【#Real Voice 2024】 「捧げる」 新4年・佐久間真寛
大きなスタジアムに入った大観衆を前にゴールを決めかっこいいゴールパフォーマンスをする。選手、サポーター、試合映像を見る全ての人が一つのボールの行方を追い、普段抑える感情を爆発させる。そんなサッカーというスポーツに4歳で出会った。以来、自分の世界はサッカーを中心に回っていた。そしていつか自分もこのサッカーで誰かを魅了したい、目立ちたいと純粋に思った。
そこから時が流れた今、プロサッカー選手になることを諦めている。アニメや映画でよく見る夢破れ挫折した瞬間などはなく、気づけばサッカー選手を目指している、なってやるという自分がいないことを知った。それは、自分よりうまい選手に出会い、その選手が自分より努力していることに気づき、そしてその選手よりうまい選手がいることを理解し、目をつむれなくなったこと、そいつらに勝るほどの努力を積まなかったこと、他にも多くの原因がある。
20年近く取り組み続けたことで夢をつかむことは諦めた。しかし、サッカーと出会い、指導者たちに渇を入れられながら、多くの仲間と切磋琢磨し成長した日々は決して無駄なものではなく、宝物のような経験だったといつか確信できるように社会人でも夢を見つけ戦い続けたいと思う。
この先、サッカーをするかもしれないが、これほど時間をかけ、本気でサッカーをするのは今年でラストになると思う。夢を諦めた自分なりのけじめのつけ方をしたい。
だからこそ今年は自分のすべてを「捧げる」
この言葉に尽きる。
サッカーが常に道を示してくれた。
サッカーが家族と呼べるほどの友人や仲間とめぐり合わせてくれた。
サッカーが、言葉では表せないほどの、喜怒哀楽すべての感情を引きだし、試練を与え大人にしてくれた。
サッカーに捧げる。
今まで出会った友人、チームメイト、指導者、そして家族に捧げる。
一日一日大切に思い切りやり切ることで感謝を示したい。
ここで一度昨シーズンを振り返っておきたい。
昨シーズンの記憶はほとんどベンチからの景色である。公式戦に出たのは途中出場も含めて4試合
1試合目は、緊張から全く試合に入れず、ピッチ上の鬼 本保(新4年・本保奏希)が「大丈夫、困ったら俺に預ければいい」と言ってくれた次のプレーで5m先の本保へパス。そのパスは無情にも本保の頭上を越え、案の定45分で交代を余儀なくされた韓国での試合。
2試合目は、アミノバイタル杯で全国出場が決定し、ターンオーバーのメンバーで臨んだ流経戦。ここは少し長めに触れさせてもらう。久しぶりの公式戦に胸が高鳴る中アップをこなし、兵藤さん(兵藤慎剛監督)の魔法の言葉で、気持ちを最高潮に高ぶらせピッチに入る。応援メンバーに挨拶をし、ほんの少しの間ボールを触り円陣。挨拶から円陣までの間ひとりひとりのコールがある。「佐久間!佐久間!」自分のコールが来た。自分のコールが来たときはすごく嬉しくにやけそうになるが試合前なので集中した顔つきで一礼をかましたいところ。そこで予想外なことが起きた。谷口(新4年・谷口航大)・山市(新4年・山市秀翔)を筆頭にした応援団からのブーイング。まるで禁断の移籍を犯したかのようなきれいなブーイングだった。そのせいで、試合前とは思えないほど笑顔な瞬間を時田さん(プレス)カメラに収められてしまった。(非常にオイシイですが、試合前はやめてください)試合自体は石井(新4年・石井玲於奈)のスーパースライディングや、私のスーパーコンバージョンキックもむなしく敗戦。
そして、記録には数えられないシュートを放った総理杯の一試合と、交代出場2分で1キープ&イエローカードという記録に小さな爪痕を残した関東一試合、これくらいである。
関東、アミノ、総理杯ほとんどの試合をベンチに入っても、出場は上記の通り。試合をピッチの中で戦う仲間を前に無力さを痛感させられ続けた。せめてもの思いでベンチからピッチへ様々な声をかける。そして、試合に負けた時は悔しがり、勝ったときは本気で喜ぶ。まるで試合に出ているかのように。こんな姿を本気でプロになりたいと考えていた中学生・高校生の時の自分が見たら「情けない」と絶対言う。
しかし、試合に出られないからと言って、愚痴をこぼしていい理由にならない、練習で手を抜いていい理由にならない、不貞腐れた態度でベンチに座っていいわけじゃない。試合に出るチャンスが来るまで、じっくりとやるべきことをする。試合に出られなくても、やるべきことをする。
20年と少しの人生で、常識だと思ってきたことを様々な場面で打ち破かれ新しい価値観にアップデートされ続けてきたし、これからもその連続だと思う。でもこれだけは変わらない。どんなに苦しい状況であっても自分しかできないこと、やらなければならないことは絶対にあるしそれは自分が一番わかっている。それに目を背けず、実行することで後悔しない密度の高い日々を送れること。
そして今、自分がやらなければならないことは「捧げる」こと。
最高のチームメイトと本物の日本一になりたい。
感情が入り込みすぎて整理できませんでしたが、読んでくださりありがとうございました。
次回のブログはこの方。
切り立った山脈のような僧帽筋、女子もうらやむような大胸筋、メディシンボール並みの上腕二頭筋、いまにも飛べそうなくらいの広背筋、大木のような大腿四頭筋、すべてを手にした、世界の「川辺球尊」(大宮アルディージャ U-18)です。
筋肉を愛し筋肉に愛された男がReal Voiceで何を語るのか。期待しましょう。
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