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老後の収入 見逃さないで(北海道新聞連載③)

 「老後のお金はいったい、いくらあれば安心できるんだろう」
こんなご質問をよくいただきます。
 不安を煽る必要はないと思いますが、今回は老後に必要な支出と対策を考えてみたいと思います。


 考えられる費用を表にまとめてみました。


 1ヶ月の支出が実収入で賄えない不足分は、総務省の家計調査(2013年)で、高齢単身無職世帯が約3万4千円、高齢夫婦無職世帯が約5万8千円という結果が出ています。
 また、介護保険は8月からサービスを利用する際、一定以上の所得のある人は自己負担が1割から2割に引き上げられます。つまり2倍になります。
 医療費もこの先、自己負担が増えることも懸念されます。今後は年金の状況が厳しくなることも予想されます。


 ため息が出そうですが、一覧表の項目はすべての人に必要な内容ではありません。
 介護や健康不安からの住み替えが不要な方もおられます。


 必要な資金に決まった数字はありません。


 今、この記事を読まれている方は、どう暮らしておられますか。
 表を参考にお一人ならばお一人で、どなたかと一緒ならその方と5年後、10年後、どんな暮らしをしていたいか、何をしたいか、ご親族のイベントはどうなるかなどを考えてみてはいかがでしょう。
 用意する必要のあるおおよその金額が確認できると思います。


 そして、医療費や介護の支出を抑えるために、少しでも健康状態を良好に保っておきたいものです。
 全体の費用が足りなければ、少しずつ節約することと、収入を得ることをご提案いたします。
 ボランティアも有償のものがありますし、これは健康のためにもなり、一石二鳥です。
 何千万円もの預貯金がなくとも、これで不安が解消できることも多いと思います。


 住み替えに当たっても、持ち家ならば賃貸住宅にして家賃収入が入る場合や、売却収入も期待できます。
 葬儀、お墓関連の費用には亡くなった後に出る死亡保険金を充てることもできます。
 いたずらに老後資金の不安に陥ることなく、こうした収入を見逃さないことも大切です。


老後は何にお金が必要か一覧
① 年金などの収入では足りない生活費
② 自宅のリフォームや住み替え、車の買い替え
③ 旅行や個展開催などの趣味
④ 子や孫の教育、結婚などのイベント
⑤ 介護が必要になった時
⑥ 健康不安からシニア向け住宅に住み替える場合
⑦ ⑥の場合、住まなくなった住宅の後片付け、処分
⑧ 葬儀、お墓、納骨堂ほか


2015年(平成27年)6月3日(水曜日)北海道新聞
「老後のお金」

 この記事の掲載から5年が経ち、医療費の負担額も目前に迫りました。
 収入を得る手段の選択肢も増えてきました。
 老後2000万円問題が注目を浴びましたが、必要になる数字は家族形態、住んでいる地域の住宅事情などによっても変わります。
 情報を見極める力をつけたいですね。

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