真・女神転生Vの話がしたい

真・女神転生V Vengeanceが6月14日に発売されるので、真・女神転生Vの話をします。

真Vの感想を見ていると、ストーリーが薄いっていう意見が多く出ていて、まあそれは正しいっちゃ正しいと思うんだけど、僕はむしろあの少ない情報量の中で、今までの真・女神転生シリーズには無かったロウ/カオス像を提示したことが真Vの優れた点だとおもっています。

これまでの真・女神転生シリーズでは、秩序を重んじる真面目クンが天使と手を組んでロウの軍勢に、暴力的で粗野な不良クンが悪魔たちと手を組んでカオスの軍勢に、というのがオーソドックスな展開でした。

それが、真Vではお調子もので配信者気取りの少年、太宰イチロウがロウ側、正義感の強い優等生、敦田ユヅルがカオス側になった訳です。いつもとは逆なんですよ。

じゃあなんで太宰イチロウがロウ側になったのかというと、悪魔との戦いの中で、自分の弱さと、弱者救済の為の秩序の必要性に向き合った結果という訳ですから、これはホッブスの「万人の万人に対する闘争」状態から脱却するための社会契約説的な、人民を守る為の国家権力としての唯一神と一市民であるイチロウによる社会契約と捉えることができますよね。

一方で、敦田ユヅルがカオス側になったのは、唯一神の一存で東京の存続が危ぶまれる事態から脱却し、自ら東京を守る為の選択ですから、これはアメリカという大きな父によって核の傘の下で守られた、永遠の幼形成熟としての日本からの脱却に向けて、責任感・主体性を持ってコミットすることをユヅルが選択したと類推することができます。

こうした社会的・政治的要素を盛り込むことで、お調子ものが秩序を重んじ、優等生が混沌を選び取るというストーリーを提示し、それまでのロウ/カオスに対応するキャラクター像に転回をもたらすことができた、これが真Vの面白さだと思います。

真V Vengeanceで追加される復讐の女神篇では、どのようなテーマが提示されるのか、とても楽しみですね。

それでは、さようなら!

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