【#Real Voice 2023】 「早稲田を愛する全ての人へ」 4年・平松柚佑
書くことが思い浮かびません。
4年目なんてブログ書くの簡単だろうと思っていたのに。
日々の感謝と4年間の振り返りを書けば良いと。
しかし、これがまた難しいんです。絶妙に。
それでも1文字ずつ、丁寧に、言葉を紡いでいきます。
後悔、葛藤、嘆き、想い、喜び、そして愛。
何を綴ろう、何から綴ろう。
同期の4年分の部員ブログを読み返し、こいつ成長したな、こんなこと考えていたのか。
気持ちが高揚し、時に涙しそうになります。
みんなと離れるの寂しいなと感じると同時に、今年1年間を回想しました。
ア式のみんな、今年の1年はどうだっただろうか。
思い通りにいった者。
思い通りにいかなかった者。
挫折を味わった者。
1年生、特殊なこの組織に戸惑ったかな、もう少しで仕事も教える立場になる、応援しています。
2年生、個々の能力、学年の結束力が本当に魅力的です。だからこそ、もっと他学年とのつながりを大切にすることでさらに素晴らしい学年になれると確信しています。
3年生、次は君たちがア式を引っ張る番。100周年という節目の年、すごい心配だけどそれ以上に期待しています。強い早稲田を取り戻してください。
4年生、言わずもがなみんなのおかげでここまでこれた、ありがとう。
この1年で成長できた部分。逆にこの1年で見失いかけてしまっている部分。
様々な変化があったと思います。
それでも自分の譲れない部分だけは変えずにこれからのサッカー人生、社会人生活を歩んでいってほしい。
今年の平松柚佑は今までと見る景色が変わっていました。
試合中、今まではピッチの中央で動き回り指示を出していたのに、GKを除く最後尾から試合に参加するようになり、公式戦では最後尾は愚か、多くの試合をベンチから眺めていました。本職のポジションでプレーした時間は約30分。
多くの人は学年が上がるにつれ出場機会に恵まれていくはずです。しかし、私の出場機会は昨年を大きく下回っていました。
この悔しさを表現できていない自分を見つけた時、サッカー選手としての自分に限界、そして終わりを見た気がしました。
自分がいなくてもチームは何ら変わらない。いなくてもチームは勝っていく。
そんな現実を突きつけられたような気がして4年目にしてやっと自分の無力さに気付きました。嫌というほど現実を突きつけられ、無力さを感じ壁にぶつかりました。今もぶつかっているし、乗り越えられているのかもわかりません。
それでも乗り越えようと行動できるのは、主将としての責任、サッカー人としてのプライド。
いや、それ以上に、多くの仲間の行動に、そして言動に活力をもらっていたからでした。
プロに内定しているのにかかわらず努力を惜しまない仲間、自らのプレー向上のために体の仕組みを学ぶ仲間、オフの日もトレーニングする仲間、マネ部屋で遅くまで作業する仲間、イタさとカッコよさをはき違えている仲間、笑いでみんなを笑顔にする仲間、早稲田○○年目が口癖の早稲田愛にあふれる仲間、銭湯で深い話をしたがる仲間、頭から突っ込んで相手のボールを奪う仲間、圧倒的なパッションでチームを奮い立たせる仲間、プロになりたいと恥ずかしくて言えない仲間、見えないところでチームのために動いてくれている仲間。
挙げたらきりがないくらいに多くの仲間から活力をもらっていました。
それこそが私の原動力となり、無力な私が歩みを止めずにここまでたどり着くことができたのです。
歩みを止めないことは簡単そうで難しいことです。常に自分たちの先を走る歴代の4年生たちの背中に追いつき追い越すことは容易なことではありませんでした。自分たちが理想としたあの4年生たちの姿には届かなかったかもしれません。
でも、それで良いんです。それだから良いんです。自分たちは自分たちであるからこそ比べようがないのだから。自分たちは自分たちらしく必死に、自分たちの色を出すことができました。輝かしい結果こそ残すことはありませんでしたが、来季へ一筋の希望を見出すことができました。
そんなア式での生活も残すは1日。うまくいけば2週間となりました。
坊主の伸びかけという絶妙にダサい髪形でア式の門をたたいてからはや3年10ヵ月。
今ではチームの中で最も髪を伸ばし偉そうにア式について語っています。
入部当時、ボールを受けるのが怖くて「パス出さないでください」と言い続けていたことが嘘のように今ではボールを欲しがっています。先輩にサッカーやめろよと冗談半分でいわれ泣いたこともありました。2年時には21試合ベンチに入り続けていたのに開幕から8試合は自分だけ出番が1秒もありませんでした。嬉しいことより苦しいことのほうが多かった気がします。
それでも、その一瞬一瞬が、私にとってはどんなことをしている時よりも幸せで、かけがえのないものであって、こんなに熱くなれる日々はこの先2度とこないだろうとまで思わせてくれました。自分の好きなことで頭を悩ませる日々も、試合に負け眠れない夜も、試合に勝ったときのあの高揚感も。
もう2度とやり直せないから、2度とこの瞬間は帰ってこないことを私たちは知っているからこそ、今更ながらにこの時間の尊さを感じています。
最後に1つわがままを言っていいのであれば、もっと試合に出たかった。やりたいポジションをやりたかった。主役になんて、ヒーローになんてなれなくていいから、もう少しみんなとサッカーをしていたかった。
それでも、それ以上に、どんな立場でも、勝利した時のみんなの表情、練習中に見せるあの鬼気迫るみんなの顔が大好きでした。
こんな風に思わせてくれる仲間と出会えて本当に幸せでした。
今後のア式蹴球部の躍進を今度は1人のサッカーファンとして、OBとして楽しみにしています。
さよなら、ア式蹴球部。
熱くさせてくれてありがとう。
またどこかのピッチで会えることを信じて。
◇平松柚佑（ひらまつゆう）◇
学年：4年
学部：社会科学部
前所属チーム：山梨学院高校
【過去の対談記事（早稲田スポーツ新聞会 企画・編集）はコチラ☟】