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映画『100日間生きたワニ』意外と面白かったワニねぇ…【100ワニ感想】

 100日間生きたワニを見ました。前評判が悪すぎたのもあるとは思うけど、意外と面白かったです。これよりつまらないアニメはいくらでもある。

 前期やってた「おさ○け」とかよりはよっぽど面白いし作画も良いです。チャー研と比べても多分クオリティは上です。えんとつ町のプペルと比べると、プペルのほうが面白いのは確かですが…。(プペルは結構お金かかってるしそれなりに面白かったので)

 ただ1500円も払って(女子高生なので学割料金)、映画館で見るものではない感じがあります。
 劇場で公開されてる映画として見るとクオリティは低めですし、60分しかないので。体感では2時間くらいはありますが…。ドブに捨てるのとどっちが価値があるかは謎です。(実際にドブにお金を捨てる経験って割と価値がありそう)

 60分しかないからトイレが近いおじさんにも安心って意見を見た気がしますが、前の席に座ってたおじさんは途中でトイレに行っていたので悲しくなりました。

作画について

 100ワニの作画ですが、ネットで言われているように紙芝居という感じはしませんでした。確かにかなり動きが少ないし、作品の空気感を出そうとしてる風のセリフの間で尺稼ぎしているシーンとかカットの使い回しとかは多かったですが、原作の絵柄をうまくアニメに落とし込んでいて、目立った作画崩壊もなく背景もパースが極端に崩れたりしているということもありませんでした。

 ただ流石に酷いと思ったのが、作中の格闘ゲーム大会に出るシーンがパンチの連打だけで終わったところ。

ワニがパンチ連打→敵ノックダウン→敵復活してパンチ連打→ワニとネズミでパンチ連打→敵ノックダウン→敵2が出てきてパンチ連打→ワニネズミノックダウン

このシーンいる?原作にはなかった気がするし…。連打以外の要素が存在しないクッソつまんなそうな格ゲー。

ストーリーについて

 誰もネタバレを気にしないと思うので展開についても言及するのですが、実はワニが死にます。映画の前半30分はTwitterで連載していたワニが死ぬまでの100日間のダイジェストで、後半で死んだ100日後の話になります。

 前半では最初、開始2分でワニが交通事故にあって死にます。死亡RTAにしては意外と遅かったんとちゃう?死ぬといっても原作同様ほのめかす感じのシーンなので一見わかりにくく、初見はタイトルから察しろってことなんでしょうが死んだ理由が分かりづらい気がします。ワニが死ぬシーンは前半が終わったところでもう一度流れるのですが、30分も経ってないのに全く同じ映像を流すの、予算の厳しさを感じさせられて泣けてくる。

 そもそも100日後に死ぬワニは「死が迫っていることも知らずに何の変哲もない日々を送っている」という話だったので、その100日間は苦もあれば楽もある何の変哲もない日々なわけで、それを映画化したところでストーリーとしては虚無(生殖活動の進展という筋はありますが)で、何の感情もありません。

 ただ、頭の悪そうな会話のノリが映像化によってかなりの不快感を出してきていて、見ているのがキツかったです(個人の感想)。Twitterでの連載当時読んでいたときはそこまで不快ではなかった気がするのに声がついて動くとかなり嫌悪感があったので、きくちゆうき氏のゆるい画風と4コマという媒体に助けられていたのを感じました。

 あと、これはインターネットに汚染された最悪な偏見の上での考え方なのですが、ああいう社会階層のグループでワニみたいなナヨナヨした性格って迫害されそうじゃないですか?何故か受け入れられてるの、顔が良いからとかなのかなって思ってしまった。本当にこういう考え方はやめたほうがいい。

 後半はワニが死んだ100日後から始まり、打って変わって鬱展開になります。お通夜状態なのでみんな前みたいなキツいノリをやめていて非常に快適。それもあって僕は後半のほうが面白かったです。

 後半では新キャラのカエルが現れます。目尻(?)のところがクソキモくて泣いちゃった。
 カエルはカエルでキッツいノリなんですが、あまりにヤバすぎて皆にドン引きされるレベルなので面白さが勝ります。一方的に喋りまくるし、最後空気を読まずにヘビ(喫茶店のバイト)に告白して玉砕します。これってオタク君の擬人化?ただ、カエルの過去が明かされるとネズミと心を通わせて、最後はカエルが受け入れられ、ワニの死で離れ離れになっていた皆が再び集まります。ワニの場所は空いたままですが…。ちなみにNTR展開ではなさそう。

 ワニとは真逆のキャラのカエルが現れて、バラバラになった人間関係をつなげてワニの死を乗り越えるというのはかなり良いストーリーだったと思いました。カエルがワニの代わりになったという雰囲気が全くないわけではないですが、ワニの死を受け止めて前に進むきっかけになったという意味で、100日後に死ぬワニの登場人物たちをハッピーエンドに導いてくれたと思います。

 そして、舞台装置として地味に重要だったのが梅雨の存在で、確かにワニの死んだ100日後って梅雨かぁってなりました。この時期に公開したのはそういうことだったのか…。というか『100日後に死ぬワニ』の連載が終わってから1年と100日が経ったってコト…!?しにたくなってきた

 あのグループがカエルの存在で救われたのはよかったのですが、ワニの家族はどうなったんだと思っていたところ、最後のほうでワニの両親がワニのやっていたゲームを夫婦でやってるシーンがあり、大人は大人で死を乗り越えようとしている様子が描写されていたので安心しました。梅雨の設定もそうですが、真のクソアニメだったらこういう細部を練ったりはしないんですよね。クソアニメを舐めないでほしい。

まとめ

 100日間生きたワニを見て、全くクソ映画ではないと思いました。話の性質的に前半には面白いところが少なかったですが、後半は綺麗にまとまっていたと感じます。確かに作画などはお粗末でした。しかし、Twitterでバズって商業主義に飲み込まれたあと、それが原因で炎上して商業サイドから損切りされ、予算がない中で手を尽くして作ったと考えれば、本当によくやった作品だと感じました。それなのにオタクにもオモチャにされてしまっているのは、本当にかわいそう。オモチャにするにしても、ちゃんと見に行ってからにしてほしい。

100ワニ見ろ!

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