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映画えんとつ町のプペル、普通に面白くて困惑したプペねぇ…

色々な前評判を聞いてたけど、普通に面白かった。
これだけまともな映画なのに炎上商法みたいなことしたらそりゃ追放されますよねって感じでした。エンディングのスタッフロールで本当に悲しい気持ちになった。ただ、この映画自体はもう少し評価されても良いと思う。サロン商法さえ無ければ良作だったのでは。まぁ、個人的には町並みが最高だったのでそれ以上を求めることはないです。ずっとにこにこしながら見てた。ストーリーとか星空とかプペルとか正直どうでもいいので背景のえんとつ町を見ろ。

映画えんとつ町のプペル、見てない人は見てくださいね。




以下ネタバレ

 信者や子供向けの感動的お気持ちストーリーかと思いきや、ストーリー自体には必要なさそうなレベルの世界観・歴史の解説シーンがあったり、身内に潜伏するスパイみたいな王道展開だったり、別アニメのネタがあったり、オタクも好きそうな要素も割とあってびっくりしてしまった。主人公の父親の回想シーンでバキの家のネタがあって作中で一番笑ったんだけど、ほとんど誰も気づいてないっぽくて悲しいね。
 結構前に原作読んで映画前にも読みなおしたんですが(プペル既読マウント)、映画は絵本とかなり違う筋になってるんですよね。若干世界観がズレる設定もあったけど、登場人物のキャラが深まって整合性も増して良い映画化だと思う。ただ、最初の廃坑の奥で植物の化石の結晶を見つけて目を輝かせるのは「『二人で空を見続ける』みたいなテーマに沿ってなくない?」とは思った。それと原作屈指の感動シーン「洗っても洗っても臭かったのは落とし物を探してくれてたからだったんだね」みたいな場面、映画だとラストシーンから切り離されて何でもないタイミングに組み直されたせいで感動が半減してる上にすぐ歴史説明が始まって余韻を与える隙もなく情報を突っ込まれるので、これで感動するの大変じゃない?とは思った。お涙頂戴シーンが削れてくれたので、アニメの設定だけをwikipediaで読んでるような設定厨にはいい事しかないですが……。あと、最後プペルが記憶を取り戻したせいで前のナヨナヨした人格が何だったのかという疑問が放置されてたのも気になった。原作読んでて「夫の魂が帰ってきたなら子供も大事だと思うけど妻にも何かしたほうがいいのでは?」って思ってたところは、妻がプペルを見て何かに気付くシーンとかで緩和されてたかもしれない。虐めてた子供たちや父親の存在にもきちんと説明があって脚本が精緻になった感じがある。本当に西野さんが書いたんですか?
 オンラインサロンの撒き餌として使われてるせいで映画の内容が胡散臭いみたいな話をちらほら見てたけど、「下を見るな上を見ろ」「下を見ると揺れる」みたいなのは自己啓発っぽいとはいえ、そもそも映画ってだいたい自己啓発っぽいからそこまで気にはなりませんでした。むしろ、プペルと二人きりで星空を見る原作絵本に比べて映画は町全体で星を見るようになってるから、カルトっぽさは少し軽減されてるんじゃないですかね
 まぁ、ストーリーは正直どうでもよくて、一番いいのは背景なんですよね。えんとつ町の町並みが良すぎる。キャタピラゴミ回収車とか小型懸架モノレールとかも最高。原作絵本のプペルと二人で雲の上から星空を見るシーン、町並みが見えなくて巨大構造物厨としては残念だったんだけど、映画の改変で町の雲を吹き飛ばすことになって町並みがストーリー全体を通してずっと出てきてくれたので本当に良かった。ゴチャゴチャしたスチームパンクな巨大都市は見てるだけでニコニコしちゃう。BLAME!とかシドニアとかが好きな人は背景の建物だけで満足できてしまうと思う。個人的に絵本のプペルを知ったのが「ゴチャゴチャした街の絵を無料で見られるらしい」っていうのを聞きつけて読んだのがきっかけで、読んだときから「星空とかどうでもいいから町並みをもっと見せてくれ~~~!!」って思っていたので、今回の映画で町並みが最初から最後までずっと映ってたし、それどころかもっと踏み込んだ歴史とか地形とかの設定が出てきて本当に嬉しい。まぁ多分これに関しては某野氏の力というよりは絵本のイラストレーターさんとか映画の美術設定の方々とかのおかげというのも大きそう。僕が本当に求めていたものを出してくれたので、完全に満足です。
 見てて気になった点として、敵の敵みたいな存在(中央銀行)って問題が解決されてないから根本的な諸悪の根源がそのままなのではとか、なんでハロウィンとっくに過ぎたのにハロウィンがテーマなのかとか、大筋がなんとなくラピュタとかと被ってるんじゃないかとか、ハロハロハロウィンプペプップープペルの歌い方がやばすぎるとか色々思ったけど、背景のえんとつ町だけでお腹いっぱいになれるのでいいです。若干ツッコミどころはあったけど、全体的にまとまっているし町並みが素晴らしいし良い映画ではあるんじゃないでしょうか。それだけに炎上商法やってるのが悲しい。真っ当なコンテンツとして評価されて欲しかった。


そういえばプペ拍手期待して池袋の映画館まで行ったのに(池袋にはオンラインサロン民が多そうだと思っているので)、誰も拍手してなくてプペ泣きしちゃった。



ここで令和プペプペ話……PC上のフォントで「プ」と「ぺ」の半濁点の高さが違うことに一度気づいてしまうと「プペル」って文字がだいぶ気持ち悪くなる(環境によっては大丈夫なのかもしれない)

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