのやりがいで、チームとしても成長できるし、本当に1人の人として成長できているなって感じられるのも、スタッフっていう立場だからこそなのかなと思っています。選手でももちろんあると思うけど、選手よりもっと色々な世界の人達と関わりやすいからこそ、何か感じられるものなのかなあというのは昨日外池さんと話して凄く思いました。
〇未来へ向けて
ーー最後に今後に向けての意気込みを教えてください。
秦野:本当に強くなりたいなと思いました。自分は立場上、色んな人の思いや情報が一番入ってくるポジションで、その中で自分は何を言って、何を言わないか、情報の精査を間違えると一気に壊れてしまう。ただここだけに囚われて、自分が何がしたいか、どうしたいか、どういうチームにしたいか、更に言えば駄目なところや本当はこうした方がいいんじゃないかなと思うところも、言えずにじゃなくて、言わずにいた。それを言ったときに、どう思われるか、どうなってしまうのかという不安の方が勝っていた。
言葉にするかしないかでやる行動のレベルが全然変わってくる中で、これまではその部分を言葉にしないことで、多分どこか自分の中で、甘えや弱さみたいなところがあって、それに薄々気づいていたけど、一歩踏み込めない状態でした。けど、ここに来て自分の意思を持ってこうしたいと言えるようになって、本当の意味でチームの一員じゃないですけど、一緒に戦える仲間になりたいなと強く思いました。
羽田:素晴らしいね。
俺は早稲田大学ア式蹴球部主務っていう肩書きで過ごせる時間もあと1ヶ月なくなってきていて、自分としては本当に日本一をこの仲間たちと一緒に掴みたいって思いが一番強い。じゃあ自分は主務としてどうするのっていうところで言うと、こういう立場であるけど、あるからこそ、誰よりも自分が一番熱く、本当にこのチームに関わり続けたいし、勝利に貪欲でありたいし、みんなの背中を押せる存在でありたいなと思う。
自分の行動は多分選手からすれば良いように見えることもあれば、何かあまり良くないように見えることもあるかもしれないし、全員にとって本当に気持ち良い行動って凄く取るのが難しいんだけど、とにかく誰かの後押しができるようなそんな行動を取り続けたいし、このチームのことが大好きだからこそ本当に自分らしく最後の最後まで、まっすぐに、その想いを貫いて、みんなと一緒に日本一を取りたいなと思うし、日本一を取れるためのチームの雰囲気とか環境を作るのが、自分の役目だなと思っている。
秦野:インカレの決勝で会いたいですね(笑)
羽田:ほんとだよね、NACK5で会おう(笑)
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文中でも述べられていたように、この時期に彼女が来てくれたことは、ア式蹴球部にとっては本当に大きな意味がありました。どうしても大学サッカーの部活は閉鎖的な環境であって、外部から客観的に評価をしてもらう機会は多くありません。そんな中、同年代で、同じ体育会サッカー部で活躍する彼女の、真っ直ぐな言葉と飽くなき向上心は部員に間違いなく大きな影響を与えていました。大学サッカー、大学スポーツという枠組みで考えても、この交歓インターンは、チームマネジメントに向き合う学生スタッフの成長に、大きく寄与するものであることをこの5日間を通じて自分は確信しました。この主務対談が、今回のような試みを今後も継続していくための一助になることを祈っています。
(インタビュー:公文 翔)
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