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#12【考察】「知識×プレゼン」領域が講師業の受注拡大の近道

みなさん、こんにちは。
中小企業診断士の岩瀬敦智(いわせあつとも)です。

このコラムのテーマは「経験がない診断士が、企業研修講師としてキャリアアップして、安定して稼ぐためのヒント集」です。

「体系的な知識」×「プレゼンテーション」領域とは

以前の記事で、「診断士1次試験の知識」×「プレゼンテーション」の掛け合わせによる相乗効果が案件受注につながったことを報告しました。その際に、研修講師のタイプを分類するためのポジショニングマップを紹介しました。

講師タイプ別ポジショニング軸

その中で、以下に該当する方は、「体系的な知識」×「プレゼンテーション」領域を狙うことが受注拡大につながることを説明しました。

  • 企業研修講師として経験が浅い

  • 話すことが得意ではない

  • 実務で代名詞となる実績を有していない

詳しくは、こちらをご覧ください!

なぜ「体系的な知識」×「プレゼンテーション」領域がおすすめなのか

ではなぜ、「知識×プレゼン」領域がおすすめなのでしょうか。それはズバリ、経験が浅く、話すのが元来得意でなく、かつ実務で代名詞となる実績がない講師にとって、受注拡大の近道だからです。

でもなぜ、それが近道なのか、すぐには繋がらない方もいらっしゃるかもしれません。その理由について、3つ説明したいと思います。

1.凄腕ライバルが少ない

研修講師陣は、もともと実務で凄い実績を持っている(個人の経験)人が多い印象です。研修会場でお会いする講師の方は、だいたい、、、大手メーカーのトップ営業だった、大手チェーン店で販売実績ナンバー1を獲得した、大手企業の役員を務めていた、という感じです。そのような人たちは、実績があるためにそこから得た知識を伝えます。つまり知識を分かりやすく説明する必然性がないのです。

また、自分の経験(特に苦労話など)を伝えるからこそ感情に訴えられるため、わざわざプレゼンテーションを突き詰めずとも素晴らしい研修ができてしまいます。このように凄腕の講師たちは「経験知×エモーション」領域でしのぎを削っているため、結果的に「知識×プレゼン」領域にフォーカスした研修講師は多くない印象があります。

2.一定の需要が存在する

自らがバイネームで通用する自らのコンテンツが確立されている場合は、個人の経験知で戦えますし、その方が単価も高いと思います。例えば、私が現在一緒にある大手企業にコンサルティングに入っている同僚のコンサルタントは、全国チェーンの食品スーパーのネットスーパーを立ち上げたという分かりやすい実績があるため、小売DX系の講演に引く手数多です。

しかし、企業研修においてそのような専門的な知見や経験を聞きたいというニーズは一定存在するでしょうが、どちらかというと多くの企業の人事担当者は、基本を教えてもらいたい、基礎知識を理解させてほしいというニーズをもっています。つまり体系的な知識を分かりやすく伝えることができることは、そのような多くのニーズに応えることに繋がります。

いくらブルーオーシャンでも需要がなければ飯の種にはなりませんが、実は需要が存在しているゾーンなのです。実際に、ある研修会社には百戦錬磨のトップ講師が多数在籍していますが、マーケティングや財務、経営戦略の領域については、私や私が紹介した後輩や教え子の診断士の方が受注していることが多くなっています。

3.プレゼン技術は高められる

また、診断士ならばでも参入可能な領域であることも特徴です。例えば、個人の経験は、圧倒的な実績がないと押さえられませんし、エモーションで訴えることももちろんテクニカルな側面はあるにせよ、なかなかトレーニングは難しい。1度は成功しても、2度目は上滑りしてしまう、といったことが発生します。

一方で、体系的な知識については中小企業診断士の学習をしている人は皆さんお持ちです(もちろん、ブラッシュアップは必要です)。プレゼンテーションは技術体系が明確なため、努力次第で上達することが可能です。

研修講師は非常にシビアで、一度、悪いアンケート結果をとるとその後、お声がかからないことが当たり前です。元来、エモーショナルに伝えることが得意な方は大きな武器ですので、それを活かしていただきたいと思います。

ただ、そうではない方が勢いだけで感情に訴えかけて受講者にハマらなかった場合が危険なようです。相手が引いていくのが分かるので、更に熱く語りかけるものの、そうすればそうするほど受講者が引いていく。そして最後に「高圧的だった」「自分の意見を押し付けてきた」など、酷評されたという例は少なからず耳に入ります。

一方で、修練を積んだプレゼン技術があればその状態でも、分かりやすく説明することでネガティブな評価が多数になるという最悪の状況は避けられます。エモーショナルな訴えが上手な人のインパクトには勝てないかもしれませんが、常に安定した評価を得ることが可能になるのです。

なぜ、誰でも参入できるのにそこに取り組む診断士が少ないのか

さて、ここまでの論点を整理しておきます。

「知識×プレゼン」領域がおすすめな理由

ここで、「属性を選ばないで誰でも参入しやすいので、診断士はみなその領域を狙うのではないか?」と思われた人もいるかもしれません。実は、答えは「NO」、私の感覚ではその領域で講師業をしている診断士は少ないという印象です。

診断士合格者は体系的な知識を持っています。かつ、プレゼンテーション技術を上達させることは誰でも可能です。ただ、プレゼンテーション技術を高めることにモチベーションを持っている講師が少ないように感じます。

その理由として、プレゼンテーションの練習によって上達するレベル幅がそこまで大きいと考えていない人が多いからなのではないかと、勝手ながら推察しています。

ところが、プレゼンテーションというのは練習次第で大きく上達させることが可能なのです。大きくレベルを高めた実例とプレゼンテーションの上達方法や継続方法については、香川講師のこちらの記事が大変おすすめです。

この記事にもあるように、プレゼンテーション技術の上達のためには、診断士合格者でかつ適切にプレゼンスキルを教えてもらえる場やメンターに出会うことができるかが重要です。

この部分だけは告知ですが、に経営教育総合研究所では診断士合格者向けに「プレゼンテーション実践会」を開催します。ご関心をお持ちいただければ、ホームページを見てみてください!(私も副会長を務めます)

ちなみに時間単価でいうと、おそらく「個人の経験知」領域で勝負したほうが高くなりやすいと思います。

早稲田出版のグループ会社である経営教育総合研究所の取締役の竹永講師は、「竹永式」でコンサルや研修を行っており、私よりはるかに高単価です。

診断士や企業研修講師として経験が浅くても、「これだ」という実績を持っている人は、もちろん、最初からその領域で勝負することをお勧めします!

一方で自分はそれほど実績や経験を持っているわけではないという人は、企業研修講師としてのキャリア形成において、まずは「知識×プレゼン」の領域を押さえることで登壇の機会を得ることが得策です。そしてその後に、経験を積む中で「これ」という実績をつくり、「個人の経験知」領域へと踏み込むことも可能になるのです。

いかがでしたでしょうか。この記事自体が、岩瀬の経験知に基づくものじゃないか!というツッコミがありそうですが(笑)、少しでもキャリア形成のヒントにしていただけますと幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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