【早関戦 特別企画 vol.1】 主将対談 〜大学の垣根を越えて〜
関西学院大学体育会サッカー部と早稲田大学ア式蹴球部を率いる両校主将にインタビューを行いました!
今回は
個人に焦点を当てた第1弾
次回は
チームに焦点を当てた第2弾
を公開します!
戦う場所は違えど目指す先は同じ日本一。
大学の垣根を超えた対談をぜひご覧ください!
(この対談は2024.2.21に実施されました。)
◯選手紹介
◯お互いの印象とは?
ー自己紹介お願いします。ポジション、出身チーム、趣味を教えてください。
末次:関西学院大学体育会サッカー部(以下関学)の主将を務めます、末次晃也です。ポジションはセンターバックで、サガン鳥栖U-18出身です。趣味は筋トレ、サウナ、読書の3つです。
伊勢:早稲田大学ア式蹴球部(以下早稲田)の主将を務めます、伊勢航です。ポジションはボランチで、出身はガンバ大阪ユースです。趣味は最近、映画鑑賞にハマっていて昔の名作をアマプラで見ています。
ー 末次さん、趣味が筋トレっていうことなんですけどベンチプレスのマックスとかは?
末次::今は105キロです。伊勢さんは?
伊勢: マックスこないだ90上げようとして無理やったんで85ぐらい(笑)。
ー末次さんは読書も趣味とおっしゃっていましたけど、おすすめの本とかってありますか?
末次:稲盛和夫さんの「生き方」という本です。稲盛さんの本は間違いないんで、ぜひ伊勢さんも1度拝見してみてください。
伊勢:終わったらちょっと見てみます!
ー伊勢さんは映画鑑賞が趣味っていうことで、お勧めの映画はありますか?
伊勢:そうですね。こないだ再上映されたビフォア・サンライズっていうのがあって。25年前くらいの映画なんですけど、恋愛系で21歳にしてちょっときめきました(笑)。ぜひお勧めしたいと思います。
ーお二人はユース同士ということで、ユースの時に対戦はした事ないですか?
去年も早稲田と関学は早関戦と総理大臣杯とで2回対戦したと思うんですけど。もしお互い知っていればお互いの印象をお聞きしたいです。
伊勢:僕が中高生の時はサガン鳥栖U-15とU-18が強かったので、中学の時から僕が一方的に知ってました。
ー末次さんは中学の時から伊勢さんを知っていましたか?
末次:すみません、存じ上げてないです。大学で知りましたね。
ーお互いに対する印象は何かありますか?
伊勢:中学高校から一方的に知ってるんで、熱いファイターなイメージです。
末次:めっちゃゴツいなと言う印象でした。
伊勢:当時はほんまに体重重くて75キロ位で。身長172なんですけど。髪の毛も角刈りでしたね。
末次:人から聞いたのと実際見るのと違う。
キャプテンゴツいし、伊勢さんゴツいし、早稲田えぐいなという印象でした。
◯主将としての自覚
ー伝統あるクラブで今シーズンから主将を務められるということですが、まず初めにどういう経緯で主将になったのかをお聞きしたいです。
じゃあ末次さんからお願いします。
末次:僕は中高キャプテンをしていて、自分自身大学に入った時からキャプテンになるというのは決めていました。中高で日本一を獲ったという経験をしていて、今どうやってマネジメントしていったら日本一を獲れるかみたいなのは自分の中で持っているつもりです。それを大学で活かせるのは俺しかおらんなって思ってたのでキャプテンに候補しました。
伊勢:自分もユースのときは、実力で監督に「お前が1番うまいからやれ」と言われてキャプテンをやったので、自分から立候補した感じはなかったです。
大学に来て1年生の時から学年リーダーという役職をずっとやっていて、2年生の頃から自分がキャプテンやるんだろうなっていうのは感じ始めていました。3年生の後期に行われたキャプテン決めの場で、ありがたいことに学年の同期全員から推薦をもらって、最後は自分の意志でキャプテンになりました。
ー新シーズンも始まりましたが、主将として意識していることはありますか。
伊勢:去年自分たちが2部優勝、日本一という目標を掲げていた中でそれを達成することが出来なかったという危機感は皆が持っているので、その厳しさを皆に問いかけているつもりです。今怪我をしていてプレーは出来ませんが、ピッチの外から厳しい要求をしたり、下級生との交流も大事にしています。チームが1つになるために、誰1人取り残さない環境づくりだったり皆が同じ方向に向かえるようにといったチーム作りを大切にしています。
末次:関学にはビジョン・ミッション・スピリッツ・スローガンがそれぞれあるんですけど、それをチームに浸透させることを意識しています。これを決めるのに2~3か月かかったので、ここに4回生の思いは全て詰まっていると思います。それをどれだけ浸透させられるかというところと、4回生・主将という中でプレーで引っ張っていくというところを特に意識しています。
ー主将として活動する中で苦しかったこと、苦労したことなどあれば教えてください。
末次:1番難しかったのはスローガン・スピリッツ決めです。ここがチームとしての核というか、チームが上手くいかないときに立ち返る場所になるという認識でいるから、ここが1番大事だと幹部全員でも話していたので、決める過程が凄く難しかったですね。
伊勢:自分たちも、ビジョンとミッションを決めることは難しかったですね。ア式蹴球部は今までずっと「日本をリードする存在になる」というのをビジョンとして掲げていた中で、自分たちはそこを変えようと、ゼロから新しいビジョンを考えていくことは非常に難しかったです。
結局「Waseda The 1st」という長年の哲学を理想像に置いたんですけど、そこまで持っていく過程は凄く難しかったですね。あと個人的には主将としてピッチの上で示さないといけない中で怪我で離脱してしまったので、情けないなと感じていますけど、逆に自分がどれだけピッチ外で振舞えるかというところも大事だと思うので、そこは今意識してやっている部分です。
◯これまでのサッカー人生を振り返って
ーこちらからするとユースという環境の中で、エリート街道を歩んできた感じがするのですが、今までの1番の挫折を教えてください。
末次:挫折は中1の入団当初かなと思います。
鳥栖のジュニアユースは400人くらいから20人くらいしか勝ち残れないという中で、それなりに精鋭たちが集まってきてて。僕は運よくナショナルトレセンの活動中にスカウトしていただいたんですけど、九州のナショナルトレセンは関西とかに比べると全然レベルは高くなくて。選ばれたことに自信は持っていたんですけど、いざジュニアユースの門を叩いてみると、自分が1番下手で、試合にも出れなかったし、練習でも足吊るくらいきつかったです。そこからは上手くいってキャプテンまで行ったんですけど、入団当初は凄くきつかったですね。
伊勢 :1番の挫折はガンバのトップチームに上がれなかったことかなと思っています。中高と順調にきて、日本代表とかには選ばれたことはなかったですけど、レギュラーとしてずっと活躍していて、高2の夏くらいからJ3リーグにもいかせてもらって試合に出させてもらっていた中で、自分の感触的にもプロに上がれるんだろうなということも感じていました。自分がちょうど上がれるか瀬戸際の時に、トップチームが韓国代表のボランチを取ってきて。そういうのもあって自分はトップチームに上がれなかったんですけど、自分が否定されたように感じて当時は辛かったです。ですが、結果的に今自分がこうやって早稲田に来てサッカー選手としてだけでなく人としても成長できているので、トップチームに上がれなかったことは辛かったですけど、結果的には良かったかなと思っています。
ー続いてサッカー人生で1番嬉しかったことを教えてください。
伊勢:昨年、総理大臣杯に出場できたことかなと思います。関東2部という事でシードとかも無くて、関東予選を勝ち上がるのは難しい状況の中で、その過程でチームが1つになっていったなと感じています。1部の法政大や日大ともやりましたけど、本当に負ける気がしなくて、こういうチームが勝つんだろうなということを感じました。
そうやって強いチームを倒していったこともそうですし、チームが1つになって全国に出るという目標を達成した時の達成感ということは非常に大きかったので、自分のサッカー人生で1番嬉しかったことかなと思います。
末次:中学のクラブユースで優勝したことですかね。優勝したこと自体、クラブの全カテゴリー合わせて初めてだったので。トップチームもJ1に上がったばかりで定着しきれていなかった時期で、全国から見てもサガン鳥栖っていうクラブの知名度はあまりなかったと思うので、ジュニアユースが優勝することで知名度上げたいという思いはありました。クラブの繁栄に少しでも貢献できたという面で嬉しかったですし、春の全国大会では予選敗退という状況から、力を付けて行って全国優勝という形まで持っていけたことは凄く嬉しかったですね。
◯ユースと大学との違い
ーじゃあ次は…お互いユース出身だと思うんですけど、ユースと大学サッカーの違いって何かありますか?サッカー面でも、環境面でも、どちらでもいいんですけど
末次さんはどうですか?
末次:環境面はめちゃくちゃあります。多分伊勢さんも一緒だと思うんですけど、マネージャーいないし、学生スタッフとかもいないし、挙げていったらキリがないと思う。何から話していこう?難しいな。
ー1番びっくりしたことはなんですか?
末次:びっくりしたこと?それはもう人数が多いってことかな関学は。入学当初は190人とか180人とかいたから。鳥栖のユースは多くて40人とかで2チームくらいしか作れなかったから。6〜7チームあるような人数の多さにはびっくりした。
それと同時にユースは全員がプロを目指すっていう環境だけど、大学は全員がプロを目指してるわけではないし、就職に強いからやってるとか、ただサッカーが好きでやってるっていう人もいるから、サッカーに取り組む姿勢というか、サッカーに対する価値観っていうのが、こういう人もいるんだっていうのはユースにいたからこそ初めて出会った人が多くて、そこのギャップというか、価値観の違いに関してがびっくりしたところかな。
ーありがとうございます。じゃあ伊勢さんはどうですか?
伊勢:1番びっくりしたことは、人間力が違うなっていうのは思いました。ユース時代は、みんな自分のことしか考えてないしプロになることしか考えてないような人たちの集団やったんですけど、大学に来て最初4年生に圧倒されたというか、「どうやったらこんな人になれんねやろ」ってほんまに憧れっていうのを素直に抱きました。それはピッチ内だけじゃなくてピッチ外でも、自分達とコミュニケーションをとってくれる姿勢だったり、チームのみんなが嫌がることとかを率先してやっている姿とかみてると、早稲田に来てよかったなと思いますし、こういった4年生にならなきゃいけないのかな、っていうのは感じています。まだそれは達成しきれていない部分ではあるので、常にそこを追い求めているって感じですね。
ー長尾優斗(関西学院大学 2023年度卒 / 水戸ホーリーホック所属)くんとは仲良かったですか?
伊勢:1年の時は全然仲良くなくて、2年になってAチームのレギュラーに入った時に初めて話しかけられたような感じで、その時に初めて認められたような感じがしました。長尾くんはユースの時はそんなに後輩に自分から話しかけるような感じではなかったので試合に出始めてから結構喋るようになった、って感じでしたけど、ボランチでコンビ組んでたんで寮のお風呂とかでも、会えばずっとしゃべってたって感じでしたね。
ー話は少しズレるんですけど、ボランチ同士で長尾君から学んだことってありますか?
伊勢:自分がボランチを始めたのが高校1年生の最後だったんで、その時に初めてボランチをやった試合が長尾くんと組んだ試合でした。そこで長尾くんにいろいろ助けてもらって、自分も調子良かったっていうのもあって、レギュラーを掴むきっかけになったので、そこはほんまに感謝してるし、あと関学のみんななら分かると思うけど、サイドチェンジとか長短のパスがほんまにうまいし、あとはシュートもうまいんで、そこはいつも学ばせてもらっていましたね。
ーありがとうございます。
ここまでお二方ともピッチ外でのことをおっしゃってくれましたが、大学とユースとのサッカー面での違いで何か感じるものがあれば聞かせていただきたいです。
末次:サッカー面か…。
関学は結構、選手主体でサッカーしてるというか、伊勢さんからもあったと思うんですけど、ユースってどちらかというとトップで活躍する人材を育てる、みたいなところがあると思っています。だからトップと同じシステムでやったりすると思うんですけど、関学は選手によってシステムも変わるし、監督はほとんど指示しないというか、選手を信頼して、選手の選択を尊重するというか、そういった面で選手主体でやっているなというのは、大学とユースの違いかな、とは思いますね。
ーなるほど。ありがとうございます。伊勢さんはどうですか?
伊勢:自分がガンバっていうのがあって…ガンバは結構下から繋ぐスタイルなんですけど、関東に来てほんまにフィジカル重視というか、結構、蹴って、セカンドボール拾ってっていうサッカーが多くて、早稲田もどちらかというと縦に速いサッカーをしているので、そこの適応に最初は苦しんだ感じですね。
ーなるほど。ありがとうございます。確かに関東ってそのイメージ強いですね。
関西は結構ちゃんと繋いでってイメージだけど、関東はフィジカルゴリゴリみたいなイメージですね。
末次:それ最初ギャップありませんでした?楽しかったですか?
伊勢:最初はほんまにおもろないっすよ。おもろないですけど、これやらな出れへんって。
末次:なるほど
ーそのサッカーに合わせてフィジカル強化したみたいなところもあるんですか?
伊勢:そうっすね。結構筋トレ頑張ってって感じですね。最初はかなり細くて入学した時が62〜3キロだったんですけど、まあそれこそ総理大臣杯に出た時は75キロとかあったんで。結構増量がんばりました。
ーすごいですね。筋トレがむしゃらにやって、ご飯いっぱい食べて、みたいな?
伊勢:そうですね。脳筋みたいな感じですけどそんな感じです。
◯大学時代に衝撃を受けた人物とは?
ーお互い大学に入って、上級生でプレーを見てこの人すごいなっていう人は思いつきますか?
末次:おりすぎるな。
ーあえて「この人」1人挙げるなら?
末次:1人かぁ。山田剛綺(関西学院大学2022年度卒 / 東京ヴェルディ所属)かなぁ…。
選んだ背景としては、僕1年の時Cチームにいたんですよ。A/B/C/Dあるなかで、2年のシーズンがスタートした時に、関学はラージAって言って40人くらいでAチームをスタートして、そこから何人か落としていく、みたいな感じで始まっていくんですけど、そこで運良くAチームでスタートさせてもらって。その時に初めて剛綺くんと対峙する場面があったんですけど、なんか強いし速いしうまいし、みたいな全部揃ってるじゃん、みたいな。
ロングボールきて、「あ、これ俺ヘディング勝てるな」みたいなのが感覚的にあったんですけど、なんか後ろからヒュッてきて胸トラップされたっていうのが今でも衝撃で、俺が頭で行こうとしているところを胸トラップする?!みたいな、こいつハンパないな、みたいなのが1番最初に対峙した時にあって、それは結構衝撃だったかなっていう。
ー確かに剛綺くんえぐかったですね。
末次:その時さぁ、Aチームでサッカーしたいと思わなかったもん。この人たちとマッチアップした俺、やられまくると思って。本当に衝撃でした。
ー伊勢さんはいかがですか?
伊勢:2人でめっちゃ迷ってて。
1人が加藤拓己選手(早稲田大学2022年度卒 / 清水エスパルス所属)。もう1人が昨年10番を背負っていた植村洋斗選手(早稲田大学現4年生 / ジュビロ磐田所属)。
ちょっとタイプ違うんだけど、3年間一緒にやっていたという意味では洋斗くんが別格だったなぁっていうのはあって、同じボランチの選手として守備も攻撃も全部やってくれて。
守備だったら全部刈り取ってくれるし、攻撃だったらとりあえずボールを洋斗くんに渡せばなんとかしてくれるやろって本当に心強かったです。自分も今プロを目指している中で、この人を超えな、自分もプロになれへんっていう身近な目標が3年間あったというのは自分の中で大きかったのです。最後の1年間は一緒に試合も出れましたし、3年間身近で見てきたっていうので自分は洋斗くんを選びます。
ー植村洋斗さんは全日本大学選抜とか選ばれてましたよね?
伊勢:はい。
ー(植村洋斗選手の)ここがすごいと思うところを教えてください。
伊勢:ボールを奪われないというか、ボールの足ブロがほんまにすごいというか。サッカーやってる人だったら足ブロって言ったら伝わると思うんですけど、ここいけるってときに足スって入れてきてブロックされて、で逆つかれて抜かれるっていうのが結構あって。そのプレーは自分はできないんで、そこが1番これやばいなって思ったところです。
ーなるほど。実際総理大臣杯の時スカウティングで、関学内でもあの選手には気をつけろっていうのは度々言われてましたね、(関学の)ミーティングでも。伊勢さんも含めて。
伊勢:俺も挙がってたんですか?
ーはい。いましたよ。もちろん。
伊勢:それは嬉しいです。
◯今シーズンの意気込み
-これが第1弾最後の質問で、個人としての今シーズンの意気込みをお願いします。
末次:個人としては、去年開幕から前期はずっと使ってもらったんですけど、後輩の台頭もあって後期はリーグ戦1試合も出れなかったっていうのがあったんで、まずはスタメンに返り咲くっていうところ。そして最後インカレ決勝で自分がチームを勝たせられるような存在になれていたらいいのかなと思います。
伊勢:去年からずっと試合に出させてもらっていた中で、今年は本当に主将としてチームのピッチ内外で圧倒的な存在としてチームを勝たせられるような選手になりたいなっていうのがあります。卒業後はプロになりたいと思っているのでプロになれるように、その夢を達成できるように、頑張っていきたいなと思います。
最後までご一読いただきありがとうございます!
早関を率いるお二方の内面を少しは知っていただけたのではないでしょうか?
第2弾は"早稲田"と"関学"がどのようなチームなのか、"チーム"に焦点を当てた質問を中心に行いました。
3/6(水)公開予定です!ぜひご覧ください!
(インタビュー:関西学院大学新4年 松本虎志郎、編集:早稲田大学新4年 渡邊朋恵)