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【#Real Voice 2024】 「憧れるのをやめましょう。」 1年・内林佑斗

「志」。これは自分が最も尊敬する指導者から小学生の時にもらった言葉だ。
この漢字は分解すると「十一の心」と書ける。ピッチに立つ11人全員が心を一つに戦う。
まさにサッカーを体現したような言葉だ。僕は今でもずっとこの言葉を大切にしている。




はじめまして。ア式蹴球部1年内林佑斗です。
少し変わった僕のこれまでと想いをありのままに綴りました。
ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。




実は僕は選手の前に一度、アナリストとして2週間仮入部している。
ランテストに一度落ち、その後怪我もあり選手としてのサッカー人生に終止符を打った。
将来の夢がアナリストなこともあり、その夢に向けて頑張ろうと強い決意をもってア式に来た。
ただスタッフとして目の前で選手たちのトレーニングや試合を見る日々。
先輩や同期に言われた「もう後悔はないの?」の一言。


僕の中の決意は揺らぎまくっていた。


そんなある日、Iリーグカテゴリーのメンバー外の共有グランドでのトレーニングサポートに入っていた。最後のミニゲームで人数が一人足りなかったのだが、その時に同期の谷川孝幸が「うっちー入れば?」と言ってくれてスタッフながら急遽参加することになった。


そのミニゲームは本当に楽しかった。あの狭いコートのわずかな時間のミニゲームが楽しくて仕方がなかった。ゴールを決めた時の感覚、勝った時のうれしさ、それをもう一度思い出した。


決断に時間は全くかからなかった。そのあとすぐに兵藤監督と新人監督の舩越君に決意を伝え、もう一度ランテストを受けさせていただけることになった。しかしランテストは決して簡単に通れるものではない。まして僕はアナリストとして入ろうと決めてから1か月ほど運動をしていなかった。相当な量のトレーニングが必要だと感じ、同期の常森が教えてくれたハイアルチという高山トレーニングができるジムに両親にお願いしていかせてもらい、1か月間死ぬ気で追い込んだ。普通週1回ペースで行うメニューを週6でやった。


とてつもなくきつくて苦しい1か月だった。でも決してやめることはなかった。
ア式でプレーしたいという志があったから。


ランテスト本番の日はとても暑かった。気温は30度を超えていてとても6月の暑さには思えなかった。ギリギリの判定だった部分もあったが、なんとか合格できた。





僕はこれまで決して華々しいサッカー人生を歩んできたわけではない。他の同期や先輩とは違い全国大会に出たこともなければ、Jユースに所属していたわけでもないし、もちろん高校選抜や代表に選ばれたこともない。


また同期の選手の中では唯一一般入試で早稲田大学に入った。
なぜそんな無名の選手が大学サッカーでア式蹴球部の門を叩いたのか。


それは志が常に自分の中にあるからだ。


サッカーが好き、楽しい、うまくなりたい、これだけで僕はこれまでサッカーを続けてきた。


志があればどんなつらいことも苦しいことも乗り越えられる。


そういつも自分に言い聞かせて生きてきた。



ただこの部員ブログを書くにあたって自分のこれまでを振り返った時に、僕はア式に入ってから「志」がどこかで「憧れ」になっていたことに気づいた。


先輩ももちろんだが、同期にも自分がテレビ越しに見ていた選手権に出ていたり、ネットで検索すれば特集が組まれていたりするほど名の知れた選手ばかりだ。
ずっと東京で過ごしてきた自分にとってFC東京、三菱養和など自分が行きたくても行けなかったクラブにいた選手たちを前に憧れずにはいられなかったし、彼らをすごいなぁという目でしか見ていなかった。



実際選手として仮入部してからは日々のトレーニングで周囲のレベルに翻弄されまくっていたし、彼らに勝てないと思うのも仕方がない部分もあった。トレーニングでいつも指摘されるのは自分ばかりだし、ミスしたときの先輩や同期の不満げな表情を見るたび申し訳なくて自分が嫌になりつつあった。
きっと多くの選手がなぜこんな奴がア式に入れているのかと疑問に思っていると思う。


一番印象に残っているのは同期の戸祭に紅白戦で対人で抜かれまくったことだ。試合終盤勝っていた場面で彼に抜かれ不用意なファウルでPKを与えてしまったときには入部は無理だろうなと絶望した。自分が今まで出てきた高校のリーグでは味わったことのない悔しさと劣等感を覚えた。入部してからも自分はこの組織に入れたこと自体が奇跡だと思っていた。



はたしてそんな気持ちの人間がこの組織にいていいのか。
いや、そんなことは絶対あってはならない。


ア式で過ごして約2か月。この組織の厳しさ、偉大さ、凄さを身をもって感じた。


実際自分は今のア式で一番下手だと思うし、周囲とスタメン争いができるレベルには達していないと痛感している。


だが、自分は何のためにここにきたのか。なぜ大学でもサッカーを続けるのか。一度は諦めた道をもう一度志したあの気持ちはどこに行ったのか。ア式の選手とはどうあるべきか。


それを考えた時、僕が真っ先にしなければならないことがある。それは、




「憧れるのをやめましょう。」




先輩にはJリーガーがいて、同期には世代別代表がいる。


でも憧れてしまっては超えられない。


自分はメガホンを持って応援しにきたのではない。


他人のプレーに感嘆しにきたのでもない。


関東リーグに、早慶戦に、大臣杯に出るために来た。


脇役続きの人生で自分を主役にするために来た。


その志を忘れてはいけない。


これまで憧れていた人たちを超えられるチャンスが目の前にある。


勝てなくて当然じゃない。
勝てなくて悔しいと、勝ってやると思わなきゃ。
下手だから諦めるのではなく、下手だからこそ誰よりも努力して這いあがる。
これはア式蹴球部の選手である以上、最低限の条件だ。


ア式でのサッカー人生はまだ始まったばかり。


僕の挑戦を応援してくれる親がいる。友達がいる。


その人たちに見たことのない景色を見せたい。


その人たちのためにも、そして何よりも自分のために


僕はこれからも高い志を胸にもがき続ける。


最後に僕が一番好きな歌のフレーズを書いて締めくくりたいと思う。



難しく考え出すと 結局全てが嫌になって
そっとそっと 逃げ出したくなるけど
高ければ高い壁の方が 登った時気持ちいいもんな
まだ限界だなんて認めちゃいないさ
              

終わりなき旅 – Mr.Children



ご精読ありがとうございました。








次のブログの担当者は大野玄(1年・渋谷教育学園幕張高等学校)です。
素晴らしい人間性を持ち、仕事も完壁にこなすみんなから頼られる存在です。僕と同じカテゴリーでDFラインでともにプレーする良き仲間で、ピッチ外でもご飯を食べに行ったり、一緒に筋トレをしたりする仲です!
彼と一緒にいるとなぜかわかりませんが、とても落ち着くし、安心します。そんな素晴らしい人格者の彼が綴る文章はきっと読む人の心に深く響くでしょう。
ぜひ読んでください!

◇内林佑斗(うちばやしゆうと)◇
学年:1年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:FCトリプレッタ


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