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【ISC2022】トルコで宇宙産業に特化したカンファレンスが初開催。注目の「宇宙データセンター」とは
宇宙開発や宇宙ビジネスが盛り上がりを見せているなか、宇宙分野に特化したカンファレンスの開催も増えています。
トルコの北西部の都市ブルサで、9月9日から3日間にわたり、カンファレンスイベント「International Space Convention 2022(通称ISC2022)」が初めて開催されました。
宇宙分野においてトルコはニュースで取り上げられる機会はあまり多くはないものの、近年は宇宙産業に参入する民間企業が増えたり、宇宙スタートアップが設立されるなど、少しずつ宇宙ビジネスの機運が高まってきている状況にあります。
登壇者としてISCに参加したCSOの森がカンファレンスのハイライトを振り返ります。
開催地はトルコ最大級の宇宙体験施設「GUHEM」
今回のISCが開催されたのは、「GUHEM Gökmen Aerospace Training Center」という宇宙をテーマにした体験型の施設です。施設内には、トルコのロケットのモデルが展示されていました。
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来場者は200〜300人ほど。トルコの宇宙企業やスタートアップの方が多く参加されていました。
衛星間光通信のポテンシャル
イベントは、キーノートやパネルディスカッションなどのトークセッションが中心でした。森は「光衛星通信のポテンシャル」をテーマに、30分ほどのキーノートスピーチを行いました。
光衛星通信の一般的な認知度は少しずつ向上している段階で、そもそも従来の衛星通信には電波が用いられていることを知らない方も多くいらっしゃいます。
そこで、今回のキーノートでは光通信とは何なのかといった基本的な内容から、高解像度の光学衛星画像の登場やハイパースペクトルセンサを搭載した衛星の増加により、宇宙から地上に送信するデータ量が大幅に増え、大容量通信ができる光通信が注目されていること、さらに光通信は悪意のある第三者に傍受されづらく安全性が高いことを説明しました。
会場に集まったのは、なんと全体の来場者の7割ほど。質疑応答では、技術的な質問も出ていたことから、通信分野に詳しい方にもご参加いただいていたことがわかりました。
地球観測業界が期待する「宇宙データセンター」
続くパネルディスカッションは「Satellite Image Processing, Constellations and Staying Connected」と題し、衛星画像をいかに速く顧客に届けるかが議論されました。
登壇者は、Space PowerのCEO Keval氏、Maxar Technologiesの公共部門バイスプレシデント Madhav氏、BlackSkyの中東・北アフリカ地域ジェネラルマネージャーRajesh氏、E2MCのマネージングパートナー VenturesのRaphael氏、そしてワープスペースの森の5名です。
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パネルディスカッションでは、今後の注目トピックとして「宇宙データセンター」が挙がりました。宇宙データセンターとは、衛星が取得したデータを宇宙空間で処理をするエッジ衛星やそれらの衛星を光通信等の高速通信で繋げる現代の地上のネットワークアーキテクチャーを宇宙に持っていったようなものです。
宇宙データセンターは以前から話題になっていましたが、衛星間光通信の本格的な稼働により、データ転送速度が従来の静止軌道の中継衛星の100倍にまで増えようとしていることで、少しずつ現実味を帯びてきています。
ワープスペースは、画像を撮影する衛星と宇宙データセンター群を繋ぐ高速通信パイプラインのような役割を担います。
地球観測衛星コンステレーションを運用するアメリカ企業BlackSkyは、中継衛星を利用して、緊急時は条件が揃えば衛星が画像を撮影した後20〜30分ほどで、地上にデータをダウンリンクできる体制を整えています。ところが、BlackSkyはより速くデータをダウンリンクできるようにしようと、衛星間光通信を取り入れたいと話していました。
森は「ワープスペースの衛星間光通信によるデータ中継サービス『WarpHub InterSat』のニーズを直接聞けて嬉しかった」と振り返りました。
ワープスペースは、アメリカ政府機関と民間企業の両方との連携をより密にしていくために、ワシントンD.C.に事業開発拠点を設立しました。ヨーロッパには、技術開発に主眼を置いた拠点を設立する予定です。
日本発のスタートアップ企業であるという強みを活かしながら、宇宙開発における主要な国々との関係作りに取り組んで参ります。