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世界を相手にするマーケティングとは~10年マイクロソフトで働いた知恵と経験をインタビュー!~

はじめに

こんにちは!早稲田大学マーケティング研究会(通称:まーけん)です!

昨年12月のIDEACTIVE WORKSHOPで、ゲストとして講演してくださっていたリンクトイン・ジャパン株式会社石坂誠様にインタビューさせていただきました!
 
2本目の今回は、「グローバルマーケティング」をテーマに
 
マイクロソフトに16年間以上務めていた石坂さんに、学生に向けてお話していただきました!
 
ぜひ最後までご覧ください!

石坂誠さん
株式会社 リンクトイン・ジャパン
パートナービジネス統括&ストラテジスト
 
2002年早稲田大学法学部卒業。新卒でNECにて化学業界向け法人営業を担当。米国ユタ州にあるBYUにてMBAを取得。その後、日本Microsoftにてプロダクトマネジャーとプラットフォーム戦略を担当。2013年よりMicrosoft本社にてオープンソースならびにクラウドビジネスの企画、営業戦略を経て、2021年9月から、日本Microsoftにて、IoTマーケティング、5G/宇宙ビジネスにおける、新規ビジネス開発とマーケティング戦略を担当。2023年10月より、リンクトイン・ジャパンにて、パートナービジネスおよび戦略プロジェクトを担当。
 
(LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/makoto1118/
(プロフィールより引用)


雲の上の存在に挑戦

~圧倒的すぎる世界企業~

ーー石坂さんはマイクロソフトで16年以上働かれていましたが、初めに入社したきっかけは何だったのでしょうか?
 
一番最初のきっかけは、私がアメリカに留学していたビジネススクールMBAの夏休みです。MBAに、アメリカ版OBOG訪問ツアーのような企画がありまして、ナイキ、アマゾン、インテルなど名立たる企業を巡りました。
 
そこでマイクロソフト本社にも行く機会があって、それはもう圧倒されました。本社敷地の規模はもちろん、働く人もすごかったです。
 
それからMBAを取得した後、ボストンキャリアフォーラムに行って、日本マイクロソフトのMBA応募枠があったので、応募した次第です。
 
 
ーーなるほど。では、マイクロソフト入社にも、MBAが大きく関わっていたんですね。
 
その通りです。私に関しては、MBAを取ることが大前提でした。ですが、OBOGツアーに行ってみて、マイクロソフト本社なんて雲の上の存在だと思っていました。しかしすごく気になる会社ではあったので、支社の日本マイクロソフトならもしかしたらいけるかも!?と思い、記念受験的な感じで志望しましたね。結果的に、日本マイクロソフトに入って、数年後に本社に行くに至りましたが、その時は本社に自分が行くなんて全く想像していませんでした。
 


海外留学やMBAに関する石坂さんのインタビュー記事はコチラ!

~日本マイクロソフトのエース!プロダクトマネージャーとは?~

ーー日本マイクロソフトで務めていたプロダクトマネージャー(PM)は、具体的にどのようなことを行っていたんですか?
 
一言で言えば、全部やります!担当する製品のマーケティング担当でもありますが、何よりもビジネスオーナーとして、営業チームと一緒に働くだけでなく、ファイナンス、法務、市場調査、パートナーチャネル、サポート、広報などとも連携します。マーケティング部署なので、もちろんマーケティングに関する業務すべてを担当しました
 
日本マイクロソフトでは、当初プロダクトマネージャーがリーダー的な立ち位置でした。つまり、プロダクト全ての責任を背負っています。売り上げがうまく伸びなかったら、PMが、4Pで言われるような市場状況から売上状況、競合関係からチャネル状況、ライセンスや価格、ブランド認知度まで、全部を日本の社長や本社に説明しないといけませんでした。
 
ーー一流のマーケターでも、4Pのようなフレームワークを使うんですね。
 
非常によく使います。むしろ、使っているのは当たり前で、使うことの次のステップにいます。例えば、4Pという ベースから、更にどう発展させていくのかを考えていますね。


ゼロからイチを創り出す!マイクロソフト本社時代のお仕事を取材!

~常識が通じない!?ゼロから始めるハードル~

ーーマイクロソフトで新規ビジネス担当として働いていて、通常のマーケティング業務とどんなところが違いましたか?
 
歴史ある製品担当を3年ほど経験してから、これから新しいビジネスを創る、オープンソースソフトウェアとクラウドのビジネス立ち上げました。ビジネス開発をする担当に代わり、今までと仕事で使う能力が求められるようになりました。

既存製品のプロダクトマネージャーのときは7,8割ぐらいは既に決められたこと、過去に行っていたことを若干修正するようなことが多い仕事でした。つまり、ビジネスモデルが出来上がっていました。過去の人がやっていたことをどう工夫するか考えることがメインだったので、100を120にするというマーケティングでした。
 
それが、新規ビジネス立ち上げを国内で数年行い、そして本社ではゼロからイチを作り出す仕事に変わりました。これまでやってきたことが、全く通用しなかったです... 上司に徹底的にコーチしていただいて、「社内にいるな」と言われました。社内にいると、同じデータや価値観をもつ仲間からしか考えを得られないから、外に出て新たな視野やアイデアを学べ、ということでした。その指導で、一皮むけた感じがします。

マイクロソフト本社で働いていた石坂さんへのインタビュー動画

ーーつまり、完全に知的労働をされていたんですね。
 
そうですね、会社の戦略、方向性を創る側の仕事をやっていました。特に本社では、自分が実行、手を動かすのではなく、世界中の支社チームの方針やガイダンスを決めて、予算を上部からとってきて、世界中の支社にいるチームメンバーにKPIと一緒に配分すること、想定通りにビジネスが推進していくのをトラックし、サポートし、そして戦略やKPI、リソース配分を変更、進化させていくことが仕事でした。
 
140カ国以上の世界中の情報を収集、分析し、次のプランにアップデートしていくという仕事でした。本社に行ってからは日本支社にいたときのような、お客さんやパートナーと会うという時間は減りました。ですが、ときには情報を得るために、直接会ったりして、リアルな情報を入手し、次のプランや、施策に活かすようにしました。そのために数十回と世界中の国に出張で行きました。

今まで日本とアメリカしか知らなかった私にとって、現地を訪問し、リアルにお客様やパートナーとお話をして、直接彼らから学ぶこと、そこから得る刺激は最高の経験でした!


我こそグローバルマーケティングをやりたい!という人に!

~厳しい社会の現実~

ーーマイクロソフト本社で働いてみて、グローバルマーケティングについて、どのような気づきがありましたか?
 
取捨選択の大切さに気づかされましたね。マイクロソフト本社のVP(Vice President)が直属の上司だったので、いろいろなアイデアを出したことがありますが、「インパクトがあるもの3つに絞ってくれ」と言われましたね。そのとき、全部をやろうとするな!という教訓を初めて実感しました。
 
日本にいたときは、100点を取ることに着目しがちでしたけど、それではいけないと気づきましたね。実行することによって、本当にリターンを得られるものに絞ることを心得て、やらないことを決断するということを徹底するようになりました。

本当に重要でインパクトがあること、それさえしていれば80点はとれるだろうということを3つに絞り、それを確実に達成することに集中することを学びました。たしかに、やろうと思えば、アイデアはいくらでも出てくるわけですが、時間や予算、人員などあらゆるリソースには限りがあるので、この考え方は本当に重要です。
 
ーープラットフォーム戦略を世界規模でやるにあたって、どのようなことを学ばなければいけなかったですか?
 
座学で学ぶことよりも、実際の業務が優先だったと感じています!確かに、マイクロソフトはトレーニングの仕組みがちゃんとしていて、世界トップレベルの大学で1週間マーケの戦略を学ぶことも選択できました。

ただ、そこのケーススタディで学ぶことは古いものが多く、マイクロソフトが取り組む最新のテーマの答えがどこにもないわけです。最先端の情報、市場情報、時にはシリコンバレーのスタートアップが持っているアイデアやソリューションを取り入れて仕事をするので、そちらでの学びの方が多いと感じました。

~Win-Winの大切さ~

ーーグローバルマーケティングで成功して、印象に残っていることはありますか?
 
いくつかありますが、ゼロからデータドリブンのツール(お客様の企業なインサイトを可視化するツール)をシリコンバレーのベンチャー企業と一緒に作ったことですかね。

当時、どこのお客さんがどんなクラウドサービス、オープンソースソフトウェア、開発ツールや言語を使っているのか、などのデータがマイクロソフト社内になかったです。しかし、マイクロソフトの現場営業チームが効率的に営業活動をする上で、どのお客様が、どんなテクノロジーを導入、検討、使っているのかという情報が非常に重要でした。そこで、世界中のありうるソリューションを調査し、確認し、シリコンバレーのベンチャー企業に持ち掛けて、ツールを共同で製作しました。
 
ーーそれはすごいですね。逆に、どのような失敗談がおありですか?
 
まず、成功したものが形となって多く出ている裏には、山ほどの失敗があります。その中で挙げるなら、オープンソースを使っている広告代理店お客様とのプロジェクトが印象的ですね。広告代理店は、キャンペーンウェブサイトなどを立てるときに必ずサーバーが必要なので、マイクロソフトのパートナーとして、協力し合おうとしました。
 
広告代理店の中でもデジタルを扱う部署は、マイクロソフトの提供するクラウド、Azureなどを販売するチームとのコネクションが弱かったので、マイクロソフト内の広告ビジネス部門を経由して、一緒にチームを作ろうとしました。ですが、全然うまくいかなかったですね。
 
ーーお互いにメリットがありそうな提案に見えますが、何が失敗につながったのでしょうか?
 
まず、現場が動かなかったことです。クラウドを販売するプリセールス営業と、マーケティングを扱うチームが一緒に話をしても、扱う用語、プロジェクトの進め方、ビジネスゴールと評価制度があまりにも異なるので、お互いに話を分かり合えなかったんですよ。
 
一番大きなチャレンジだったことは、Azureが広告代理店に売れても、マイクロソフトの広告ビジネスチームの成績にならないので、広告チームが動くメリットがなかったのがよくなかったですね。それらが非常に大きな原因だったと思います。
 
ーーなるほど。つまり、チーム内部において、お互いの関係がWin-Winではなかったのですね。
 
そうです。人を動かすには、2つ大事な点があることを学びましたね。
 
1つ目が、知識のレベルです。お互いの部門がお互いに関する理解を深めなければいけないと感じました。知識のレベルのギャップを埋めないといけませんね
 
2つ目が、インセンティブです。これを売ったら、どう自分のボーナスに響くのか、という仕組み作りです。これを行うには、トップが結果や報酬をしっかりと考えたうえで、チームの全員に落とし込まないといけないですね。今回の出来事に関しては、現場レベルでの行動しか考えられていなかったことがミスの一つだったと思います。

~目立ちたがり屋の人へ~

ーー最後に、グローバルマーケティングを面白いと思えるのは、どんな人でしょうか?
 
グローバルマーケティングといっても、分野が広いので一概には言えませんが、簡単に言えば、多文化を超!楽しめるかどうかですね。違う文化に触れ続けるので、相手を尊重できるかは大事なポイントですね。そして、好奇心を持ち続けることができるか。それを面倒だと感じてしまう人は、あまり向いていないと思います。
 
他で言えば、目立ちたがりには最高じゃないですかね!日本の1億人に知れ渡るのと、全世界の80億人に知れ渡るのでは、得られる快感が全然違います。だから、グローバルマーケティングは「究極の目立つステージ」であると言えると思います。
 

おわりに

いかがだったでしょうか?グローバルマーケティングの面白さが伝わっていたら嬉しいです!
 
インタビュー記事3本目は、「学生にとってのLinkedIn」というテーマでお届けします。
 
2023年から、長く勤めていたマイクロソフトをお辞めになって、リンクトイン・ジャパンに移った石坂さんに、LinkedInの面白さをお聞きしたので、お楽しみに!
 
 
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