【#Real Voice 2023】 「NOW OR NEVER」 2年・笹木大史
「人間ってマジですげーよ。大学4年間でこんなに変われるんだもん。」
昨シーズン終盤、去年の11月頃に部室で生(ウブ)君(令和5年卒・生方聖己)が言った言葉。
3年時に1番下のカテゴリーの試合でベンチ外を経験したのに4年で関東リーグスタメン出場。誰が見ても凄まじい変化だし、本当にかっこいい。メンバー発表の時に嬉し涙を流していた姿は今でも脳裏に焼き付いている。
「俺も変われますかね?」
とは聞かなかった。人間誰しも変われるチャンスは平等にあるわけで、全ては自分次第だと知っていたから。でも、具体的に誰が見ても変わったと分かるくらいの大きな変化を遂げるためにはどうすればいいのか。自分は何をすべきなのか。何を練習すべきなのか。当時は色々な疑問が頭の中を駆け巡っていたが、その答えはシーズンが始まってからすぐに分かった。
今シーズン、兵藤新監督が就任して最初の定期戦だった早関戦(早稲田大学 vs 関西学院大学)。怪我人が多かったこともあり、追加メンバーとして前日に呼ばれ、翌朝新幹線で兵庫に向かった。自分が呼ばれたのは正確には早関戦のメンバーとしてではなく、本戦後のAサブ同士の練習試合要員。それでも昨年1年間一番下のカテゴリーで悩み、もがいていた自分にとっては大きな意味を持つ試合だったし、気合いは十分だった。
実際にやってみると意外とやれる。自分のプレーに少し自信が付いた。それからの夏に入るまでの数か月間、沢山の試合を経験させてもらったり、練習でも良いプレーが増えたりと自分の成長を感じることが出来た。
そしてハッとさせられた。
大きな変化は小さな変化の積み重ねにより生まれる
人間は大きな変化に目を向けがちである。
長髪だった人が髪をばっさり切ると皆こぞって変化に気づく。
「髪切ったんだ、似合うじゃん。」と。
でも毎日のように会う人に背が伸びたねと言われることはない。毎日少しずつ変化していてもそれに気づく人は誰もいない。自分ですらも気づかない。ある日久しく会ってなかった人に言われてはじめて気づく。
「俺、成長してるんだな。」
小さな変化は過程で大きな変化は結果みたいなものかもしれない。
積み重ねによって成長していくものにおいて、いきなりの大きな変化は不可能に近い。サッカーはもちろんのこと、勉強も然り。特に数学なんかはテスト当日の朝に勉強を始めると、落とす人がいないと言われるほどの楽単を落とすなんてことも有り得る。
毎日少しずつ変化をしていても誰も気づいてくれない。
結果が出るまでの過程がどのくらい長いのか知る人は誰もいない。結果が出る前に自分の可能性を信じきれず、諦めてしまう人を今まで何人も見てきた。あと少し頑張れば、小さな変化が積み重なって大きな変化に繋がるかもしれないのに。
夏に入って新人戦が始まり、スタメンで出れない試合が増えた。
「最初から俺を出せよ、俺だってできるのに。」という思いが強い反面、現在の実力じゃ出れないのは妥当かもという思いが心のどこかでちらつく。
でもよく考えれば当然である。
選抜や代表に無縁だった自分が毎日必死に練習しているエリートからすぐにポジションを奪えるか。監督やコーチ、チームメイトからの評価やチーム内での序列をすぐに変えれるか。
変えられるわけがない。
すぐには。
そんなことを考える度に、約2年前、ア式に入部する直前に新人監督から言われた言葉を思い出す。
鳴り物入りで入ってきた奴が試合で当たり前のように活躍するよりも、底辺から這い上がってきた奴が試合で活躍してた方が見ている人は勇気貰えるだろ?
昨年、生(ウブ)君から勇気を貰ったように、自分も誰かの活力になれるかもしれない。
誰かの活力になりたい。
高橋優の虹という歌にこんな歌詞がある。
大学サッカーも残すところ2年と数か月。時の流れってこんなにも早いのかと驚くばかりである。
自分にできることは、今できる、今しかできない小さな変化をし続けて大きな変化を待つこと。
いや、待つんじゃなくて起こしに行こう。
そしていつか、自分で成長したなと実感できるように。
それが奇跡と呼ばれても自分の中では必然だったと胸を張って誓えるように。
笹木大史はまだまだ変化し続けます。