公認会計士試験短答式試験の勉強法
本記事では、公認会計士試験短答式試験合格までに行った勉強法をご紹介します。これを実践すれば確実に合格できるということを保証するものではないので、あくまで参考程度にしてください。
簡単な学習遍歴
私は2020年の3月に2021年合格目標としてTAC公認会計士講座の受講を開始しました。(主に講義は家で受講し、答練は短答応用答練あたりから校舎で受けていました。)それまでも簿記の学習はしており、高校在学中に全経上級までは取得しています。
私が公認会計士試験を受験する令和3年度は2020年12月の短答式試験が中止され、2021年5月の短答式試験一発勝負となりました。
さて、短答式試験の結果ですが、財務会計論148/200、管理会計論55/100、監査論65/100、企業法60/100の計328/500(65.6%)で合格(合格ボーダー62%)しました。ですので、圧倒的な余裕をもって合格というわけではありませんが、合格までに最低限やるべきことを科目別に紹介していきたいと思います。
科目別学習法
①財務会計論
短答式試験の合否は財務会計論で決まると言っても過言ではありません。なぜなら、配点が総合500点のうち200点を占めるからです。ですので、短答式試験に落ちる人の大半は財務会計論の失敗によるものであると思います。
まず、理論についてです。短答式試験の理論は知識量がものをいいます。論文式とは異なり、その場で考えるというよりは知っているか知らないかで勝負が決まります。この知識量という意味ではTACの財務理論のテキストで十分にカバーすることが可能です。しかし、テキストを読むだけではどうしても知識が抜けていき、またすぐに飽きます。そこでアウトプット用の問題集があると良いと思います。
自分が使っていたのはLECの一問一答です。
こちらの問題集はページが900ページ以上と、かなりの量がありますが、過去問や予想問題が多く掲載されており、アウトプットに最適です。また、短答式試験毎に最新版が出版されるため、会計基準の改訂等にも対応しています。具体的な活用方法としては、一通り問題を解いて間違えたところにチェックをつけて、後日復習という順序でやっていました。これを利用して、本番では理論は10問中8問正解しました。
続いて計算についてです。計算はとにかく演習量です。使った教材としては、短答アクセスと計算コンプリートトレーニング(CPA)です。TAC生であれば短答アクセスは回転用教材として利用していた人が多いと思います。私は2回目以降は特に時間等は意識せず、ひたすら解いていました。そして、後日間違えたところを復習するようにしていました。続いて計算コンプリートトレーニング(CPA)についてです。評判が良く、興味があったので購入しました。実際、これを反復することで知識のインプットとアウトプットを両方達成することが出来、基礎力が身についたと思います。ただ、全てを何周もすると時間がかかるため、心配のない問題は解法を頭に思い浮かべる程度で次に進む方が効率的かと思います。
そして理論と計算の両方に共通する対策としては、やはり答練を受けることが大事だと思います。時間配分や短答特有の出題形式等に慣れるために毎回受けましょう。ただし、自分は短答式試験前にまとめて復習することはしていませんでした。時間があれば解き直すとよいと思います。
②管理会計論
管理会計論は短答式試験において最も鬼門となる科目です。まず制限時間内で解き終わることは極めて困難であり、更に解ける問題がないとどんどん焦って沼にはまるという危険な面を持っています。私は管理会計論が得意科目でしたが、それでも答練ごとに成績の変動が激しく、なかなか安定しませんでした。少しのひらめきが要求されることもあるので、若干の運要素もある科目であると思います。
ではまず理論について説明します。まず原価計算分野については、原価計算基準を読みましょう。私は以下のサイトを使って暗記をしていました。とにかく繰り返し読んで暗記するのみです。
続いて管理会計分野についてはTACのテキストを読んでいました。管理会計分野に関しては、初見の知識が出題されることも多く、あまり勉強時間を割く必要はないと思います。
次に計算についてです。こちらに関しては問題の取捨選択が全てです。短答式試験では絶対取るべき問題が2問、半分は取りたい問題が4問、正答が難しい問題が2問程度出る傾向にあります。まず、絶対に取るべき問題を探しましょう。ここで注意すべきなのは、「計算量が少ない=簡単」ではないことです。一見するとボリューミーな問題でも使う知識が基礎的な問題は、絶対に取るべき問題に該当することがあります。そのような場合には、時間をかけてでも正解を勝ち取りに行きましょう。次に、半分は取りたい問題は解けそうなものから解きます。最後に、正答が難しい問題は端から捨ててもらって大丈夫です。教材としては、計算コンプリートトレーニング(CPA)を使っていました。短答重要度がB以上の問題を2周程度解きました。管理の計算はアウトプットを多くしたからといって、すぐに得点には結びつかないため粘り強く頑張りましょう。苦手だからと言ってあまり時間を割きすぎると、他科目に影響するので深入りは禁物です。
最後に理論と計算の両方に共通する対策としては、やはり答練です。管理は時間との勝負であるため、答練の中で問題の取捨選択ができたのか、簡単な問題の取りこぼしはないかなど事後的に評価する必要があります。そのため、あとからもう一度問題を解くことをする必要はありませんが、必ず時間を測って1回目を解くようにしましょう。
③監査論
監査論はあまり得意ではなかったので、参考にならないかもしれないことをはじめに申し上げておきます。
使った教材としては、TACのテキストと過去問と答練です。まず、テキストはとにかく何周も読みます。この際、下の脚注など細かいところまで全て読みます。次に、過去問はネットに解答が存在する年度のものまで15回分程度解いたと思います。監査論は同じような問題が再度出題されることも多いので、過去問は非常に有用です。最後に答練については、何度も復習して知識を定着させます。前提としてTACの監査論の答練は本番に比べて難しく作られているように感じます。ですので仮に初見の知識が出題されて不正解だったとしても、後から復習すれば何の問題ありません。
④企業法
企業法も短答合格者の中では自分はかなり点数が低いため、あまり参考にならないかもしれません。出来れば80点以上取れるのが理想です。
TACの問題集と過去問と答練を主に使っていました。まずTACの問題集は、収録されている1700問程度をひたすら回転させていました。暇さえあれば回転していました。全問正解できるレベルまで仕上げましょう。次に過去問ですが、会社法の改正等で現在と異なる規定になっているものもあるので注意が必要です。余裕があればで良いと思います。最後に答練ですが、企業法ではこれが最も重要です。答練で出題されているものはすべて正解できるようにしておきましょう。
おわりに
以上が主な勉強法ですが、最も重要なのは諦めない心です。自分は午前の企業法と管理会計論が終わった時点で正直不合格を悟っていました。しかし、最後まであきらめず解けるところを解き切った結果、最後の財務会計論で自己最高点を記録し、逆転合格することが出来ました。すべての科目が難しいということはないですし、その時は周りも難しいと感じているはずなので、最後まで自分を信じて戦い抜いてください。それが合格への近道です。