湯治は自尊心を育てる
年明けから1月中旬までの約3週間、旅をしながら毎日温泉に浸かる生活をしていました。温泉地を移動したので、「湯治旅」といえるかもしれません。
湯治旅ができたのは、住居サブスクのADDressを久しぶりに再開し、温泉地の家を予約できたから。「ホッピング」といっても、今回滞在したのはたった2か所の温泉地だけれど。
とにかく、湯治旅、よかったです。肌はつやつやになったし、なんか、自尊心みたいなものが芽生えた感じもします。
九州を縦断する、温泉の旅。
湯治旅の地は、九州にしました。「未だ足を踏み入れていない鹿児島県に行ってみたい」という理由で。湯治旅の観点からも、九州にしてよかったと思いました。公共交通機関だけで行ける温泉地が各地にあるんです。
たとえば佐賀の「嬉野温泉」と「武雄温泉」なんて、バスで片道600円程度です。温泉地に滞在しつつ、別の温泉地へ日帰りで行く、なんてこともできちゃうんですよね。
わたしの旅のスタートは、福岡の祖父の家。特急列車に乗って佐賀県の「武雄温泉」に10日ほどゆったりしてから、鹿児島県日置市にある「湯之元温泉」でさらに1週間ほど滞在するというスケジュールでした。佐賀県〜鹿児島県の移動は九州新幹線です。
もし日にちに余裕があったら、スタートを大分県の「別府」にして、鹿児島県の「指宿温泉」にも寄れたらよかったかな。
「わたし、いつでも温泉にいけちゃうのよ」というお守り
もちろん、お湯そのものに効果があって、その恩恵を大変に受けたのだけれど。
「いつでも温泉に浸かれること」そのものが安心感であり、不思議なエネルギーになってくれました。
高級デパコスでメイクした日に「我の本日の顔面、CHANELぞ?」と思うと強く生きられる!みたいなライフハックがありますよね。同じような効果が湯治にはあるのでは?と思います。
「我、今から5分で温泉入れる環境ぞ?」みたいな。なんというか、自分を大切にするからこそ生まれる自尊心とでもいうか。
わたしはリモートワークをしながら旅をしているので、仕事終わりに温泉に行ったり、気合を入れるため朝からあつ湯に浸かったりしていました。
これが本当にメンタルによかった。仕事が大変な展開を迎えても「温泉の後にアイスも食べちゃおう……。」などと思うと乗り越えられるものです。
仕事をしながら湯治をする場合は、近ければ近いほど精神的に良いと思います。パソコンを閉じてから10分以内にすっぽんぽんになれるくらいの近さ。昼休憩になって温泉に直行したときのすっきり感は、他になかなかない感覚です。
「温泉って本当に効果があるのね」という実感
わたしは乾燥肌なので、冬はボディークリームが欠かせません。それもヴァセリンやニベアあたりの、こってりしたクリームじゃないと保湿が足りず、時間が経つと痒くなってしまいます。
湯治旅、とくに武雄温泉で感じたのが、湯上がり後の肌がとてもしっとりしていること。湯治生活を始めて3日目くらいで、身体を洗っただけで面白いくらい垢が取れたこともありました。顔もつっぱらないから、化粧水を塗るのをお休みしてみたり。
温泉に詳しくないから効能はよく分からないけれど、毎日続けるからこそ効果がはっきり分かるものなのだと思います。
暮らしの中に温泉があるということ
湯治って、温泉宿と違ってあまり着飾らない感じなのもいいと思いました。できるだけ長く温泉で体を癒やすのが目的だから、宿といっても「暮らし」に近いシンプルさです。
温泉も小ぢんまりしていて、銭湯に持って行くような「お風呂セット」が必要なくらい簡素で、地元の常連さんが賑わっているような場所。敷居が高くなく、等身大でいられることは心のリラックスにもつながるのかもしれません。
いつでもくつろげる場所がそばにある安心感と、自分をいたわる意識の芽生えを感じた湯治の旅でした。いつか、温泉地でも暮らしてみたい。