All-domain Anomaly Resolution Office (AARO)の前局長シーン・カークパトリック Sean Kirkpatrick が SCIENTIFIC AMERICAN誌に投稿した論説が波紋を呼んでいる。
彼はこの記事の中で、
「1年にわたる本格的な調査の中で、AARO はいくつかのことを発見したが、どれもエイリアンに関するものではなかった」
「(UFO)資料が存在しなかっただけでなく、ユタ州のスキンウォーカー牧場では超常現象研究に納税者のお金が不適切に使われていた」
「UAPについて主張告発しているのは、相互に結びついた信者と、おそらく正直な意図とは言えない人々からなる小さなグループである」
「この物語の主な提供者たちは何十年も前からの知り合いである」
「このほら話、捏造、そして同じことを二次的または三次的に再話したこの大騒ぎの結果、ソーシャルメディアが熱狂し、議会と行政がこれらのいわゆる主張の調査に多大な時間とエネルギーを費やした」
などと主張している。
彼のスタンスは現在ワシントンで盛り上がっているUAPディクロージャ―の動きに真っ向から対立し、冷や水を浴びせるものであり、当然ながら大きな反発の声も上がっている。
早速噛みついたのが科学者、エンジニア、作家のTravis Taylorで、カークパトリックのLinkedInに次のように書き込んだ。
これに対し、カークパトリックはこう反論している。
これに対するトラヴィス・テイラーの再反論。
私見では、ペンタゴンがカークパトリックに求めている役割は、かつての「プロジェクト・ブルーブック」における「コンドン報告書」のようなものを作成することだと思っている。
だが当時とは状況があまりにも違う。情報開示を求める動きは民間のUFO研究者だけではなく、議会有力者や多数の議員、政府職員、そしてペンタゴン内部からも起こっていて、むしろ今回のディスクロージャーや内部告発の原動力となっているのは政府(軍)の秘密主義に不満を持つ軍人たちであるという話もある(ロス・コーサートは軍内部に過度の秘密主義への不満が鬱積しており、デビッド・グルーシュの背後には数十人の内部支援者が存在すると述べている)。
「開示派」と「機密保持派」のせめぎあいはまだ当分続くと思うが、どうなるのか刮目して見守りたい。