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【#Real Voice 2022】 「なにを選んで、どうするか」 4年・鈴木俊也
ついにW杯が始まりました。
大学サッカーを引退して、来季までのちょっとした休憩期間に入っている私にとっては、毎日のように熱い試合が何試合も見られる夢のような日々が続いています。
先日、我らが日本代表は強豪ドイツ相手に逆転勝利をおさめ、初戦から日本中を大いに盛り上げてくれました。
多くの人がドイツの勝利を予想していたかもしれませんが、彼らは日本の代表として素晴らしい試合を見せ、テレビの前の国民に勇気を与えました。
この素晴らしい勝利のあと、Twitterにつぶやかれていたある投稿が目に留まりました。
その投稿によると、ドイツ戦をテレビ観戦した子供たちが、浅野選手のコントロールからのシュートを真似して何度も練習したり、ゲーム形式の練習で「俺三笘!」、「じゃあ俺伊東純也やる!」といって日本代表選手たちになりきっていたりと、
選手たちがまるで彼らのアイドルになっているようでした。
これを見た時、とても懐かしい感覚がありました。
私が幼いころに日本代表の試合を見て、本田選手のフリーキックを真似したように、李忠成選手のボレーシュートを真似したように、
今回のW杯が今の子供たちにとって忘れられない大会になると思うと、
改めて、サッカー選手という職業に魅了されたと共に、責任の重さを再認識した瞬間でした。
サッカー選手って、日本代表って、こうあり続けられたらいいなと。
とても大事な感覚だなと思ったので、自身へのメッセージも込めて記しておきます。
今回、このブログを書くにあたって、何を題材に書くのかとても悩みました。
ア式蹴球部員として誰かに私の言葉を届けられる最後の機会で、何を伝えることが出来るだろうかと考えました。
4年間を振り返り、
振り返りたくないほど苦しかった今季を振り返り、
様々な感情や思い出がたくさんあふれてきました。
それらの中でも、ひと際浮かび上がってきたものは
ア式蹴球部への感謝の気持ちでした。
ア式蹴球部には本当に感謝しています。
環境、歴史、人とのつながりなど、感謝すべきことは山ほどあります。
しかし1番感謝していることは、そんなポジティブな要素たちではなかったです。
試合に出してくれたことでもなく、プロになれたことでもなく、
数えきれないほどの苦難と逆境を与えてくれたことでした。
この組織にいる間に、自分自身について、組織について、社会について、将来について、
たくさんのことを考えながら、自身の行動に落とし込むことが習慣化しました。
今季は特に、「組織」についてサッカーをしている時間よりも多くの時間を費やして考え続けました。
まさに数えきれないほどの問題に直面しました。
多くの部員がブログで記す通り、ア式には様々な背景を持つ部員がいて、
将来的な目標・ゴールも人によって全く異なっています。
あまりにも大きく、抽象的なビジョンを掲げるこの組織で、様々な解釈があるのは当たり前のことだし、多様性は重んじられるべきという世の中の流れも理解できます。
しかし、チームとして足並みをそろえて同じ方向へと前進するためには、
どこかで線引きをして、それぞれが妥協点を見つけ出さなければなりません。
今季はその妥協点を見出すことが出来ず、
方向性や考え方の違いという問題に対する解決策として、
「サッカーで、試合で勝っていくうちに自ずとまとまれる」という風に考えてしまいました。
向き合うべき要素はたくさんあったのに、「状況を変えるためには試合で頑張って勝つしかない」と思い込むことで、難しい状況にさせている他の要素を無視してしましました。
結果的に、開幕から勝てない試合が続き、チームは内側から崩れ落ちていきました。
向き合うべきことに目をつぶってしまった結果でした。
今季も、これまでも、ア式蹴球部は多くの難しい状況を私に与え続けてくれました。
解決出来たことと、出来なかったことはもちろんありますが、
ひとつひとつの難しい状況に直面していく中で、得られたことがあります。
「困難を覆すには大きなパワーと覚悟がいること」
「困難には様々な要素が組み合わさっていて、何から選択して解決していくのかが重要であること」
先日の解散式でも部員のみんなには伝えさせてもらったことですが、
私が4年間で1番痛感したことだったので、改めて、頭の片隅に入れといて貰えるとありがたいです。
学生のうちに気付く機会を与え、痛いほど味わえたのもア式蹴球部のおかげでした。
最後になりますが、
今季もたくさんの応援を届けて頂き、ありがとうございました。
一方で、支えてくださる多くの方には活力を届けることが出来ず、申し訳ありませんでした。
どんなに勝てなくても、苦しくても最後の最後まで皆様から頂いた温かい応援は決して忘れることはありません。
早稲田を卒業したからといって、降格させてしまった責任から逃れることはなく、
ここでの経験を糧に、来季から始まる新たな舞台で精進していきたいと思います。
まとまりのない文章になってしまいましたが、私の素直な思いを最後まで見て頂き、
ありがとうございました。
◇鈴木俊也◇
学年:4年
学部:商学部
前所属チーム:早稲田実業学校高等部
☆大宮アルディージャ2023シーズン加入内定