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【#Real Voice 2022】 「404 Not Found」 1年・伊藤未羽

10月1日早朝、まだ空席のある車内。

ア式蹴球部に来て約半年、夜明け前に起きて、電車で夜明けを迎える週末にもそろそろ慣れた。

夜明けと共に活動するのは、季節を感じられるから嫌いじゃない。

毎日この生活だったらさすがに参ってしまうだろうけど。


なぜこのタイミングで部員ブログを書いているのか。


実は、8割ほど書き終えていた下書きのデータが消えてしまった。

それに気づいたのが昨日の午前、授業のない2限の空きコマでPCを開いた時。

確かに保存した記憶があるのにどこにもファイルが見当たらない焦りと衝撃はかなりのものだった。


昨日は落ち込んだけれどものは捉えよう。

今文章を書いているのは、消えてしまった下書きを書いた自分よりも新しい自分である。

たった数日の違いかもしれないけれど、間違いなく前回と全く同じ文章は書けない。

それに、綺麗な言葉を探しだして並べる時間も、見栄えのいい構成を練る余裕も、もうない。

だからこそ、本当にありのままの考えや思いを、ありのままに綴れたら、そう思っています。




「部員ブログに何を書いたらいいかわからない」

この数週間、同期や先輩に何度か話してきたこの言葉、正確には

「部員ブログに何を書くのも怖い」

これが本音だ。



約1年前、私の人生を変えた彩花さん(4年・菊地彩花)のブログ。

高校でもサッカー部でマネージャーをしていた私には「スポーツに関わりたい」という漠然とした目標以外に何も見えていなくて、

「それが叶うなら別に勉強に数か月費やしてまで大学目指さなくてもいいかも。」

高校がそれなりの進学校だったこともあり、そんな私に周りの大人たちが焦りだしていた頃。

ソファの上でテレビを見ながらスマホを触るなんて受験生らしからぬ怠惰な時間を過ごしていた夜、見つけてしまった。

どうやって見つけたのか、は覚えていない。

どこにそこまで惹かれたのか、これを語るのは野暮な気がするので、ぜひ1度読んでみてください。

彩花さんの文章も、そこから想像できる彩花さんの姿も、あまりにまぶしくて、

「この人に会ってみたい」

明確にそう思った。

その次の日には、

「やっぱり早稲田目指します」

そう担任の先生に伝えた。

ブログの衝撃を熱く語った私を見て先生が言った、

「高校生にそんなこと思わせる大学生ってすごいなあ」

という言葉は、何故か今でも印象に残っている。


そんな「すごい」人だらけのこの場所。

彩花さんだけじゃない。

選手も学生スタッフも、先輩も同期も。

あまりにみんながまぶしすぎる。

そのまぶしさに目が眩んで、立っていられなくなりそうになる時、決まって考える。


「そもそもなんでサッカー部のマネージャーやってるんだっけ」


今度は約3年半前、高校に入学した私がサッカー部を選んだ理由。

もともとスポーツをみるのが好きだったし、入学式の日に最初に目にした勧誘で、なんとなくいいなって思ったから。

これはまだ聞こえがいいかもしれない。

その根底にあったこと。


「中学時代に頑張っていたものから逃げたから」


中学時代、吹奏楽をやっていた。

3年間レベルの高い環境にいることで実感した「私の将来に音楽はないな」という少しの失望感と後悔。

今思えばもっと頑張れることがあったはずなのに、これ以上自分に失望するのが怖くて、挑むこともなく自分はここまでと線を引いた。

当時の私は勉強に逃げた。

「偏差値がそこそこ高くて、吹奏楽のレベルは関東あるいは全国」の高校よりも「部活動に特別力を入れていないけれど、偏差値は高い」高校を選んだ。

「高校で吹奏楽を続ける」という選択肢を半ば強制的に排除したのだ。

結果として、その高校を選んだことに全く後悔はないけれど、高校でたくさんのステージに立っている仲間や、プロを目指している仲間を見ると、やはりまぶしくて目が眩む。


では、今の私が「サッカー部のマネージャー」であるのは逃げた結果であるのか。


そうではない。と言いたい。


確かに、きっかけは取るに足らないものであった。

それでも、かけがえのないものになった。

今まで「みる」という部分しか知らなかったスポーツに、少しだけ距離が近くなった気がして、もっと近づきたいと思った。

スポーツがこれまで以上に好きになった。

そしていつしか意識し始めた「スポーツに関わりたい」という目標。

具体的に何がしたいのか、何を学ぶべきなのか、数か月以上考えて、調べたけれど行き詰まって、親とも何度もぶつかって、そんな時に彩花さんのブログに出会えた私は幸運だったと思う。


そんな確かな憧れを抱いてここに来て半年、自分にできたことってなんだろう。


今年のア式のマネージャーは全員で12人。

その中で今の私の価値だったり貢献度だったりって、12分の1どころか12分の0.001くらいだと思う。

残りの12分の99.999を占める、先輩たちや同期の献身性、アイデア、創造力、寛大さ、気遣い、コミュニケーション能力、その他諸々。

毎日毎秒圧倒される。

そして何もできていない自分に焦って、息苦しくなる。


これが、私が「部員ブログに何を書くのも怖い」理由。


自分に向き合うことで無力感に苛まれるのが怖かった。

ここまでいろいろと書いてきたけれど、本質はシンプル。

要は、自分の弱さ。


こんなことを言いながら、気づけば2000字を超えていました。

2000字分自分に向き合った結果の今の心情。

ここまで、ネガティブも弱さも見せた文章だったかなと自分では思っているので、そろそろポジティブに。

もう少しだけお付き合いください。



『“自分のため”は苦しくても、“誰かのため”なら頑張れる』


これは、中学時代の顧問の先生が口癖のように言っていた言葉。

当時よりも、マネージャーになってからの方がよく理解できる。

今の私が『ア式のために』なんて烏滸がましいような気がしてしまうけれど、あえて言わせていただくとしたら、


私にとっての“誰か”がア式蹴球部であることが、私にとっての最大の幸運であり幸福です。


落ち込むこと、向き合わなければならないこと、心が折れそうになること、その他多くの困難がこの先きっとたくさんある。

それでも、今ここにいられる私は本当に幸せ者だと思うから。

目一杯苦しみぬいて、ひとつずつ乗り越えて、今の自分の弱さでさえも、未来の自分の強みにできたら。


たった今気がついたこと。

「周りはみんなまぶしくて、自分は無力だ」なんて言うけれど、そもそもそんな環境を望んで選んだのは自分だ。

何を落ち込んでいる時間があるのか。


憧れのア式蹴球部の一員でいられること。

自分を奮い立たせてくれる人たちに囲まれていること。


この幸運と幸福をこの先どうしようか。


答えは自分自身でしか決められない。


『だって夢見るだけはタダと言うけど

今日の答えがどう出るかは自分次第さ』



かなり自由に、勢いに任せて書いてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

またこのような機会があれば、今度はもう少し落ち着いて、余裕を持って自分に向き合えたらと思います。

伊藤未羽
学年:1年
学部:文化構想学部
出身校:千葉県立東葛飾高校

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