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【#Real Voice 2024】 「宝物を胸に」 4年・梅林頌英

残り一か月で大学サッカー引退。
関東リーグも残り4節で、関東社会人参入戦も負けたら1試合、多くて4試合。
17年間続けてきたサッカー人生が終了する。


やめることも選択肢にあった中で、
自分の可能性を信じたくて続けた大学サッカー。


ア式での経験は、必ず未来に繋がるから。
得られるものがあるから。
人として成長できるから。
そう信じて、この4年間を駆け抜けてきた。




けど、引退も日に日に迫っている中で、
それって一体なんだったんだろう。
自分はここで何を学び、どんな成長ができたのか。
この4年間で得たものってなんなのか。


本当にあっという間に4年という月日がたち、この疑問を考えることをしなかったので、このブログでは、この疑問に向き合ってみようと思います。






「頑張れる目標があること、それは何より尊いこと」



公式戦の数も、TRMの数も、練習の数も数えられるほどになってきて、自分の中でどのような形でサッカー人生を締めくくれるのかを少しずつ考える。


11月2日に開幕する関東社会人トーナメント。
負けたら、その瞬間が引退となる。
その後、自分の中で、これまでの人生の大半を彩ってくれたサッカーが、静かに楽しむ趣味になっていく。



確かにこの4年間で我慢しないといけないことは多くあった。
バイトして、お金貯めて、いろいろな場所に旅行することはできなかったし、
東伏見からの帰り道、誰かのストーリーにうらやましく思うこともあったし、
次の日の練習を考えて、いろんな友達に会うこともできなかったし、
大学生のうちにしかできない経験をもっとしたかったし、
本気で留学したかったけど、それも実現しなかったし、
今思うと、いろんな欲望があって、
どれもしてみたいことだけど、
サッカーとの両方を求めることは難しい。


自分が器用な人間ではなく、割り切って物事を求めていかないといけない人間であることもわかってる。


もう一度考える。
大学4年間で自分が本当にしたかったことってなんなのか。
無限の欲望が出てくる中で、結局いろんな衝動に駆られてくる気がする。
いろんなことをしてみたいけど、
何かに向かって常に頑張っていないと。
そんな思いになることは簡単に想像できる。





そうかそうか。
日々頑張る目標があるから、この4年間、どんな状況でも前を進んでこれたんだ。
自分を肯定し続けることができたんだ。
目標のために、朝きついとか、だるいとか、時には愚痴を言いながらも、どんな状況でも結局頑張ることが好きだったんだ。



その上、自分が小さな頃から大好きなサッカーで大学4年間、
目標を決めて、高みを目指し続けられたことは本当に幸せなこと。


目標が叶ったわけではないし、
自分が理想としていた姿ではなかったかもしれない。
それに自分の限界が見えてしまうことも数多くあったけど、
自分を追求することって
ほんとうに楽しくて、尊くて、幸せだった。
自分がありたい姿に少しずつ近づけた4年間だったと思う。
その日々や道のりは、誇りをもって胸に刻もう。






次の公式戦で負けたら、
自分が大学4年間、追い続けた目標がなくなる。


その後の未来なんてわからない。
だからこそ、この1ヶ月は本気で目標のために、頑張れることの幸せを感じて、
色々な人と1日1日を丁寧に歩みたいと思う。







「自分自身と向き合う」



ア式で活動していると、勝ち負けがすべてのように感じることが多くある。
そして、勝利こそが正義で、敗北は否定されるべきものだと思い込んでいた。


それでいうと、自分は負けた側の人間である。
と思っていた。
目標を叶えることはできなかったから。
関東リーグのピッチにも立てなかったから。


もちろん、勝負の世界である以上、そこから目を背けてはいけないことはわかっている。
でも、
本当に、
試合に出ている選手だけが「勝者」で、
試合に出られていない選手は、すべて「敗者」なのだろうか。




少し話は逸れるが、
大学4年の今、誰かを蹴落として試合に出たいという思いを持たなくなった。
競争のなかで、サッカーをしている感覚は全くない。


なぜ、このマインドになったのかはわからないが、ア式という環境がそうさせた。
あの人には、あいつには、到底叶わないと思う場面がたくさんあった。
ライバルとも認識させてくれない人がたくさんいたからかもしれない。
その思いが積もり、競争をしなくなったんだと思う。
そんな自分が情けなく、恥ずかしかった。



だけど、
自分が試合に出れないなら、どうでもよいと思っていた大学1,2年の頃から、
今では、たとえ自分が試合に出なくても、心からチームには勝ってほしいと望むようになった。
おそらくそれが、学年を重ねるということ。


この目線を持っていると、試合に出ている選手の良いプレーが目に留まる。
自分には全く表現できない、スピードに乗ったプレーとか、パワー、迫力をもって相手に迫るプレーとか、とんでもないパスで一気に状況を打開するプレーとか、中盤で絶対に奪われないパスワークとか、チームがどんなに苦しい時でも発揮できるリーダーシップとか、頼もしい瞬間を幾度となく見てきた。
そんなプレーをするのは不可能だと、自分には敵わないと突き付けられた。




ただ、そんな彼らのプレーをみて、
彼らと競争することに距離を置くことで、
自分には何ができて、何ができていないのかを冷静に判断できるようになった。
自分で自分の物差しをもって行動することで、
彼らは彼ら、自分は自分と別個の問題であると考えることができるようになった。


それからは、自分の物差しではあるものの、
昨日よりも、
チームに良い影響を与えることができているか、
ボールを奪われず前進するプレーができているか、
迫力をもってゴールに向かうプレーができているか、
仲間を助けるプレーができているか、
などなど自分の物差しでいくつものチャレンジをし続けた。


いわゆる、
自分自身と向き合い、自分にできることを全力で行う
という気持ちを素直に持つことができるようになった。
そしてそこに徹底的に向き合った。
誰かと比べるのではなく、常に自分と比べる。
そうして、小さなことでもうまくいったら、小さな喜びをかみしめる。





そのように考えたら、
自分は負け続けている人間ではないのかもしれない、と思えるようになった。


昨日よりも、去年よりも、
うまくターンできた、
変な緊張をせずにプレーできた、
得点も多く取れた、
アシストも多くできた、
チームの勝利に貢献できた、
できるプレーの選択肢も増えた。



つまり、
一人の人間として、サッカー選手として、日々どんな成長ができたのか。
適切に自分の立場をわきまえて、自分自身と向き合い続けること。
それがなによりも重要なんじゃないかと思う。



人間的な成熟こそ、この4年間で求められるものだし、
そこに向き合えない人は選手としての前に、人として成長できない。
もちろん、サッカーだけではないし、全員が平等ではないかもしれないけど、
どんな場面、どんな時かはわからないけど、
どこのカテゴリーにいても必ずチャンスはくるし、
だれかが見ているし、
そのチャンスが来るべき時に、
大きな力を発揮できるように、
たとえどんな扱いをされても、自分自身と向き合い続けることが、チャンスをどう活かすかにそのまま出る。
そう感じる。







「今を生きること、今を大切にすること、今に100%で挑むこと」



この内容の言葉を
兵藤さん(兵藤慎剛監督)からもおざさん(小澤雄希コーチ)からも今年何度もいただきました。


毎回考えさせられました。
今日の自分はどうだったか、周りの仲間も実行できていたか。
本当にこれってめちゃめちゃ大事。
これからも大切にしていきたいと思います。


その一本に全力になれない。
その一つにこだわることができない。
目の前の練習に全力になれない。
その日すらも頑張ることができない。
「今」を最大限になにもできないってことは、明日もできるわけないし、1年後もできるわけがない。
いずれできるようになるなんてことは、絶対にない。
今日、本当に100%で取り組めたか。
今日を後悔せずに終えられたか。





確かに人間だから、毎日100%で全てのことに取り組むことは相当難しい。


だけど、
自分の好きなこと、
自分が追い求めたいことには自信をもって全力で取り組む。


これができて、やっと土俵に立てる。
別にその姿を誰かに見せるとか、認められるとかは関係なくて、
どれだけ自分が自分に自信を持って物事を全力で取り組めたか。
1週間後、1年後、4年後、10年後の未来なんて
誰にもわからないし、
いつどこで誰が見てるかなんてわからないし、
自分がいつ評価をされるかなんてわからない。


その日という単位ではなくて、
今という瞬間にどれだけ本気になれたか。
今という瞬間をどれだけ大切にできたか。



もっと早く気づきたかったけど、
大学4年目にして学ぶことができたのは非常にありがたいことだと思って、
心の奥深くにしまって、これからの人生に生かしていこう。







「自分は一人ではないこと」



この4年間、苦しい時はほぼすべてで、美しい瞬間はほとんど現われなかった。
総じてしんどかった。
なんでそんなこともできないのかと自分に失望したこともあった。色々な人の期待に応えられず、申し訳ない気持ちもある。
何度も現実を突きつけられて、
目を背けたくても、そこから逃げたくても、
全て現実に、目の前に現われた。



それでも
この4年間で、
本当に多くの人から受け取った「活力」は、



苦しいときこそ、どれだけ前を向いて行動できるか。



であり、
この姿勢を持つことがなによりも大切であると教わりました。



東伏見に行けば、
誰よりも声を出してチームのために行動できる仲間、
プレーでチームを勝たせる仲間、
怪我でプレーできなくてもグラウンドでみんなを鼓舞する仲間、
大きな怪我を負っても、復帰する日のためにリハビリを続ける仲間、
試合に出れるチャンスが少なくても、その時を信じて毎日小さな積み上げをしている仲間、
自分の時間を削りながらもピッチ外で選手のために仕事をしてくれる仲間、
自分が知らないところでも、目に見えにくい形でも組織のために行動する仲間、
どんな状況でも変わらずチームに泥臭く言葉をかけられる仲間、
カテゴリーとか関係なくチームに前向きなエネルギーを作り出すために行動する仲間、、、


そういう仲間がいて、
そのすべての行動から大きな活力をもらって、
自分自身を奮い立たせてもらいました。


自分が苦しい時でも、全てを投げ出したくなる時でも、

自分は一人じゃない。

そう思わせてもらいました。
そんな活力を毎日もらうことができたことはめちゃくちゃ幸せなことだと思います。



だからこそ、みんなには、
全員が全員、組織に属する一人として、
大きなパワーを持っていることを忘れないでほしい。
決して一人にならないでほしい。
周りと仲間と繋がりを持ち続けてほしいと思います。




苦しい時、しんどい時は周りを見て、
隣にいる仲間を見て、
隣にいる仲間に想いを吐き出していいと思います。
その仲間も、歯を食いしばっていると思うので、共に乗り越えてほしいと思います。


プレー中も同じで、
自分一人では状況を変えられるプレーなんて一つもできません。
自分は誰かと常に繋がっていないと自分のプレーができないし、
チームに貢献することができません。
だからこそ、多くの仲間に助けられたし、多くの仲間とともにいろいろな局面を乗り越えて行くことができました。


そして、
ミスをして、ミスが続いて、ため息をついている仲間がいるなら、
その選手の分まで走る。
「大丈夫」と一言声をかける。
仲間が苦しそうな時は、その代わりに倍以上走ってカバーする。


また、環境設定という言葉が今年は重要視されました。
甘い環境、雰囲気を作らないことも大切だけど、
それは、ただ厳しい言葉をかけるだけではない気がします。
人間ミスが続いたら、次のプレーが怖くなるのは当たり前。
そんな時は、仲間にポジティブな感情をもってプレーしてもらうことの方が大事だと思います。
だからこそ、そういう仲間に寄り添って、一人にさせず、カバーして、助け合うことが日頃のトレーニングから大切だと思います。


そういう姿勢をもって活動することが組織に属することだと思うし、
そういう姿勢を持つことの重要性をア式で活動して学べたことだし、
それこそが自分にとってのサッカーだと思っています。






最後に、
これまでのサッカー人生では、
数えきれない先輩や同期、後輩と出会い、
そういった仲間が常に周りにいました。
そして、誰よりも応援してくれる両親や、
仕事があっても試合を見てくれる兄弟がいて、
たくさんの人に支えられてここまでくることができました。



残りの1か月は、
そういった人たちを思い出し、大好きなサッカーに失礼がないように、
1つ1つの瞬間を大切にして、今いる仲間とともにチームのために全力を尽くします。
そして、最後の最後まで、自分の可能性を信じてやり続けたいと思います。




関東リーグ1部昇格。

社会人リーグ昇格。


みんなで達成しよう。
なんとしてでもつかみ取ろう。





今日から4年生の部員ブログが始まります。
引退が目の前にある今、4年間の想いを様々な形で表現してくれると思います。
素晴らしい個性を持った同期のブログをぜひ一読して頂けると嬉しいです。


次のブログは東(東廉・清水エスパルスユース)になります。
使わないと言われながらも、気づいたらピッチに立ち、チームのために走り続ける8番。
来季もどこかのピッチで躍動していると思います。
繊細で、どこのポジションでも活躍できる万能さを持ち、1年生の頃から先頭に立ってくれていました。常にチームを引っ張ってきた彼がどんな想いでこの4年間を過ごしてきたか、ご注目ください。


◇梅林頌英(うめばやししょうえい)◇
学年:4年
学部:文学部
前所属チーム:國學院久我山高等学校

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