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【#Real Voice 2023】 「楽しさを積み上げて。」 4年・福井寿俊

あと2試合。


多くてもあと3試合。


長く積み上げてきた18年間がもう終わる。


と言っても、
ただ1つのスポーツが終わるだけ。
そう捉えれば単純な事かもしれないが、
今後ここまで情熱を捧げられるものとは出会えないかもしれない。
そんな熱いスポーツを長くやってきて、
終わりを迎えようとする今だから分かる。

それは決して無駄ではなく、
非常に有意義で成長を実感できた時間であったと。




「サッカーをしていて楽しいときはどんなとき?」


高校時のサッカー部のトレーナーの方に聞かれた。
唐突だったその質問に驚きはしたものの
私は迷うことなく答えた。


自分の思い描くイメージ通りにうまくいったときです。


普通のサッカー選手なら
ゴールを決めたとき、とか
アシストをしたとき、とか
ビッグセーブをしたとき、とか
試合に勝ったとき、とか
そういうものなのかもしれない。

4歳からサッカーをしてきて
今までで点を決めたことはたくさんあるし、
アシストをしたこともたくさんある。

けれどそこにそこまで執着することはなかった。
なんならアシストの方がちょっと気持ちいいくらい。
昔から貪欲にゴールを狙う皆と自分は少し違った。
多分、
人よりもゴールを取りたい欲が少しなくて、
俺が点を取るみたいな欲があまりない。


きっとそれは
幼い頃から、たくさんのサッカーを見てきたから。

その中で、バルセロナの美しいパスサッカーに魅了され、
相手がボールに触ることなくゴールに入る瞬間。
どんな守備をしていても取れないパス回し。
相手を手玉にとるようなサッカー。
私はこのサッカーが大好きだったし、
このサッカーを見てサッカーにハマった。

だから私にとってのサッカーをしていて楽しい瞬間は、
相手が自分の思い描く通りに動いて、
味方が自分の思い描く通りに動いてくれて、
相手が手も足も出ない状態。
点が取れなくてもその瞬間があるだけで楽しかった。
逆に試合に勝ってもその瞬間がなかったら楽しくなかったし、
その瞬間がある上に、点が取れたら、試合に勝てたら、
嬉しさが少し増すくらいだった。

別に共感を求めているわけではないけれど、
サッカーをしていてこんな瞬間ほど楽しいものはなかったし、
18年間のサッカー人生でそれは常に変わらなかった。


しかし、
サッカーは90分。
長くて120分。
その短い中でそういう瞬間を味わえるのはたったの一瞬。
たったの数回。
1回もないかもしれない。

つまり、
自分の思い通りになんてそういかない。
結果はそう簡単には出ない。
今年の1年間で、大学の4年間で
思い通りにいった瞬間なんてものはそうそうない。
上手くいかなかったことばかり。

だからこそ、
内容に、その過程にこだわるべきだと思う。
結果を出すためのその過程に。
内容や過程にこだわった先に結果が勝手についてくると信じて。

要するに、
結果ばかりを追い求めてはいけない。
その瞬間を味わうためだけに重きを置いてはいけない。
結果なんてものはそう簡単には出ないから。


何も結果はどうだっていいと言っているわけではない。
ただ結果は必然的についてくるものということで、
結果を出すために何を積み上げるかが重要で、


うまくいかないからこそ
今日一日反省するし、
また明日も練習するし、
毎日やる。

うまくいっても結果を出し続けたいから
毎日やる。

そういう日々の積み重ね
そういう内容の積み重ねで
濃い日常になっていく。
その積み重ねで結果が自ずとついてくる。
だから細部にこだわって積み上げる。


サッカーだけじゃないけれど、
もちろん平等ではないけれど、
どこのカテゴリーにいても必ずチャンスはくるし、
だからそのチャンスがくるまで、
そのチャンスで力を発揮できるように、
力をしっかりと溜める。
どんなチャンスかは分からないけれど、
ここぞというときのために熱量を溜めて
思う存分力に変える。
少なくともこの4年間で私はそうしてきたし、
3つのカテゴリーを経験してきてそう感じている。

今やっていることに楽しさを持てているだろうか。
なんとなく毎日を過ごしてはいないだろうか。
選手だけではない。
マネージャーも、
学生トレーナーも、
学生コーチも、

何の為にサッカーに関わっていて、
何が楽しくてやっているか、ということを忘れてはいけない。
人それぞれでいいんだと思う。
でも必ずそこには理由があるはず。
自分を突き動かす原動力があるはず。
サッカーに関わりたくても関われない人がいる中で、
その一瞬の楽しさというものを大事に追い求めてこれからも1日1日を積み上げてほしい。




思えば、
積み上げって難しい。
長くずっと続けてきたことって何だろうって。
食事とか生きていくために必要なものを除いたら、
本当にないなって。
自主練がずっと続いてきたわけではないし、
筋トレがずっと続いてきたわけではない。
お風呂後のストレッチすらも続かなかった。

そんな中でも自分にとっては今までで長く積み上げてきたのがサッカーで、
その時間は長かったって思うし、楽しいと思うことは多々あったけど、時には辛いなって思うこともあって、色々な感情を持たせてくれたのがサッカーであって。

それでもこんなにも長い間、
22年間分の18年間も継続できたのは、
今までに出会った同期や先輩、後輩のおかげだし、
何よりも自分がスタメンって言えば自分以上に喜んで試合を見に来てくれて、ベンチって言っても応援してるねと言ってくれる両親のおかげ。


このサッカー人生で
日々の積み上げが重要で難しいことを学んだし、
1人では絶対にできないっていうことを学んだ。
常に周りには誰かがいて、
応援してくれる人がいてくれて、
初めて継続って成り立つものなんだなと強く実感した。



内容にこだわってきた18年間。
結果は思うようについてこなかったかもしれないが、
それでも内容に拘るからこそ見えた景色があった。


サッカーで積み上げられるのは後数週間。
支えてくれた人のためにも
あと少しの積み上げをしていきたい。

◇福井寿俊(ふくいかずとし)◇
学年:4年
学部:文化構想学部
前所属チーム:國學院大學久我山高校

【過去の対談記事(早稲田スポーツ新聞会 企画・編集)はコチラ☟】


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