ネタバレだらけの『ConneXion』考察②〈西洞院将〉
【A10TION!】
当記事はdTVで配信中のドラマ『ConneXion』について、ネタバレしかしていない考察記事になります。未視聴の方はドラマを見てから閲覧してください。また、一度見た方でも読んでいても良く分からない可能性があります。時間と心に余裕があればこのまま進んでください。
また、先に真治の考察を読んでいただけると、より分かりやすくなります。関連リンクもこちらにありますので是非!
〈西洞院将〉
将は、他の2人と比較すると考察する要素は少なめだ。理由としては、彼は本編にて九割方キャラクターとしての描写がされているからである。それ故に、彼に関してのみで物語を見た場合、ハッピーエンドであると見做す視聴者は多いだろう。
そもそも、このドラマは将と美麗が結ばれ、そして将が真治に向けて「次はお前が笑顔になる番」と、6話のタイトルにもなっているセリフを言って終わる。つまり、今回は将が笑顔になる番の話だったのだ。
西洞院将というキャラクターは、よくよく見ると真治と共通している部分がある。真治は何も知らない視聴者から見れば《恋愛に臆病でAIに翻弄されるも、徐々に成長していく》ように映る、と真治の考察で話したが、将も《恋愛に臆病でAIに翻弄される》ところは同じなのだ。しかし彼は、徐々にではなく急激に成長する。しかも、それは6話で。そこまでの彼はずっと燻ったまま真治の成長を見守っている立場である。
私が好きな将のセリフに、2話の「恋愛に臆病な人は大概過去の恋愛を引きずっている。過去の恋愛経験が全てなんだ。過去の自分と戦って昔の恋愛を克服しないと新しい恋は出来ない」というものがある。この時点では、将めっちゃ良いこと言うじゃん…という感情を抱いたが、4話を見終わった後で再度見ると、言い方は悪いがこれは特大ブーメランであると分かってしまうのだ。そう、将は昔の恋愛経験を克服出来ていないが故に、明日海を含む女性達を次々とフっていったのである…。たぶんこのセリフ、自覚あるうえで言ってるのだと信じたいが。
ここで、『ConneXion』の物語を将視点で見たらどうなるかを簡潔にまとめてみる。
☆美麗の事を引きずってるので乗り気じゃないAI婚活のパーティーに参加したら、20年ぶりに真治と悠琉と再会!
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☆もしかしてトラウマを負わせたかもしれない真治と腹を割って話したら、また友達に戻れた!良かった!
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☆真治のデートを悠琉とサポートしてたら結果的には失敗はしたけど、真治が成長出来て良かった!
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☆いきなり真治に呼び出されたから美麗との出来事を話す流れに…。そしたらいきなり以前マッチングした明日海から告白された。もちろん断る。
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☆明日海は真治が好きな人だった…。でも真治も告白して吹っ切れたみたいで良かった…。
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☆美麗とマッチングされた!?これも悠琉の仕業か!?
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☆大将の想いは伝わった…。でも俺に美麗を幸せにする資格なんてない…。
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☆真治にブチギレられた!確かに資格ってなんだよって話だ!俺らで作ってこう!
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☆真治!次はお前が笑顔になる番だ…!
……将の短所は《やや自己中》。(Twitterキャンペーンでのプロフィール画像より)
真治の立場からすれば色々思うところはあるが、
将は将で西洞院家の御曹司であるが故に様々な傷を負ってきたので、そうも責められはしない。しかも、明日海の件に関しては将自身は何もしてないので余計にだ。恐らく真治もそこは理解しているからこそ、将と良好な関係を続けているのだ。まぁ、そもそもマリちゃんの件で一度気まずくなってはいるのだが…。
とどのつまり、『ConneXion』の物語は真治と同じくらい将にも重きが置かれている。なんなら4話と6話はほとんど将の話だったとも言える。それは何故か?と考えた時、私の脳内にとある曲が流れた。
♪目を閉じたら〜見えてくる〜(I want you,you want I)
思い出す〜あの時から〜ずっと〜
忘れるコトとか出来ないから I'm sorry♪
それはまさしく、このドラマの原曲『ConneXion』である。聞き進めていくと、「あの頃に戻れたら…今誰といるの?泣かないでね。あの夜に戻してあげるよ…」など、少なくとも真治と悠琉は言わないであろう歌詞のオンパレードである。いや、ハッキリ言おう。これは将→美麗の心情ではないだろうか?
もちろん既知ではあるが、『ConneXion』の歌詞を担当したのは将を演じた藤ヶ谷太輔、その人である。彼自身が同曲を作詞をした際のテーマは"ゴージャスとLOVE"であり、その旨を杉本監督を始めとしたスタッフにも伝えてあると、雑誌のインタビューで話している。では、制作陣がその旨を受け取った際、1番それを反映しやすいのは誰か?となったら、藤ヶ谷さん演じる将ではないか?と私は想像する。
『ConneXion』のドラマの主人公は確かに真治だが、原曲の世界観に最も寄り添っていたのは将で、だからこそ本編だけ見るとメインの基軸はこの2人になっている。では、悠琉は一体どのような役回りだったのか?それは悠琉の考察で語る。
続いて、将と美麗がマッチングした件について。これは最終回つながる生特番で杉本監督が答えていたが、純粋に相性でマッチングされたか、メインシステムオペレーターである真治が仕組んだか、の2択である。将は悠琉の仕業だと思い込んでいたが、彼は身を隠しているためそれどころではないし、そもそも美麗のことを知らない。
個人的には、6話のカフェで電話をするシーンを見るに、真治が仕組んだ可能性が高いと踏んでいる。自分が仕組んだマッチングの内容を電話口で聞くのは、偶然なのか意図的なのか、1話で悠琉が静香のプロフィールを見る場面と同じ状況である。また、前に一度だけデートした場所を指定するのも悠琉と同じ手口だ。自分が悠琉にしてもらった《プレゼント》を、今度は将にも渡そうとしていたのではないだろうか。なお、将はそのプレゼントを受け取ってはくれなかったのだが。うん、そりゃ真治もブチギレる。
この流れで、そのブチギレシーン周りについても話す。将の口から出た「俺なんて」。これは、明日海の口ぐせである「私なんて」と同じなのである。本編で出てきた中で純粋に『ConneXion』がマッチングしたのは将と明日海だけである。2人は昔の恋愛を乗り越えられてない者同士で、もし将が少しでも明日海と歩み寄っていれば、もしかしたら案外良い感じになっていたかもしれない。もちろんそうなったら真治が明日海を好きにならず、真治自身の過去の痛みを乗り越えられずに終わってしまうが…。
そんな「俺なんて」な将が真治の言葉によって一気に覚醒した。note小説1.5章で将にとって真治は「自分を見失った時に、自分に立ち戻れるきっかけとなる良心」と話している。そんな良心である真治に「いい加減にしろよ、ぐちゃぐちゃ言ってんじゃねーよ!」と怒鳴られるなど、将からしたら青天の霹靂だったともいえる。だからこそ、あの短時間で将は吹っ切れた。いや、正確にはずっと分かっていた答えを真治がハッキリ言葉にしてくれたので、やっと素直になれた…といったところだろうか。
また6話では、《変化》について触れるセリフが多い。真治の「同じ景色でも見る場所が変わると見え方が違うって。違う場所から見てみたら?」「家に戻って変わったのはお前じゃねーか」、美麗の「お父さんそれでいいの?場所も変わって仕事も変わって」、亮平(大将)の「立ってる場所は変わっても中身は変わらない」、将の「美味いっす。変わってない。何にも変わってないわ」、などなど…。
結局、将は真治の言う通り実家に戻って変わってしまっていた。それでいて「俺は美麗を救えなかった」という、気持ちだけは同じところに固執し続けた。だから、周りは何も変わっていなかったことに気づけなかったのだ。そこに、ようやく真治が切り込んだのである。本当に、このシーンは何度見ても痛快だし、悠琉の言葉を用いて「過去の痛み乗り越えてよ。痛みで涙流しても自分しか癒せないよ」と言う真治の成長にこちらが泣く。かくして、将も過去の痛みを乗り越え、それでいて元の明るくて優しい彼に戻れたのである。
と、将はやはり真治・悠琉より分かりやすいキャラクターなのだが、一点だけ何度見ても分からない謎がある。それは、2話の『勝手にしやがれ』。何故彼は、この映画が公開されていることを知っていたのだろうか?
考えられる可能性としては、
①実はよく映画を見に行くのでたまたま知っていた
②この映画館は西洞院家が運営している
③事前に悠琉と打ち合わせをしていた
くらいだろうか。
そもそも将は、秘密基地があった場所に立ったから、という理由でカフェに行き、真治達と再会する。西洞院家の力で調べたという説もあるが、もしかするとパーティー会場で悠琉と話しており、そこでカフェでよく集まることを教えられていた可能性もある。「話せよ。真治に話があるんだろ?」という悠琉のセリフは、あたかも将が来ることを知っていたような節はある。
ただ、こればかりはnote小説でも明確な描写がなく、本当に考察の域を出ないので、①か②で一旦受け止めておこうと思う。制作陣もさすがにそこまで深くは考えていないかもしれないし…。というよりこの一連のシーンは、あの頃と変わってない真治と悠琉の背中を見つめる将と、真治と将を2人きりにするためにあえて車を回しに行く悠琉がもう切なくも愛おしくてたまらなくなってそれどころではないので、やっぱりこの点は軽く流すとする。
・総括
将は、良い意味で憎めないキャラクターだ。もし藤ヶ谷さんが演じていなければ、若干鼻につく部分もあったのではないだろうか。ビジュアルの良さ、そして演じる藤ヶ谷さんの人の良さが滲み出ているため、かなり不器用でやや自己中な将の、秘めたる優しさや芯の強さが表れてくる。
やはり演技に関しては藤ヶ谷さんが頭一つ抜けている。決して他2人を悪く言うわけではないが、正直将はどう足掻いても彼にしか演じきれない。かといって、真治と悠琉を藤ヶ谷さんが演じきれるのかといえば、そうでもない。それぞれの良さがあるのだ。
個人的に将のセリフには名言が多いと思う。「中途半端に笑うのやめろよ。自分を守る為に笑う顔は腹が立つ。これからは笑いたい時に笑え。自分の気持ち隠す為に笑うのはもうやめろ」。これからは、将自身がこの言葉を胸に生きていってほしい。
1番好きな将のシーンは、5話で明日海にフラれたものの吹っ切れた真治のそばに寄り、肩をぶつけるところである。ここ、よく見ると同じく5話に出てくる回想シーンで、秘密基地が無くなり落ち込む真治を励まそうとする将とやってることが同じなのである。何年経っても変わらない幼馴染の関係性が出ていてエモくて好きすぎる。まぁ、将からしたら自分のせいで真治がフラれてるようなものなので、慰めの言葉をかけにくいというのもあるが…(笑)モテる男はつらいよ。
最後に。亮平(大将)はもう美麗の婿は将以外認めん!と思ってそうだし、美麗は美麗で将が西洞院グループの社長と分かっていても想い続けていたのだろうから、本当に結ばれて良かったな…、と。とりあえずきちんと交際は続いてるから、周りからも反対されてないようで一安心。将と美麗、末永くお幸せに!
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