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資産管理 不安な場合は(北海道新聞連載㉘)

今回は今後の資産管理に不安な場合に備える問題を用意しました。

Q 判断能力が不十分になったなどの時に備え、資産を管理してもらう人をあらかじめ自分で選べるのはどの制度でしょうか。2つあります。

 ① 法定後見制度
 ② 任意後見制度
 ③ 民事信託(家族信託)制度




A 正解は②と③です

①の法定後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった時に、後見人がその方を守ります。

②の任意後見制度はあらかじめ後見人になる人と契約を結んでおき、判断能力が不十分になった時に後見人として援助してもらう方法です。

③の民事信託制度は、あらかじめ自分の意思で家族らに資産を管理、処分してもらう仕組みを作り契約を結んでおく手法で、かなり自由がききます。

②と③は自分の意思で管理してほしい人を選べますが、元気なうちでなければできません。



Q では法定後見制度の後見人は誰が選びますか。

 ① かかりつけ医
 ② ケアマネジャー
 ③ 家庭裁判所




A 正解は③です

家庭裁判所の審判により後見人を選任します。
選ばれた後見人は、本人のために必要な介護などの契約行為をし本人の財産を適正に管理していきます。



Q 親族が亡くなりましたが遺言書はありません。
遺産の分け方は相続人による話し合い(遺産分割協議)が必要です。
相続人の一人、Aさんが重い認知症で判断能力がかなり低下しています。この場合に正しい方法は。

 ① Aさんを除いて遺産分割協議をする。
 ② 法定後見の開始を家庭裁判所に申し立てし、
    専任された後見人とともに遺産分割協議をする。
 ③ Aさんの子供もしくは孫が代わりに遺産分割協議をする。




A 正解は②です。

遺産分割協議は相続人全員の協議が必要です。
法定後見人の仕事は先ほど説明したように遺産分割協議だけではなく、その役割は、後見される人が亡くなった時まで続きます。


今回紹介した3つの制度には、それぞれメリット、デメリットがあります。特に民事信託は個別の事例により対応の仕方が複雑なので、弁護士、司法書士ら制度に詳しい専門家にご相談することをお勧めします。



2017年(平成29年)8月16日(水曜日)北海道新聞掲載
「終活」


頼りになる親族がいるならば家族信託を提案できます。いない場合はいずれかの後見制度を使うことになります。
後見制度が始まってから20年、制度の問題に気づく人が増えてきたようですね。とはいえ、家族信託も万能ではありません。


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