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「感じる」 1年・中谷颯辰

こんにちは。今回部員ブログを担当させていただく、基幹理⼯学部1年の中⾕颯⾠です。
⾃分でも何を書いているかよくわかりませんが、最後まで読んでいただけると幸いです。


私はよく「何も考えてないだろ!」と冗談半分で⾔われる。そう⾔われた時はいつも「いや、しっかり考えてますよ」と、とりあえず答える。実際のところ考えていないわけではないが、それよりも感覚的なところを優先してしまう。論理的にああだこうだ説明されてもそれが正しいかどうかもわからないし、⾔葉で説明するのと実⾏するのは全くの別物だから、最終的には『こんな感じだろう』という感覚で物事を捉えてしまう。

⼩さい頃からそうだった。幼稚園の先⽣や親の話のポイントを感覚的に理解する能⼒が⾼かった。だから、話を聞けば難しいことでも意外と簡単に実⾏することができた。逆に⾔えば、説明されたことを感覚的に理解することで応⽤⼒が広がる。それだけでなく、いろいろな⾓度から物事を⾒ることができるようになった。

この今まで⽣きてきた中で培ってきた感覚が⾃分と近い⼈とは話が合うし、すぐ仲良くなれる。逆に、感覚が⾃分と遠い⼈とは少し喋っただけでも違和感を感じる。だけれども、その感覚が普通だとか、異常だとか判断するのは難しい。実体験で⾔うと、私が⾼校2年時に理系に進んだときの話だ。理系が得意な⼈は⽇常会話の中でも論理的に話すことが多い。それを、私は側から⾒て感覚的に異常だと感じた。しかし、理系クラスの中ではそれが正常な感覚であって、逆に私が異常なのだ。このように感覚の正常・異常は環境によって異なるからである。

感覚はその⼈が暮らしてきた環境によって作り出される物事を判断する探知機のようなものだと思う。特に、⼩さい頃の環境や経験が感覚に⼤きく影響すると私は考える。⽣まれた頃は全てが⽩紙の状態なので、ほんの⼩さな出来事でいろいろな感覚を覚えるからだ。⼀卵性双⽣児が遺伝⼦的に同じで、ほとんど同じ時間を過ごしているにも関わらず、成⻑する過程で少しずつ違う経験をすることによって、好きな⾊、好きな⾷べ物、やりたいこと、将来の夢がそれぞれ異なるように。

だが、このような感覚の違いがあるからこそ、私たちの⽣活は楽しくなる。感覚の違いによって、話題が⽣まれ、そこから他との感覚の共有・理解が始まり、その⼈に魅⼒を感じたり、またはその反対だったり。

これはサッカーにおいても同じことだと思う。チームによって掲げている⽬標やスタイル、戦術は様々である。もちろん、チームの中でも「今のはこうだろ」とか「もっとこうしてほしい」とか個⼈個⼈思うことはある。そのために練習があると私は思っている。今まで異なる環境で異なる経験をしてきたメンバー各々が持つ感覚を、練習というものを通してすり合わせていく。そして、各々が持つ数多くの感覚の中に共通の感覚が増えていく。それがチームの⼒に⽐例する。


最後に、夢の話で終わろうと思う。
私の夢はプロになること。⼩学校の頃は何も考えずにサッカーを楽しんでいた。中学校になり、プロを意識するようになり、プロに⾏けると⾔う感覚があった。そして、⾼校は静岡学園に進学。もちろんプロを⽬指していた。でも、普通に主⼒でやれてはいたものの、プロになれるという感覚は弱くなっていた。しかし、⾼校サッカー最後の2ヶ⽉は怒涛だった。全国⾼校サッカー選⼿権である。今まであれほど⾃分が感覚を研ぎ澄ましたことはなかった。すべて分かる、感じる。視界に⾒えていないものが⾒える感覚、この次に何が起こるのかわかる感覚が確かにそこにはあった。そして、決勝戦。いつも⾃分は試合前に冗談で「今⽇俺、〜点とってくるわ」とチームメイトに⾔う。もちろん、決勝戦の前にも⾔った。だが、それは冗談ではなかった。結果的に⾃分は決勝点を含む2ゴールをあげ、チームは全国優勝を果たした。決勝ゴールについて記者の⽅やテレビ関係者の⽅々によく聞かれる。「あの形は練習していたんですか?」「どうしてあんなにフリーだったんですか?」と。特に練習はしていないし、何でフリーだったかもわからない。ただあの時勝⼿に体が動いただけだ。だから私は「感覚です」と答える。あの声援が⽌まないスタジアムの中では、戦術の変更はもちろん、選⼿は3メートル間でも声は届かない。その中でチームのメンバーの中で共有されていた様々な感覚が結びついた故の3ゴール、勝利だった。

あの1試合が終わった時、まだやれる、プロになれるという感覚がまた強く蘇ってきた。感覚は最終的に確信になる。⾃分のプロになれるという感覚が⼀歩確信に近づいた。

そして、現在ア式蹴球部に所属している。ここには私と違う感覚を持った⼈がたくさんいる。ワクワクする。⾃分の中にまた新しい感覚が⽣まれる。他の⼈に⾃分の感覚を共有することもできる。私はこの環境で、より優れた感覚を培う。サッカー、⼈間的な部分ともに。

感覚が確信に変わるまで。

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中谷颯辰(なかたにそうしん)
学年:1年
学部:基幹理⼯学部
前所属チーム:静岡学園高校

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