【Rochelle Jordan】 R&B,Electro,UKG...シーンを往来するシンガー
彼女の最新2ndアルバム『Play With The Changes』('21) に完全にやられてしまい、4月にリリースされてからずっと聴いていました。周りにもこのアルバムに骨抜きにされてる人がちらほらいたので、彼女について語ろうと思います。
このアルバムの何がすごいかって、トラディショナルなR&B、サンプリングされた90's Pops、Vintage UK House・Garage、バラード、Hiphopなどが絶妙にブレンドされているんです。
個人的に、Electro,Houseも大好きなのでありがとうって感じです。
本当に色んなシーンの良いとこどりしましたみたいな最強のやつ。彼女が多民族国家であるカナダで育ったことも多少影響しているんだろうなと思います。
このジャンルレスな感じを彼女自身は
「現在の私のサウンドは、ジャンルにとらわれないソウルミュージックだと思っている。Electro,Dance,R&B?そのすべて。解釈は自由」と言っていますが、本当に聴けば聴くほど無限の角度から解釈できます。
実際、このアルバムやばいよね!!っていう会話を、私と同じようなR&Bオタクとだけじゃなくて、HouseのオタクとHiphopのオタクともしたので、多分なんかもうあらゆる音楽好きに刺さると思うんです。
これってものすごいことだし、R&Bオタクの立場からすると、他のジャンルが好きな人にもR&Bを聴く耳を持つきっかけになり得るのでは!?という感じもあって嬉しいです。
あと、この後詳しく書きますが、今作より前の作品では彼女はスローなR&Bをやっていたんです。だから彼女のファンからすると今回は意外な感じだったと思うんですが、そういうファンを遠ざけるんじゃなくて新しい空間に誘っていける力もある作品だと思います。
今R&Bに求められるのはそんなトラディショナルだとかオルタナティブだとかの線引きを捨てて、R&Bを包括的に受け止めてシーン全体を盛り上げようとする意識を持つ事なのかなぁと思います。
ひらかわさんが書いてらっしゃるような見方からしても、シーンが盛り上がるようなアルバムだと思います。(この記事を読んでこのnoteを書くことにしました...R&Bオタクの方は是非読んでください...)
前置きが長くなってしまいましたが、まずは前作までの彼女を追っていきます。
前作までのことをさらっと
イギリスで生まれ、4歳の時にカナダのトロントに移住。
19歳の時にYouTubeに曲をアップするようになったのがきっかけでプロデューサーのKLSHと出会い、ベッドルームでミックステープ『R O J O』('11)、『Pressure』('12)を制作。どちらもスローで良きR&Bばかりです。
2013年にKLSHのいるLAに移住し、ファーストアルバム『1021』('14)をリリース。これに収録されてる「Lowkey」がめちゃくちゃ良い。
同じくLA在住のR&BアーティストJMSNがこの曲を気に入ってアメリカツアーに彼女を同行させ、彼がフィーチャリングとして入ったRemixも出てます。
ちなみにアルバムのタイトル『1021』は彼女の誕生日で、数秘術っていう占いによるとこの数字はSpiritually,Emotionallyみたいな意味があるらしく、これがまさに彼女自身のことを指してたし、Emotionallyなアルバムだったからこのタイトルにしたらしいです。
これをリリースした時にAaliyahみを感じると話題になり、それについて彼女は「Aaliyahは偉大だし比較されることはとてもクールだけど、私はRochelle Jordanであって、私には私のサウンドやスタイルがある。私が私であることを知ってもらい、受け入れてもらいたい」と話していました。それはそう。
てゆうかAaliyahを感じる!て言われてるアーティスト多すぎて、AaliyahがR&Bシーンにもたらした影響のでかさをひしひしと感じます。
でも確かにどことなく90's Vibeを感じるのは、彼女が小さい時からAmerieに6年間夢中になってたり、Missy, Timbaland, Jodeci, Devante SwingなどのDa Bassment Cru(別名Swing Mobb)が好きだったってことが影響しているようです。それでも彼女自身は楽曲に90's要素を意識的に取り入れることはしていなくて、「あの感覚を取り戻したい、あの雰囲気を取り戻したいみたいな感覚を再現したいと思っていたから、それがノスタルジアとして伝わっているのかも」と話していました。確かに、Joyce WriceやDevin Morrisonみたいに確実に90's意識してるじゃーん!みたいな感じはしないですよね。
Torontoで青春時代を過ごしていた彼女にとってカナダのアーティストからの影響も大きいようで、「Deborah Coxは私にとってQueen Of R&B。Avril LavigneやDrakeの大ファンでもあった」と語っています。
実際Drakeの「Cameras / Good Ones Go Interlude」をカバーしています。
更に彼女が面白いのは、ファーストリリース当時のインタビューでCharli XCX好きを公言していたり、Tory Lanez, Wale, Flying Lotusとかの比較的新しい曲をサンプリングしてたり、The xx, Radioheadとかバンドをサンプリングしてたり、あらゆる音楽が好きなのが感じ取れるところ。
影響を受けているアーティストを聞かれて、たくさんいすぎて挙げられないと言っていたんですが、だろうね!と思いました。
問題の変態アルバム『Play With The Changes』('21)
7年越しのセカンドアルバムである今作では、KLSHに加えてMachinedrum、Jimmy Edgarの存在が圧倒的に光っています。まじ天才。
冒頭でも書いたように、人それぞれの解釈があると思うしそれが面白いと思うので、個々の楽曲について詳しく書くのはあえてやめておきます。
前作まではレーベルに所属していなくて、「自分に合ったのがあれば入りたいけど今はインディペンデントとして楽しんでいる」と言っていた彼女ですが、今回はTOKiMONSTA率いるインディーズレーベルYoung Art Recordsからリリースされています。TOKiMONSTAとそのお仲間たちと電話で話して、ここだ!と直感的に思ったそうです。
このアルバム以前の作品ではElectronicな要素よりR&B要素が多いように感じますが、実はMachinedrumは『Origins』('11) 収録の「Killah」「All over Again」にも参加してるし、逆にMachinedrum名義でリリースされている作品にRochelle Jordanが参加したりもしていて、昔からずっと交流があったみたいです。Jimmy Edgarとの共作もたくさんあります。ここに載せるやつ全部変態すぎるから聴いて...
あとJacques Greeneも天才なんよなあ。
あとこれね!!!彼女の最新作です!!!!
(Rush Davis, Kingdomも別で記事書こうと思っています。)
彼女は本作リリース後のインタビューで
I plan on travelling the world with Play With the Changes. I’m talking Jamaica to New Zealand, Japan to London, Brazil to Prince Edward Island. I’m there.
と言ってくれてて、Japanが!!Japanが入ってるぞ!!となったので、
来日を楽しみに待ちたいと思います。
おまけ
Rochelle Jordan『Play With The Changes』が好きな方は Tkay Maidza『Last Year Was Weird, Vol3』も好きだと思うので良かったら聴いてみてください!
UMIをフィーチャーしたOnto MeみたいなSlowな感じから始まって、急に唸りまくるBassを使った曲が2曲、続いてDrill×R&BみたいなHigh Beams, その後のCashmereとBreatheは一見最近ぽいR&Bだけど、よく聴くとReverbの感じとか使われてるサウンドに電子音みを感じる。良いです。
ではこの辺で。読んでくださりありがとうございました!
参考サイト
https://atwoodmagazine.com/rjpc-rochelle-jordan-play-with-the-changes-interview-music-2021/