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【#Real Voice 2024】 「今日を最高傑作に」 新4年・木庭正太郎

2024年、1番心に響いた言葉。

WAP(早稲田大学アスリートプログラム)の講演で「ペップトーク」の話をしに来てくださった岩﨑由純さんが言った言葉。

大隈講堂の後ろのドアから走って登場して、「どうやって勇気を与える感動のスピーチができるか」を教えるために、コミカルなテンポで話す元気なおじさんが早口で言った言葉。


その言葉を聞いて何故かジーンときた。

講演の途中なのに上を向いてふと考える、「俺、今日なにしたっけ?」

その言葉が出てから先の岩﨑さんの話はあんまり覚えていない、それくらいインパクトがあった。多分それを伝えにきてくれたわけではないんだけど…。


一昨年10月、「毎日死ぬ気でサッカーに取り組んで結果を出す」と部員ブログに書いた。

気づいたら最終学年。もうラストイヤーが始動して3週間だ。

あのブログを書いた日から毎日頑張っている。サッカーも勉強も、副務/主務の仕事も、就活も。

確かに頑張っているんだけど、それって俺の中の基準での「頑張っている」じゃない?人より貪欲で無我夢中に取り組み、充実した「最高の1年だったか」と言われると、振り返ってみてそうでもない。基準が低かった。だからジーンときた。


◯過去を振り返って

・なぜサッカーをしているのか。

4歳ではじめたサッカー。他のことは何も続いていないのに唯一続けていることだ。

みんながそうであるように上手く強くなるために今まで練習してきたし、両親には金銭面でも、精神的にも肉体的にも、時間的にも負担を多くかけてきてしまった。

そんなサッカーも最後の1年と思うと呆気ないが、何かに本気になれる人生最後のチャンスだと思う。初めは自分が楽しいからやっていた。だが私以上に両親が私の試合を楽しみにしていることを知って、いつの間にか2人を喜ばせたいと思った。

もちろんプロになって恩返ししたかった。それは叶わない、でも最後にもう一度2人の喜ぶ顔が見たい


・3回の脳震盪

1回目は東伏見の練習中に接触プレーで、2回目は鹿島遠征で相手につっこまれて救急車、3回目はシュートが顎に当たってやられ…。

この辺から頭が弱ってきた。元来そんなにピシッとしているわけではないのに以前にも増して集中力が続かず、人の話もなかなか覚えられない。自分が何をしようとしたのかすら忘れ、同じことを何回も言う。

公平くん(R7卒・北村公平)から主務部屋を訪れるたびに「ぴよぴよ」とひよこのように扱われても、「確かになあ」と納得してしまうほど。全く情けない。

でも、ピシッとしていてもぼーっとしていても同じように毎日がやってきて過ぎていく。絶対に1日を無駄にしないように、決して諦めないように、気持ちだけは強く持っていたい。


・最終学年になって

新年からバタバタしていてなかなか頭も心も整理できていない。

100周年祝賀会、海外遠征、国内遠征、早関/高麗定期戦、夏合宿、早慶戦…

ただ、どれもが最後だ。今年がサッカー人生のラストイヤー。

ここまで本気になれることを見つけられたこと、本気になれる組織に入れたこと、本気にさせてくれる仲間に出会えたこと、全てに感謝して全てを成功させたい。

さらには自己満足ではなく、やっぱり多くの人に「早稲田大学ア式蹴球部の価値」を知ってもらい、次の100年に繋げたい。

「早稲田はさすがだ」、「早稲田に入りたい」…そう思われる存在であり続けるために。偉大な先輩におんぶに抱っこではなく、自分たちも何か1つでも101年の歴史に刻みたい。


◯今年の目標

ここまで3個の願望を書いた。

書くのは簡単、言うのは簡単。それにサッカーをやっている時は確かに必死だ。ただ冷静に振り返ってみて、「あの日これやっとけばよかったな」「あれなんでやってしまったんだろう」と感じる日が多い。

結局、与えられた1日24時間をどう使うか。

17年続けたサッカーと離れるまであと数ヶ月。いかに日常にこだわって、充実した1日にして「今日は自分史上最高傑作だった」と年に何回思えるか、その基準をいかに高くできるか。

私の今年の目標だ。


◯「覚悟」と「責任」

暑くても寒くても練習70分前に集合して、練習の準備をしてくれる人。

遠い実家から東伏見まで毎日2時間近くかけて通っている人。

全然試合に出られずもがいている人。

大怪我をして長期離脱してキツそうにリハビリをする人。

いろいろな思いを持ってチームの運営を支えてくれる人。

学年が抱える問題をどうすれば解決できるか考え続けている人。

櫓で集まって熱い意見交換をしてチームをより良くしようとしている人。

夜遅くに静かにみんなのために仕事をしてくれる人。

その裏には彼らの保護者の方がいて一人一人を支えていて、みんなが彼らを応援している。

それにOBOGや関係企業の皆様、ア式に関わる人の全員が、私たちが見えないところでこの組織を想って懸命に取り組んでくださっている。


就活で人事の方とお話ししたり、OBや支えてくださるたくさんの人と会ってお話ししたりして、早稲田大学ア式蹴球部という組織の「偉大さ」を実感してゾッとした。

俺ってこの組織の主務…?

もちろん生半可な気持ちで引き受けたわけでもないし、この重圧も覚悟していた。

でも改めて考えると到底そんな器じゃない。

人の心がないとよく言われ、言いたいことを言ってしまって周りに気を遣わせてしまう。おまけに頭の回転も遅くなっている。悪いところを言えばキリがない。

ただ、やっぱり覚悟だけは見せたい。かっこよくなくていい。うまくいかなくてもいい。

ア式に入った意味、主務になった意味、ましてやサッカーをしている意味すらも考えて、行先は見失わずに戦いたい。

でも、


「木庭くん、まだ覚悟が足りないよ」


先輩からそう言われている気がしてならない。

公平くんからの「どんなに苦しくてもそんなにうまくいかなくても全力で組織と人に向き合え」という言葉。

そりゃ怖いよ。やっぱり未熟。

1人の部員として、4年として、主務として、覚悟が足りない。

早稲田大学ア式蹴球部を支えるすべての人のために。

「覚悟」と「責任」を持って逃げずに、もがき続ける1年に。


あとは結果。100周年祝賀会で田嶋幸三日本サッカー協会名誉会長や岡田武史元日本代表監督、西野朗元日本代表監督をはじめ多くの方から2部にいる現状に厳しいお言葉をいただいた。その時に隣に座っていた山市(新4年・山市秀翔)がぼそっと言った。


「絶対に(1部に)上がるぞ、上がらなきゃ。」


俺はその言葉を忘れない。全員で「覚悟」を見せなければいけないと思ったと同時に、これが自分の腹が決まった瞬間だった。


◯みんなに

私は後輩たちに何を繋げるか。

主務、副務の仕事?

ゴールキーパーの技術?

いや、もっと深くて大きいものを残したいし残さないといけない。

正解がなくて一言では言い表せられない、ひしひしと心で感じる何かをみんなにはバトンとして繋ぎたい。


試合で活躍する11人だけではなく、ここにいるみんなが作り上げる組織の一員として、4年として、主務として、今こうやって立っていられることに感謝しています。

いつもありがとう。


最後の1年、誰よりも組織に向き合って、全員で一番良い景色を見る。

「この1年を最高傑作に」。


◯最後に

日頃よりOBOG、関係企業、ア式蹴球部に関わる皆様にご支援いただきまして誠にありがとうございます。1/18の100周年祝賀会で改めてア式蹴球部の偉大さを実感し、やはりア式はこのままではいけないと強く感じました。

感謝の気持ちと強い覚悟を持ってラストイヤーを戦い抜き、ア式に関わる人全員が笑顔になれるような結果を出したい、その一心で戦います。

今後ともよろしくお願いいたします。



明日のブログはア式の心臓、谷村峻(FC東京 U-18)です。
やっぱりまだまだガキっぽさは抜けず、3年経っても森田(新4年・森田大智)といい勝負をしています。でもピッチ内での存在感と冷静さはピカイチ。
そんな彼の強い覚悟溢れるブログ、皆さんぜひ読んでください。




◇木庭正太郎(こばしょうたろう)◇
学年:新4年
学部:商学部
前所属チーム:早稲田実業学校高等部

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